加藤 油彩
岩田です。本日は、加藤さんの油彩をご紹介します。
場所はサンフランシスコ。ご自身が撮った写真を元に4号のキャンバスに描いていますが、かなり奥行のある作品なので実際のサイズより大きさを感じます。ゆったりとしていて、とても色が綺麗だなという印象を受けます。
日本では見られないような茶色く塗られた地面の色など趣深く、手前にはワニスを塗って艶を出すことで、他と対比させています。
背景に行くほどに勾配のキツそうな上り坂になっていて、茶色から徐々にイエローオーカーなどを混ぜつつ空気遠近法で奥へと繋げています。
更に途中車を描きながら、自然に空へと溶け込ませています。オフホワイトのような空の色も綺麗で、よく見ると緑や赤といった色を織り交ぜ工夫しています。
主役の路面電車は風景と比較して仕事を詰めて描き込んでいます。その後ろの電車の影の色は、プルシアンブルーやヴァイオレットを使い美しく表現しています。あらためて遠目から見ても全体のバランスが良いです。
主役に目をやると、面相筆で細かく描いているのが分かりますが、私だったらもう一度透明色を重ね、その上から又加筆し、この車両の質感、つまり走り続けることで全体がちょっとくたびれたような感じ、エージング的な作業を施していくでしょう。
窓枠も、やや描きっぱなしという印象も感じるので、ここから仕事を重ねていって深みが増してくると尚良くなると思うのです。脇役で見せている深みのある仕事に負けないで欲しいですね。
そうしたことを次の作品で期待しますが、全体的にまとまっていて、とても良い作品だと思います。又力作を見せて下さい!
作品を画面に近づけながら詳しく解説しています。是非ユーチューブもご覧ください。
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