東京都知事が世界一の都市を目指せ
2012-11-15
中野雄太氏 ブログ転載
現在、東京都知事選に向けて必死で戦っているTOKMAの支援の意味を
込めて書いたニュースファイルです。
http://www.hr-party.jp/new/2012/31000.html
◇経済規模は世界一の都市・東京
東京都のGDP(都内総生産)は85兆2016億円で、世界一の規模です。
これは世界のGDPでみても15位以内に入り、メキシコと同じ経済規模
を誇ります。東京は日本の首都だけではなく、世界のTOKYOだという
認識が必要になるのは言うまでもありません。
◇東京が直面する課題
東京都には「アジアヘッドクォーター特区域内ビジョン」と
いう報告書が存在します。
同報告書は、現在は都市間競争の時代だという認識のもと、
首都東京の道筋を示しているだけに、重要な内容です。
発展の勢いがあるアジア経済の本部機能を見据えた壮大な
プランですが、問題は実現可能性です。
東京の場合は、既に財政も黒字化しており、日本や世界から
ヒト・モノ・カネ・情報が集まる都市です。単に東京だけの
運営をしているだけでは不十分であり、国への影響力を持ちますし、
国際的な視点も要求されます。その意味では、どこよりも
経営感覚が求められると言えるでしょう。
ただし、現実は貴重な経営資源を上手に活かしきれていません。
上記の同報告書には、世界中の都市総合ランキングがニューヨーク、
ロンドン、パリに次いで4位の位置にあることが述べられて
いますが、近年は香港やソウル、シンガポールに追い上げられて
いることが紹介されています(原典:財団法人森記念財団
『世界都市総合力ランキング2011年版』)。
また、経営者による評価では、8位に位置しています。
ちなみに、1位はロンドン、2位はシンガポール、3位は香港、
4位ニューヨーク、5位は北京となっており、アジア勢が
上位を占めています。
また、東京証券取引所における2011年の上場外国企業は11社に
とどまっています。ピーク時の127社が20年前の91年ですので、
「失われた20年」の影響は、証券業界にも暗い影を落と
しているのです。
一方、アジアの国際金融都市から世界の金融都市へ進もうと
している香港では、2011年に101社の上場、調達額は5兆円に
達していたのに対し、東京証券取引所は10社、360億円に
とどまっています。つまり、かつては優位を誇っていた
国際金融都市としての機能をアジア諸国に奪われつつあるのです。
「東京の国際金融都市化」としての研究は多数存在しますが、
今回は2008年に実施された三菱総研の研究が参考になります。
国内外の経営者にアンケートを実施しており、東京が目指す
都市としてのモデルや税制や規制面の結果が一覧できます。
特に、個人投資家は、「税制面での手続きの簡素化」
「株式にかかる税率(譲渡益・配当課税)の引き下げ」
「法人税の引き下げ」といった要望が多いようです。
実際、証券税制の軽減税率廃止は2年間延長されましたが、この
ままでは、平成26年1月からは10%から20%へと税率が倍増します!
欧米諸国と比較すれば、日本の証券税制は低い方ですが、香港や
シンガポールでは非課税であることを考慮すれば、日本から
金融資本が逃げる可能性は極めて高くなります。
一方、規制面では「商品取引・不動産取引など金融庁以外が所管
する取引について、監督体制を整理・集約するべき」
「規制内容を透明化するべき」との意見が多くありました。
例えば、商品取引は経済産業省と農林水産省が所管し、不動産取引
は国土交通省が管轄しているように、規制の効率は悪いと言わざる
を得ません。よって、同報告書が述べているように、相談窓口を
一本化するなどの詳細な議論を進めていくべきでしょう。
最後に、海外の調査結果もみておきましょう。
ブルームバーグよる2009年10月の調査でも、世界最高の金融センター
として、ニューヨークは29%の支持を受け、2位がシンガポール(17%)
となり、ロンドン(16%)を抜きました。肝心の日本は、たった
1%の支持しか得られなかったと報告されています。
もし、政府や東京都が努力を怠るならば、東京の国際金融都市は
夢のまた夢であり、アジアヘッドクォーターも実現不可能になります。
国際金融市場は、個人投資や生保などの機関投資家も含めて、市場に
参加するプレイヤーが多数います。いくら都市の総合機能としての
評価は高くとも、国内外のビジネスパーソンや投資家が逃げていけば、
いずれ東京は衰退します。
◇東京から実現したい「自由からの繁栄」モデル
従って、新しい東京都知事が国際金融都市化を望むならば、
証券税制の減税と規制の透明化ならびに緩和は避けられません。
幸福実現党が常々掲げている「自由からの繁栄」モデルは、
東京から起こすべきです。
その意味で、幸福実現党から立候補予定のトクマ氏が、
TPPの推進や固定資産税の減免、特区を活用した法人税の軽減を
主張していることは正しいと言えます。
もちろん、彼は国際金融都市化も視野に入れています。
「自由への戦い」は困難がつきものですが、持ち前のロック魂で
乗り切ってくれることを期待してます。
そして、東京都知事には、常に世界一の都市を追求する使命がある
ということを忘れないで欲しいと思います。