秦野 アクリル
今回は、秦野さんの作品をご紹介します。
青を基調に、入道雲が印象的な作品。道端に立って空を見上げた1枚の写真を元に描かれたアクリル画です。まるで見ているこちらが少年の頃に戻ったような、どこか懐かしい感覚をも与えてくれます。
暑い盛りの昼を過ぎて、日差しも少し陰ってきた午後4時頃でしょうか。
アブラゼミと、ヒグラシの声が同時に聞こえてくるような、その場の音さえも聞こえてきそうな絵ですね。
敢えて明瞭にしすぎず、どこかぼんやり描いているからこそ、見ている者が自身を絵の中に投影させ、色々な想像を膨らませることができるのでしょう。
逆光の雲の隙間、日差しを受けた真っ白な入道雲を起点に、視点は右手のアンテナから連なる建物の奥へ。標識のポールを伝いながらバス停のサインを舐めて、駐車禁止の丸い標識に。そこから上方の空へ向かい、最後には雲の様をゆっくり鑑賞する。
見ている側の目の動きまでもちゃんと意図されていて、1枚の絵を思う存分楽しませてくれるのです。
実に素晴らしい作品。流石の秦野さんというしかありません。