咲とその夫

 思いもよらず認知症になった「咲」の介護、その合間にグラウンド・ゴルフを。
 週末にはちょこっと競馬も。
 

評論・・・真田太平記

2012-01-10 22:27:07 | レビュー
 「嘆息するほどの濃密さと深さ」

 8日(日)の産經新聞「読書」のページに “この本と出会った”とのタイトルで、小説「真田太平記」(池波正太郎著)に関する評論が載っていた・・・サブタイトルは上記のとおり。

 執筆者は、評論家・勢古浩爾(せここうじ)氏であった。氏も団塊の世代の方で、大学卒業後洋書輸入会社に勤めるかたわら著作を発表、退職後は執筆活動に専念されているとのこと・・・「最後の吉本隆明」など。

 「池波正太郎といえば、何はともあれ『鬼平犯科帳』や『剣客商売』であろう。わたしもそう思い、もうこれ以上のものはないだろと、あまり期待をせずに手にとったのが『真田太平記』だった」

 「ところが、これが腰を抜かすほど面白かったのだ。今や『真田』こそ池波の最高傑作だと断言したいほどである」

 と、記載されていた。

 まったく、同感である

 当方は、池波小説に関して何度もこのブログにて、素晴らしい表現力と精緻な組み立てのこれ以上ない時代小説と書き綴ってきた。

 と、言うのも、最初に池波小説に触れたのが30代の頃、いきなりこの「真田太平記」から入ったものだから、勢古氏のおっしゃるとおり・・・“腰を抜かすほど”面白かったものである。何度読み返したことか・・・。

 「物語は父真田昌幸と信之・幸村兄弟の生き死にを描いたものである。寡兵による徳川の大軍の撃退、家康暗殺未遂、関ヶ原の戦い、昌幸・幸村父子の九度山への幽閉、と物語はうねり、大阪冬の陣・夏の陣で最高潮に達し、信之の松代への移封という寂寥で物語は閉じられる」

 このように壮大な物語が展開する。真田昌幸を中心とする信之・幸村兄弟などが、強大な大名・織田、徳川、上杉、北条、豊臣などの狭間で、弱小大名の真田一族を守るために様々な権謀術数により切り開き、最後は家名を明治までつなぐこととなる礎を築いた・・・その壮大な物語、大河の流れが脈絡と読者の心を捉えて離さない魅力がある。

 「真田父子に忠誠を尽くす草の者たち(忍び)・・・池波によって創作されたかれら・・・ほんとうにそのような草の者たちが実在したのではないかと錯覚するほど破綻のない構成で、錯綜する物語の坩堝(るつぼ)がたぎるのである」

 「ここには、強大な敵、覇権争い、権謀術数、知略、一族盛衰、という娯楽小説の醍醐味のすべてと、責任、献身、不屈、愛憎、忠誠、苦悩、勇気、悲哀という、人間のすべてが描かれている」

 まさにその通りである。池波小説の神髄ともいえる“人は死ぬるために生きる”が、この12巻に及ぶ小説の中に散りばめられている。これにより個々の登場人物一人、ひとりが生きいきとしており、そのため読者を虜にするのであろう。

 未だに池波小説の術中にハマっており、居心地のいい気分から抜けきらない・・・そこが、またいいのである。

 勢古氏は、次のように結んでいる。
 「これほど、本を読む愉(たの)しみを堪能する経験はめったにあるものではない。読みはじめたら止まらないのでご用心」・・・と。

 以前、NHKTVでドラマ化されたが、改めて「大河ドラマ」にて取り上げてもらいたい・・・是非とも

 お正月競馬、3日間が終わった。金杯当日の絶好調を最後まで持たせることができず、9日の最終日には、当方の予想もことごとく抑え込まれてしまった。
 折角、金杯ゲットの好スタートを切ったのであるが、終いバタバタとなり・・・いささか落ち込んでいた。

 ところが、この新聞記事を今一度、ブログで紹介するために読み返しているうちにこれ以上ない元気をもらうことができた。

 さぁー、本日から明るく元気に・・・いこう(夫)


(真田太平記  1~12巻の構成)

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