佐々木 透明水彩
旅行に行きたい!マユカです。今回は佐々木さんの作品をご紹介します!
透明水彩で描いた2枚の人物風景画。どちらの作品も、人物には強く焦点を当て、細かい筆運びで鮮明に描写し、背景は水彩絵の具特有のにじみを活かして描写することにより、淡く優しい光を感じます。遠近感がはっきりとして見えてくるため、描かれた空間に奥行きが生まれていますね。
佐々木さんには二人の息子さんがいらっしゃるのですが、中学生のお兄ちゃんが生まれた時から、成長記録として描き続けています。写真ではなく、自らが描いた絵で思い出を残していくあたりに、佐々木さんから息子さんへの大きな愛を感じます。
左の作品は信号待ちをしている様子を切り取ったのでしょうか。2人とも同じ方向を向いて、車が走っている道路を見つめています。仲がよさそうな兄弟の雰囲気が伝わってきますね。遠くにある車や建物も、さらっと描いてあるように見えますが、よくよく見ると窓についているカーテンだったり、ベランダの日よけ、奥に住宅街が続いている道の様子など、細かく描写されています。目立たないようなところもしっかりと手を入れて描いているからこそ、描きこまれた人物と背景がなじんで、1枚の絵としてのクオリティが高く見えるのでしょう。
右の作品は、涼しげな風を感じるような、爽やかな空気感が伝わってきます。芝生の色の移ろいで、奥まで続いた走り回りたくなるような広い空間を、小さな画面に上手く描写しています。空の青さのグラデーションも美しいですね。晴れた日の外の、肺いっぱいに吸い込みたくなるような空気の清々しさを思い出させてくれます。チューブから出したままの鮮やかな色ではなく、目でとらえた自然な色彩を作ってから画面にのせて描いているため、緑豊かな風景がより美しく見えます。
今回ご紹介した佐々木さんの作品は、2枚ともカメラを意識していない、何気ない日常を切り取ったような構図になっていました。人物をメインとした作品は、こちらに顔を向けていたり、ポーズをとっていたりと、カメラを感じるようなものが多いため、背を向けているというだけでむしろ新鮮さを感じます。きっとこの作品のカメラは、佐々木さんの視点なのでしょう。これからのお子さんたちの成長が、見ているこちらも楽しみになってしまいますね。