紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

まずは「美しき流れ」を

2009-07-09 17:30:00 | おでかけ
 今日はお昼から夕方までの長丁場で、東大の藤本隆宏先生の基調講演とパネルディスカッションを聞きに行く。

 会場は予想通り、おじさん率が圧涛Iに高い。だいたい主に企業と地域の連携やものづくり、地域活性化がテーマなので自主的に聞きに行く一般人は「変わり者」の範疇だろう。
 後ろの席のおじさんなんかは、「東大の先生の難しい話なんか聞いてもわからんやろなー」と始まる前から引き気味だったりする。

 「これは聞かんとあかんやろ」という勘が働いたのだ。テーマ的には別段興味をそそられる話だったわけでもないのに。でもまあ、東大の先生のお話をライブで聞く機会なんて、この辺ではそうそうないし、入場無料でお値打ちではある。

 東大の先生といっても、アカデミックな学会や学生対象じゃないから、専門用語はそう出てこずに、わりあい普通に、しかもフランクに話していただいたので、ついてけないほど難しくはなかったし。

 なんといっても頭の中に垣根がなくて知的にオープンな方なのだ。エッジもしっかり効いているけれど、オープンハートでガードがまるでないところが気持ちよかった。簡単に言えば、自由自在で楽しい。

 なんといっても、ふんふん、そうだよな、そうだよな、そうなんだよな~!と、同意の嵐だったし。前の職場で得た知識が丸ごと使える話だったのだ。

 おまけに前の職場でやっていた仕事のスタンスやベクトル(つまり選書の方向)を、しっかり肯定してもらっている気分で(しかも2年も前なのに!)、すごくうれしかった。フィールドは全然違うんだけど、これからの働き方や雇用のあり方、2007年問題なんかの部分は、わりにかぶっていたので。

 この最悪な状況でなお、疑心暗鬼で足をひっぱりあっていたって、人を呪わば穴ふたつ、なのである。お金がないからとにかくも、コストダウンをしていくにしても予算配分を決定する役職の人たちが長期展望を持っていなければ、いまはなんとかなっても将来は「なし崩し」である。

 業種や立場や思惑やつまんない面子を超えて、オープンマインドにアイディアを交換し合い、狭い枠組みなんて取っ払っちゃう事。まずは現場が元気で楽しく上を向いて仕事ができること。

 もの作りって、製造(旋盤を磨く技術みたいな)だけじゃなく、設計から始まり、購買、営業、販売、売り場のパートのおばちゃんの工夫までも含まれること。最終的に消費者がその商品を買って幸せを感じるまでを差す言葉なのだという指摘には、ひれ伏すしかない。まさに「美しき流れ」。

 まずコストダウンありきではなく、最重要課題は「現場によい流れ」をつくることありきなのだ。順番が違うのである。

 スーパーの商品を並べるおばちゃんの手腕の事例も素晴らしかった。
魚売り場では、お昼過ぎくらいまでは「丸身」のパックを、4時くらいまでは「切り身」のパック、5時を過ぎると「刺身」パックという慧眼には、ただただ感心。なるほどなー。



*蛇足ではありますが追記:「美しき流れ」
・・・1992年のNHK大河ドラマ『信長』に登場する加納随天(「織田信長の祖父の代から仕える神頼み」という架空人物で、平幹二朗の迫真の怪演によって強烈な印象を残す役となった ー大河ドラマ『信長』Wikiより引用)が、口癖のように口にする言葉「美しき流れにございまする」というのが、当時我家で大ヒットしたのを、基調講演の最中に思い出したのでした。
 ドラマのストーリーより、主演の信長より、ひたすら随天の登場を待って盛り上がったのでした。平幹二朗はたしかにスゴかった!

雨のウエンズデイ

2009-06-10 00:32:00 | おでかけ
 午前中は曇りだったので、ベランダに干していた洗濯物の、ほぼ乾いているようなのは早々に家に入れて、いくつかの家事を済ませ、お土産を少々持って、3月まで仕事仲間だった友達の勤務先に遊びに行った。

 折よく?お昼休憩の時間に到着したので、久々にゆっくりとしゃべれて楽しかった。彼女とはほとんど同期就職なので、よけい仲がよかったのだ。

 彼女の新しい職場である図書館は、のんびりと静かで、明るくてキレイで、窓からの眺めも素晴らしい。書架を乱される事もあまりないようだし、目新しい雑誌もあって、思わず読みふける。

 目的の『ダ・ヴィンチ』のまんなかにいつも挟まれている山岸凉子のマンガ『テレプシコーラ』を探した見たら・・・ない!! 

