藤原 岩絵具・墨/パネルに和紙
いつのまにか上半期も終わりに差し掛かっていて驚愕しています、ナツメです。今日は月曜大人クラスの藤原さんの日本画をご紹介します!
どこか遠くを見つめる2匹の虎。仲良く寄り添って、心を許した仲間にしか見せないような寛いでいる表情にほっこりしてしまいますね。藤原さんご本人が寅年の双子ということで、この絵を描かれたそうです!
粒子の荒い岩絵具を使い紙に盛るようにして塗っているため、下の色が粒子の隙間から少し覗き、絵具の厚みも相まって立体的な表現になっています。日本画ならではのマチエールを虎の毛並みに合わせて。素敵な毛並みについ目が行ってしまいますが、しっとりとした鼻の質感や耳の厚みなど、触れてみたくなるほど描き込まれた細部も素晴らしいです。
そしてこの作品に特徴的なのは、手前と奥でほとんど描き方に差をつけていないところです。虎同士の境界となる部分には強めに明度差をつけていますが、色やタッチでの遠近感の表現は最低限に留めてあるため、パッとこの絵を見た時に2匹が同時に目に飛び込んできます。この光景を選ばれた経緯からも、おそらく藤原さんは「虎のいる風景」ではなく、「2匹の虎」に意識を向けて描かれたのでしょう。デッサンを終えられてはじめての制作だとは思えないほど意図に沿った表現の選択ができています!
一枚の写真を元に描くと言っても、何を意識するか、どこに重きを置くのかによって完成する絵は大きく変わってきます。皆さんも何かを描きたい!と思った時にそのモチーフや写真の何が描きたいのかを1度考えてみると、最終的により魅力的な作品になりますよ!