坂本 金箔・胡粉ジェッソ・アクリル
ナツメです。本日は月曜大人クラスの坂本さんの作品をご紹介します!狩野永徳の唐獅子図屏風の獅子を金箔画でアクリル絵の具を用い描かれました。
当時獅子は権力の象徴として扱われていたのですが、目の力強さや険し表情からその堂々とした威厳のある様子が伝わってきますね。残念ながら写真では見えませんが毛の部分には銀色の絵の具も使用しており、金箔と同様見る人の角度によって反射が変わって煌めく様子からは架空の生物の神秘的な雰囲気さえ感じます。
実物の屏風は20mを超えるほど大きなものなのですが、こちらの作品はB5にも満たないサイズで制作されたため足や細い毛などの細かい部分の表現がかなり難しかったのではないでしょうか。アクリルガッシュで描画しているため上からの塗り直しがきくとは言え流動的で強弱のある線がこの作品の魅力の一つなので、その勢いが失われないように描くというのもポイントでしたが、試行錯誤の末非常に良く表現されました。まるで屏風に描かれたばかりのように少し模様の彩度が高く描かれていることで、青と黄色の補色対比が際立ち目を引きますね。こちらも水を多く使いやわらかなグラデーションを作った上にさらに絵の具を乗せています。
名画などを元にした作品はどんな風に描かれたのかの追体験ができるだけに留まらず、作品に鑑賞した際のフィルターがかかるため見る側も作者の目線を借りたような感覚が強くなるのが特徴だと思います。逆に言えばその絵のどこに魅力を感じたのか、何が素敵な作品だと思うのかという自分の感覚を分析することが、模写をする上での第一歩と言えるでしょう。