2008年4月26日(土曜日)
帰りの電車で本を読みながら、涙・涙・・・
浅田次郎「霧笛荘夜話」
霧笛荘の管理人の老婆・太太が、7つの部屋を案内する形で
各々の部屋に住んでいた人たちの人生を語るのだ。
それぞれの物語は短編仕立てでありながら、
深いつながりを持っている。
1話は自殺し損ねた若い女の「海の見える部屋」
2話はその若い女を助ける美貌の元社長夫人の「鏡の部屋」
3話は義理と人情だけに生きるうだつのあがらないチンピラの
「朝日の当たる部屋」
そしてわたしを、泣かせたのが4話「瑠璃色の部屋」と
5話「花の咲く部屋」
ミュージシャンを目指す若者・四郎と
障がいを抱えた姉のせつない愛の行方と
男装のレスビアン・カオルの物語である。
姉の死によって、生きる希望をなくした四郎にカオルは
クリスマスイヴの夜、1日だけ四郎の姉になりきる。
生い立ちも今の暮らしも、不幸と同居しているようなふたりが
クリスマスイヴの夜に、夜空の星よりも輝いて見える。
まるで映画のスクリーンを見ているように
場面があざやかに映し出されていく・・・
涙ににじんではいるけれど・・・
あまりにも切なくて、涙が止まらなくて
本を閉じてしまったわたしでした。