田んぼや畑のあぜ道であまり見かけることがなくなった
彼岸花・・・
タミヨさん家の庭から一輪、もらってきた。
「死人花」とか言われ、忌み嫌う人もいるが
わたしは、彼岸花が好きである。
秋のお彼岸に墓参りに行くと墓の周りを赤く染めて
彼岸花が群生していたのも、今は昔の話・・・
毒がある花としても知られている。
その毒のおかげで、イノシシやモグラなどは
畔を掘り起こさないから植えたというのを
祖母・おクニやんから聞いたことがある。
おクニやんも、みんなが嫌う彼岸花を大好きだった。
わたしが自分の誕生日を忘れない限り、
おクニやんの命日も忘れないでいられる。
医者が「ご臨終です」と言い、集まった親戚の人たちが
「南無阿弥陀仏」を唱えだしたら
「まだ早い!」といって息を吹き返したといわれる
伝説の人でもあった。
わたしが生まれたとき、この子が小学生になるまで
生きとりたいと言っていたおクニやんは、
わたしの22歳の誕生日に亡くなったのである。
彼岸花を見るたび、祖母を思い出す。