大坪 油彩
花粉がすぐそこまで来ているような気がします、一平です!本日は月曜クラスの大坪さんの油彩をご紹介します!
画面の主役となっているダリアが目を引き、道ゆく人も足を止めるようなとても強い絵になっています。ダリアは花びらが密集したボールのような花で描くのがとても難しかったと思いますが、立体感が崩れる事なく丁寧に描写されています。まず球体の立体感を付けてから、一枚一枚の花びらの明暗を付けていくことで全体感が崩れず美しいダリアが出来上がっていきますが、そんな素晴らしい立体感の中でも注目したい箇所はダリアの陰影です。明るい部分の色彩である鮮やかなピンクが綺麗に見えるのは暗い部分、つまり陰影が美しいからです。
よく僕はデッサンのアドバイスで「絵がぼやけて見えてきたら大体影が薄くなってしまっているか光が汚れてきている、暗いところがしっかり暗くないと光も綺麗に見えてこない。」という事を言うのですが、この大坪さんの作品はデッサンではありませんがまさにその「明暗の差」が感じられます。明るい部分はもちろんの事、暗い部分の色彩、ここが素晴らしいです。普通暗い部分の色を作るとなったら色を混ぜていくうちに濁っていってしまいがちなのですが、このダリアの暗い部分はそんなことはなく、花本来の鮮やかな色彩を残したまま暗い色になっているのです。暗い所を描く時に暗い所ばかりに気を取られているのではなく、同時に明るい所も気に掛けながらやらなくてはならないという事がわかりますね。大坪さんの色彩感覚が鋭いのでしょう!
もちろん先述した濁った色が全てダメという訳ではなく、絵によっては鮮やかな色の中にアクセント的に入れたりするのはもちろんアリです。鮮やか過ぎると綺麗ですが目がチカチカしてきてしまうので暗い色も入れて目が休まるところを作らなければならない、明暗の塩梅が絵の難しい所の1つですね。
また、大坪さんのこの色彩感覚であれば近所の道や公園などの日常の風景をとても魅力的に表現することが出来ると思います。是非次はお近くのもので題材探しをされてみてはいかがでしょうか!