 今回の特集は西原理恵子だったので、『テレプシコーラ』枠がサイバラに乗っ取られていて、ショック(笑) おもわず読んでしまったけど。

 せっかく感動の再会を果たし、名残惜しくお別れしたのに、出口と反対方向に向かってしまうという大チョンボで、やはり大ボケのお別れとなってしまう。

 図書館を出ると雨。雨のウエンズデイだ。

 でも、帰り道は近道、というか判りやすい道(13号線?/竜王町を経由)を発見できて、かなりうれしかった。いや、実はこれも迷子になりつつ抜けた道だったんだけどね(苦笑)

「へうげもの」発見

2009-04-30 23:10:00 | おでかけ
 昨日の続きです。

 四条の目抜き通りから小路に入り、お昼ごはんの場所をぶらぶら探す。ものすごくうらぶれたカレーライスのお店も心惹かれたりしたが、もう少し先に行くと、看板に「金沢、富山」という文字を見つけ、魚の美味しいお店に違いないと踏んで『ト一(といち)』という食堂に入り、定食を注文する。

 近くに俵屋旅館の法被?を着た長靴のオジさんがお昼を食べていたので、間違いなかろうと確信する。正しい定食屋さんである。2階は宴会場になっているが、H氏の言によれば、どうも旅館を食堂に改築したのでは?ということらしい。たしかにそうも見える。

 その後、寺町通りを歩き、本能寺の前を通る。「本能寺って、焼けたんちゃうん?」と聞くH氏。焼けたけど、立て直したんだよね。
 
 錦小路市場に入り、ぶらぶら。ついつい立ち止まり、人の流れに棹さしては、H氏より叱咤される。なぜか金沢の車麩(巨大なチクワ状の乾燥した麩)や、塊のかつを節から削ったとお店のおばちゃんが明言した袋入りの削り節を買う。

 その後はH氏が「風の噂で面白いらしい」と言う界隈をぶらぶら。アンティークのあかり屋さんで、灯りの傘を見てみる(買う気はない)。
 中古レコード屋さんにも入り、ディスプレイされた10万以上するLPレコードに目を丸くする(絶対買わない!!)。
 その後、交差点の角にある奇抜な建物を発見し、激写↓
 

 そのまままっすぐどんどん歩く。人通りもまばらな、のんびりとした道で、アンティークショップや、神社や、老舗の紙屋さんなどがある。とある神社の前でH氏が立ち止まり、「これ!見て!」と狛犬を指差す。ここにきて、ついに「へうげもの」発見! ↓

もう少し、アップにしてみましょう・・・あ、お笑いコンビ「よゐこ」の濱口に似ている!↓

でも、彼の相棒は、なかなかに凛々しい。↓

これも、アップにするとこんなかんじ。↓


本日の収穫は、彼らだな、きっと。


予定は未定だった!

2009-04-29 16:26:00 | おでかけ
 昨日の予想を大きく裏切って、京都におでかけ。

 というのも、なんと子ども達の送迎を済ませた後、朝寝坊どころか2時間以上の朝寝を敢行、というかほとんど唐黷驍謔、に爆睡だった。

 その後、連休中にちらっと「へうげもの展」に行く予定であることをH氏に話すと、「ほしたら今日いこ」ということになり、お昼前に急遽出発した。

 でも決して期待できる展示ではないことは薄々感じていたので、ほんとは一人で行った方がいいのかも、とも思ったが、せっかく休日が合ったのだから、メインは「ふたりで京都に行く」ということにして。
 後から思えば、H氏にはH氏の思惑があったみたいなので、気にする必要はなかったのだけれど。

 「へうげもの展」は、ある意味、予想どおり(話題作りと人寄せ)のもので、マンガ『へうげもの』の作者がたぶん企画、運営に一切噛んでいないらしいことをむしろうれしく思った。それにしても、『へうげもの』のスピリットがあんなに無いなんて・・・。

 まぁ初日ということを差し引いても、『へうげもの』とリンクさせた作品があるとか、いかにも古田織部が気に入りそうな、独特の擬態語で表現してくれそうな作品を置くとか、それくらいのヒネリは欲しかったな。若手の作品を展示する機会を華々しく作りたい、という気持ちはわかるけど、だったらマンガの拡大コピーを貼付けるだけでは「コラボ」じゃない、ということも解っておくべきだった。ちゃんと両者をリンクさせる仕鰍ッを目指して欲しかった。 

 少なくとも「茶の湯」の世界の話なんだから、「趣向を凝らす」ということを、考えるべきだったんだけど、ほとんど突貫工事イベントみたいな空気だった。これは古田織部ではなく、石田三成的世界だったと、やや辛口な評価を下しておこう。「へうげもの」スピリッツ=「愛と笑い」が足りないのだ。

 とはいえ、「へうげ」スピリットから遠くても、ちょっといい感じのもの、乙女ギャグなものはあったりした。たち吉なのに、どちらかといえば私には「紙もの」に吸引力があったな。こんな感じ↓(絵葉書の絵は象と塔でタイトルが「ゾウトウ品」。このモノクロデザインで小皿などもあり。)

