古谷 日本画(岩絵具・和紙・顔彩)
通り雨のせいで傘を買いました、一平です!本日は日曜クラスの古谷さんの日本画をご紹介します。
旅先の風景を日本画に収め、非常に味わいのある質感に仕上がっています。草が生い茂っているような立体感の与えづらい部分の描き方から、ピンク色のブーゲンビリア(違ったらすみません…)のトーンまでとてもこだわって描かれていました。そういったこだわりのポイント(ここまで描きたいというゴール)をしっかりと定めて、そこに向かって着実に歩みを進めていく古谷さんの丁寧さは絵からとても感じるのですが、僕がいつも思うのは古谷さんの質問のレベルの高さです。例えば陰影の付け方を質問される方はいらっしゃるのですが古谷さんの場合、「ここの花の影は形を観察しながら付けていったのですが、なんだか違和感があるのでどこが変か言ってください!」と一旦ご自身で考え実行しそれでも掴みきれなかった部分を先生に聞いてみる、という質問の仕方なので我々としても遠慮なく言えますし、古谷さん的にも違和感の正体が分かるという非常にwin winの関係が築ける質問の仕方なのです。
また、絵に関して手前奥の演出はもちろん素晴らしいのですが、影が特に素晴らしいです。絵のレイアウトとして茂みがかなり大きく入っていて、普通ならここで空間が潰れてしまいそうなものですが、地面に落ちる影のおかげでどのくらいの質量感なのか、どのくらい強い光が当たっているのかという所を推測でき、それにより結果的に絵の中で奥行きが生まれています。絵の定石として地面に光と影を順番に何本も配置する事で奥行きになっていきますが、この絵の中では手前の影と奥の光の2つだけでこんなにも自然にスーッと奥に行っています…すごい…。素晴らしいのですがなんだかどこか悔しい気持ちです…。
今回ブログで書いたことは普段絵を描かない人からしたら細かい部分で、もしかしたら気づかないところかもしれません。ですが絵はもちろん、僕が専攻しているデザインを含めた「美術」とはそういった人の目には触れづらい水面下のこだわりの積み重ねだと思います。そういった意味でも「美は細部に宿る」という言葉がとても似合う一枚です。