釘宮 透明水彩
花粉の気配を感じます、一平です!本日は日曜クラスの釘宮さんの水彩をご紹介します。
温泉街の旅館のような暖かい雰囲気があるこちらの一枚、日本人のDNAに刻まれているのでしょうか、行ったことも無いのになんだか懐かしい気持ちになります。
街並みは暖かい色で統一し奥の山々は冷たい色を置くことで絵に奥行きを与えています。暖かい色だけだと画面がもったりとしてしまいがちですが、奥の山に冷たい色を置く事で締まりが出ていますね。実は山や旅館の屋根を含めると絵の半分くらいが冷たい色なのですが、絵全体を見てみると凄く暖かく、安心する印象を覚えます。また「暖かさ」がなんとなく街の活気をも感じさせてくれるような気さえします。
もちろん雰囲気だけではなく建物のパースや真ん中を流れる川の奥行きなどの基本的な技能も素晴らしいです。建物の細かい柱や屋根の部分もよくここまで絵の具で描き切ったな…と衝撃です。僕だったら下書きの時点で鉛筆でちょっと誤魔化してしまいそうなところを、しっかりと最後までやり切っています。主役である橋の真ん中に灯るライトも演出として凄く綺麗ですよね。
また、旅館や石畳の道、流れている川など全てが暖色でまとめているのにも関わらず全体がごちゃごちゃとしていない、そして奥に行くにつれて後退色である山の青に繋がっていく色彩計画もバッチリです。
色のコントロールからさまざまな感情を想起させるこちらの一枚、なんだか見れば見るほど惹き込まれます!