 個人的には、「へうげ」らしいものとして一番評価されるのがDMデザインで、その次が会場入り口の古田織部の顔出し看板。DMやチラシを探したけどなくて、でも会場外の「たち吉」の売り場にはあったので、ちゃんとお買い物をしていただいた。

 その後、ふたりで錦小路と寺町通りをぶらぶら歩いた。これについては、また明日にでも。

DM葉書と名刺サイズ案内

大津へ。

2009-04-15 16:46:00 | おでかけ
 りそな銀行のATMに用事があり、滋賀県内の「りそな銀行」を検索してみた。彦根と大津に「出張所」がある。大津の方がJRの運賃がはるかに安いので、大津に決める。

 大津駅を出て「りそな銀行出張所」を探す。なんか駅のすぐそばみたいだったんだけどな。ちょっと琵琶湖に向かって歩いてみたが、それらしきものは見つからず。

 滋賀銀行の向かいにでっかい三井信託銀行があったが、その前の客待ちの路線バスへの案内係のおっちゃんに「りそな銀行、ご存知ないですか?」と訊ねてみた。

 うーん、しらんなぁ。すんませんなあ。そや、あそこの銀行で聞かはったらどやろ?

 まさか三井信託銀行で「りそな、どこですか?」と聞くわけにもいかず、にこにこしつつお礼をいったが、おっちゃんの進言は却下した。

 駅に戻って観光案内所のお姉さん方(というには少し年を・・・)に聞いてみる。ふたりいらっしゃった案内係の女性は、ノートパソコンを広げてのお仕事中だったので、すぐさま検索してくださる。

 あ、銀行はありませんけど、ATMならそこの平和堂(スーパー)の入り口手前にありますよ。

 出張所って、ATMのこと~!? と心で叫ぶが、顔は平常心。お礼をいって、案内所を去る。

 ATMでそそくさと用事を済ませ、ちょっと寂れた町っぽい県庁所在地でお昼ご飯を食べてみようかと、ぶらぶら歩いてみた。

 4月から、この地に異動した友人のことを思う。異動したばかりで忙しいだろうなぁ、彼女にときたま通勤途中で会えた昨年度は、偶然の出会いが楽しかったなぁ。

 途中、ちょっと小さいけれどあか抜けたパン屋さんがあったので、帰りに立ち寄ることにして、いまはスルー。
 いかにも夜は居酒屋やってます、という地下のお店が定食メニューの看板を道沿いに出していたので、ふらふらと吸い寄せられるように階段を下りた。そういえば、居酒屋って、ほとんど行ったことがない。

 もう、おじさん率90%くらいのお店。入ったときには、お昼休みちょっと前だったので、作業服を着た3人組のお兄さんが、黙々とカウンターで定食を食べていたのみ。入ってすぐの机には生卵がひとつ入った器があり、どうもこれをセルフサービスでいただけたようなのだが、入ったときには、そんなことむろん知らなかったので、卵を食べ損ねてしまった。べつにいいんだけどぉ(強がり)

 ほっけの開きと海老フライ、どちらにしますか?ときかれ、海老フライ定食を注文。即座に出て来た。メニューはたぶん、この2種類だ。

 びっくりするほど大きくもないが、けっして貧相ではない海老フライが3匹、ソースをかけられ、あつあつでキャベツの千切りの上に寝そべっている。他にちくわの天ぷらが二切れ、お味噌汁、昆布の佃煮、高野豆腐の煮物、そしてごはん(実はプラス生卵)。生卵がなくても、十分おなかいっぱいだ(しつこい)。

 わさわさと食べ終わった頃、ちょうどサラリーマンたちのランチタイムに突入したようで、入れ違いにグループで中年以上の人たちが入店してくる。タイムリーだ。

 のんびりと駅に戻る前に、さっきのパン屋さんへ立ち寄る。さっきは客がひとりもいなかった。けれど、私がお店にはいったときには、レジ前に列をなしていた。5、6人も入れば満員な小さなお店なのだ。そこへお昼ご飯を買いに、ぞくぞくと人が集まってくるのだ。

 きっと人気があるのだろう。お店のドアには「スタッフ急募」の張り紙もしてある。でも時給は(僅差で)私が勝ったぞ、とちょっと喜ぶ。

 駅に戻ってホームのベンチで電車を待ちながら『コラムの花道 2007傑作選』の続きを読む。どれもこれもさすが傑作選だけあり、面白く、かつとんでもなく骨太。

 お土産物などが販売されているらしい向かいのビルと線路の間には桜並木があり、もうほとんど葉桜である。わずかに枝の先にしがみつくように少しばかりの桜が咲いている。桜の足下には、あたたかい色調の黄色いタンャの花が咲き乱れている。メルヘンな風景である。葉桜、タンャ、線路。

 ホームには桜の花びらが散り敷かれ、こんなところで春の平日のお昼をのんびりと過ごすなんて、夢のようにロマンチックである。
 平日の極楽なひとときを過ごした。幸福な時間にうっとり。