陽南子 1

　庭の木槿の真っ白な花が、眩しかった。
　夜明けとともに庭に出た。何度も何度も目が覚めて、闇がその姿を消しかけた頃眠りにつくのをあきらめた。連日の危ない日中の暑さとは違い、暑さの中に、早朝の爽やかな風を感じる。朝陽が昇り始め、今日も一日燦々とふりそそぐであろうその陽射しに、真っ白なテッシュペーパーの様な花びらにその陽射しは反射した。まだ、2階の窓は開かない。ベランダのエアコンの室外機の音が、静かに響いている。昨日干した布団の気持ちよさのせいなのか、家人の今朝の目覚めは遅い。


人生に向き合っていないわけではない。
寧ろ、できる限りの全力で自分の人生に向き合っている。はずである。なのに、出口すら見えない。
私は、相手に正面から向き合おうとするといつも失敗をする。やりすぎてしまうのだろう。自分に正直にあろうとすればするほど、何かが道をそらす。

言い訳ばかりの人生を、自分自身にうそをつき続けて生きている。

「何が悲しい？どうしてそんなに悲しい？誰も助けてくれないね。」
聞き飽きたようなセリフを聞かされる