毎朝、目覚めて開け放したままのカーテンの窓から外を眺める。少しだけ遠くに海が見える。子供の頃、父に
「陽南子、海と山とどちらが好き?」
と聞かれて
「海」
と答えた。
父は登山を趣味の一つとしていたので、当然そんな私の答えに不服を呈した。それでも海を眺めながら暮らしたいを、その時は思った。
人生の時を重ねる中で、山の中でひっそりと暮らしたいと思う時もあったし、小高い丘の上で海を眺めながら暮らした . . . 本文を読む
眠れない、
眠れない
お願いばかりが募る
時間ばかりが過ぎ
酒を飲んでも
神経はさらに研ぎ澄まされる
部屋の高い位置に置いたマリア様に
見降ろされながら
今日、嫌
昨日という日の懺悔を乞う
何も悪いことはしていないのに
はずなのに
もしかしたら
もしかしたら
違う願いなのか
間違いなのか
正解はなにのか
もはや自分では判断が付かない
どこかに
だれかに
ほんの少しだけ . . . 本文を読む
庭の木槿の真っ白な花が、眩しかった。
夜明けとともに庭に出た。何度も何度も目が覚めて、闇がその姿を消しかけた頃眠りにつくのをあきらめた。連日の危ない日中の暑さとは違い、暑さの中に、早朝の爽やかな風を感じる。朝陽が昇り始め、今日も一日燦々とふりそそぐであろうその陽射しに、真っ白なテッシュペーパーの様な花びらにその陽射しは反射した。まだ、2階の窓は開かない。ベランダのエアコンの室外機の音が、静かに . . . 本文を読む