鳥海山を登るを上梓された佐藤要さんにご意見を伺いました。転載の許可をいただきましたので皆さん賛同される方は大々的に拡散お願いいたします。
ファイル添付では読みにくいのでほぼ全文掲載します。(スノーモービル側の談話は河北新報の記者が他の使うという許可をもらってもらっていない、ということのため削除してあります。)
河北新報「鳥海山モービル入山賛否」について
『賛否両論を併記して問題を提起してくれた記者に感謝するとともに、結論を導くことができないもどかしいお気持ちを察します。記事を何度か読み返して、自分の意見をまとめてみました。
スノーモービルを使ってのガイド活動は自分たちが法を守っていればそれで済むのかはなはだ疑問です。スノーモービル愛好者は全国に無数にいるだろうし、外国のモービラーも活動エリアを拡大しつつあると聞きます。全国からモービラーが鳥海山に集まってきている現状の中で、法律を無視して特別保護区に侵入するモービラーが現れることは容易に予想できます。過去のモービル目撃情報には、「七高山に上がっていた」「扇子森を縦横に走っていた」「千蛇谷にモービル痕があった」「鳥越川から稲倉岳の山頂に駆け上がるモービルを見た」など枚挙にいとまがありません。
鳥海山はスポーツランドではありません。ウインタースポーツ愛好家が集まって鳥海山をどうしようとしているのか、スポーツ愛好家が何人集まって鳥海山を語ろうとも勝手ですが、法律を知っているかどうかが、鳥海山を大切に思う心に対して上手下手を決めるとしたら大変なことです。そもそも鳥海山は法律で保護されたスポーツランドではないのです。産業振興を基調にする日本の法律は、何かを規制していながらそれを潜り抜ける方法を示しているようなものです。ようやく結論が出つつありますが、臂曲がりで行われてきた岩石採取の開発行為に道義的に反対があっても申請さえ通ってしまえば止めることが難しいことをこれまで見てきました。自然公園法は、モービルが特別保護区に侵入したとしても現行犯でなければとがめることはないザル法と言われています。それどころか、特別保護区以外では何でもまかり通るような誤解を招いています。手をこまねいていると、鳥海山はジオパークどころか大スノーモービルランドになってしまいます。
2016年頃だったと思います。スノーモービルの問題で鳥海南麓自然保護管事務所を訪ねたことがありました。その時、半ば脅迫のように「イヌワシに対するモービルの騒音について具体的な研究はない。種の保存法で規制すれば、登山さえ禁止となる可能性がある」と言われて、すごすご引き返したことがありました。今考えれば、イヌワシの生存に影響があるのならば登山が禁止されても仕方がない、となぜ言えなかったか悔やまれます。モービルに加えて一般の登山がイヌワシ生存にどのような影響があるのか、ないのか、を詳しく調査研究してもらいたいものです。それが、イヌワシ未来館の重要な仕事ではないでしょうか。
記事の中ではそれほど言及されてないのですが、OBCの業務内容はスノーモービルを使った山岳ガイドです。厳冬の過酷な気象条件の中で、ホワイトアウトや雪崩、雪庇崩壊などのリスクを背負いながら、料金をもらってお客さんを運ぶ業務です。道のない地吹雪の中を走るタクシーのようなものです。こんなことが業務として認可されていいのでしょうか。OBCのメンバーは酒田市の遭難救助隊に登録していると聞いていますが、それで厳冬の鳥海山の厳しい気象が和らぐことはないでしょう。
モービル入山に賛成か否か、話し合いだ、それルール作りだ、などと言いますが、それは思い上がった人間の身勝手さを表しているだけにすぎません。それでも、この問題に対して解決の糸口を見出していくしかないでしょう。記事の中で最後に上げられた「生物群集保護林」と言う考え方が何らかの糸口になるように願っています。登山、スキー、ボード、それにモービルも含めて鳥海山という大きな自然からの恩恵があるからこそ可能である、ということを再認識して、私たちの姿勢を模索したいと思っています。』
以上が佐藤さんからいただいた文書のほぼ全体です。大いに拡散してください。
法を守っているといっても誰がそれを証明するのでしょう。現に七高山でもスノーモービルが視認されているようですし、現状野放しです。
海外ではスノーモビルが盛んだなどといわれていますが規制は日本どころではありません。
イエローストーン国立公園のスノーモビル規制
また秋田県側でも
スノーモービルの乗入規制について
と紹介されています。
スノーモービルの乗入規制について
美の国あきたネット