杉田 透明水彩
大竹です。今回ご紹介させて頂くのは杉田さんの水彩作品です。30年前のファッション雑誌から題材を選ばれていますが、とってもお洒落ですね!全体の彩度が低めの中で、鮮やかなオレンジの羽織がまた美しいアクセントになっています。シワの表現も見事で、しっかりと布の内側にある体の形を感じさせてくれます。
水彩は絵具を重ねすぎてしまうと色が濁り、薄すぎても弱く見えてしまいます。その塩梅が難しい所ではありますが、杉田さんの作品はそのバランスも取れています。特に、木の根と肌の対比はこの作品の一番の見どころでしょう。「木の根の力強さは思い切って濃く溶いた絵具使い、肌は最後までほとんど塗らずにサラッと仕上げた事で、木の重量感と透けるような透明感のある肌の美しさの対比が天才的!」と小原先生も絶賛でした。暗い部分の色作りは、ともすれば明るく鮮やかな部分よりも魅力を作るのが難しいかもしれません。この作品の木を見てみると、様々な色を含んでおり、それらが濁らずに互いに調和して美しい暗さを作っているのが分かります。
油絵科出身の私としては、杉田さんの油彩作品も見てみたくも思います。もし機会がありましたら、是非ともチャレンジして頂けたら嬉しいです。