藤本 透明水彩 左(2020.10完成) / 右(2019.7完成)
羽毛布団大好き!一平です。本日は日曜クラスの藤本さんの水彩画をご紹介します。藤本さんの前回の作品(2018.11完成)はこちら
この2作品、左の方が暖かく右の方が寒そう、というような違う温度感が肌に伝わってきます。
古民家の並びとそれを分ける川が印象的な左の絵、暗い色を川辺以外にほとんど使っていませんが、中明度の色と明るい色のバランスを絶妙に保っていて、結果的にはお昼時の優しい日差しの印象を与えています。
右側の壁は逆光なので現実ではもう少し暗くなるはずなのですが、藤本さんの絵の中だとその暗さも野暮というもの。もしここにしっかりとした暗さが入っていたら絵の印象は崩れてしまうでしょう。バックの山々も明るくまとめているのも絵に合っていてとても綺麗です。(僕はいつも強い色を使いたがる傾向にあるので、このような優しい仕上げ方はとても勉強になりました…。)
また、雪景色の中の小さな民家と対照的に、画面の半分を占める大きな山が力強い右の絵。
こちらは反対に山の暗い色がポイントになっています。白くふわふわとした雪景色のなかに締まりを与えてくれていますね。柔らかい雰囲気だけではなく、キチッと締めるところは締める事で緊張感を作り出し、自然の厳しさまで感じさせます。一見寂しげに見えますが、民家に使われている暖色がこの雪景色のなかでオアシスとなっており、自然の厳しさの中に安心感もある、対照的な2つの要素が存在している面白い作品です。
2枚の絵、両方からとても澄んだ空気感が感じられます。見ていると行ったことも無い場所のはずなのに、なんだかノスタルジックな気持ちになるような、そんな柔らかい気持ちが生まれます。存在しない記憶が呼び起こされるという『絵の魔力』が存分に発揮されている2枚ですね。大学院の研究が忙しくなり10月で退会された藤本さん、たまに絵の具に触ってあげてくださいね!