紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

日常語の威力

2009-03-01 18:56:46 | テレビ
 昨日は賛美歌の関西弁バージョンが、あまりに面白くて呆然としてしまうくらいだったのだが、その続きである。

 今日何度も関西弁バージョンで聴いているうちに、これは!!とその効果に驚いている。(何度も聴くかよ!?)

 意外なほど、素直に心に響くのだ。

 たとえば、「おそれはあらじ」という歌詞が「こわいことあらへん」と変換されている。なるほど、そうや、と思う。橋本治的表現を用いれば「身に染む」のだ。言葉が血や肉と化すのだ。

 「おそれはあらじ」では、なんだか、まだやせ我慢みたいな、でも心底ではまだ恐浮ェこびりついている。

 しかし「こわいことあらへん」は、もう鉄板である。向かい風の中を大笑いしながら肩で風切って歩いてる、みたいな感じだ。まさに、こわいもんなし、なのである。

 しかも「わてらのイェスはん」とくれば、これはもう、近所のおっさん以上に身近な存在である。わが心に住む永遠のヒーローである。これが3回リフレインされるのだ。こんな心強いことがまたとあろうか。

 そして、そんなお方が「わてらを愛してくれてはる」んだから、勇気凛々、元気モリモリである。孤独、という言葉は、もう金輪際やってこない。

 宗教というものをハート・トウ・ハートにするための最短距離は、日常使っている言葉にあったとは。笑い事ではなかったのである。

 関西弁に末オた時点で、関西では一気にキリスト教が広まったのではないだろうか。などと、密かに空想したりしている。

ふたりでドラマを

2009-02-28 00:15:32 | テレビ
 結婚記念日であるが、それらしきことは、なにもせず。

 昨日は「キムチが大量に余ってるから、明日はキムチ鍋をつくろう」ということになり、冷蔵庫の在庫処分を兼ねて、我家で初のキムチ鍋にトライ。

 辛いものがあまり得意でないTくんは「ジゴク鍋・・・」とつぶやき、こわごわ箸を伸ばす。あまりの赤さにKちゃんも躊躇を隠せない。しかし、トライしてみると、意外な甘みも感じられる。

 食後子どもたちが散った後は、珍しく夫婦でドラマを見る。『白洲次郎 NHKドラマスペシャル』である。

 みどころはいくらもあるだろうに、私が一番ツボだったのは、挫折続きの若き次郎に母が教会で語るシーンの前。教会で賛美歌が歌われるシーンだ。

 兵庫県の伊丹あたりがご出身なので、当然関西弁なのだが、なんと教会で歌う賛美歌さえ関西弁! 

 子どもたちはキリスト教系の学校なので、この賛美歌はおなじみである。もちろん歌詞は少し古い文語体ぽい言葉で、決して関西弁ではない。関西だから賛美歌も関西弁で、ということはなく、本日初めて聞いて、ちょっとしたカルチャーショックだった。

 ♫わーが主イエス~♪

とリフレインする箇所があるのだが、これがドラマでは、たしか

 ♫わてらのイエスはん♪

となっていたのだ。ああっ、歌詞をすべて控えておくべきだった! あまりの面白さに茫然自失だったのだ。

 たまたま通りかかって、この場面を目撃してしまったKちゃん。何度も学校でこの賛美歌を歌ったKちゃんの感想「まあ、(関西弁訳も)意味はあってるしな」とにやにや。

 白洲夫妻より、関西弁の賛美歌にしてやられてしまった・・・。

追記:翌日検索してみたところ、こちらで『主われを愛す』関西弁賛美歌が聴けます。(なぜか京都弁と大阪弁がチャンャ唐ノなった不思議な関西弁ではありますが)

村上春樹はかっこいい。

2009-02-16 18:41:04 | テレビ
 たぶん本日初めて、私は村上春樹氏がブラウン管で動きしゃべるのを見聞きした。

以下は、毎日新聞 2009年2月16日 東京夕刊より引用

村上春樹さん:ガザ攻撃を批判 イスラエル文学賞受賞演説で
 ◇「死者の多くは子供やお年寄りだった」

 【エルサレム前田英司】イスラエル最高の文学賞「エルサレム賞」の授賞式が15日、エルサレムの国際会議場であり、受賞した作家の村上春樹さん(60)に賞状などが贈られた。村上さんは受賞演説でイスラエル軍による先のパレスチナ自治区ガザ地区攻撃に言及、人間を殻の壊れやすい「卵」に例えて尊厳を訴えた。

 63年に始まったエルサレム賞は隔年で、個人の自由や社会、政治を題材にした作品を発表した作家に贈られる。過去の受賞者には英国の哲学者バートランド・ラッセルや、メキシコの詩人オクタビオ・パスらノーベル文学賞受賞者が名を連ねている。

 村上さんは、英語で演説し、ガザ攻撃について「1000人以上が死亡し、その多くは非武装の子供やお年寄りだった」と言及し、事実上イスラエル軍の過剰攻撃を批判した。日本国内で受賞拒否を求める声が上がったと説明するとともに、「私は、沈黙するのではなく(現地に来て)話すことを選んだ」と述べた。

 そのうえで村上さんは、人間を殻のもろい「卵」に例える一方、イスラエル軍の戦車や白リン弾、イスラム原理主義組織ハマスのロケット弾など双方の武器や、それらを使う体制を「壁」と表現。「私たちは皆、壁に直面した卵だ。しかし、壁は私たちが作り出したのであり、制御しなければならない」と述べて命の尊さを訴えた。

 イスラエルでは「ノルウェイの森」「海辺のカフカ」など村上さんの作品11冊がヘブライ語に末ウれており、抜群の人気と知名度がある。

 しかし、演説を聴いたイスラエル人男性からは「エルサレムまで来て賞を受けながらイスラエル批判をするのは納得いかない」との不満の声も漏れた。




 彼がどれほど個人の自由な意見を大切にしている人か、改めて思い知る。なんてかっこいい人なんだと、思いっきり感動! それに、エッセイで発言している彼そのままの行動と言葉にも、うるうる。

 イスラエルの非道な行為に抗議するため、受賞を辞退するのは、ある意味簡単だ。それを自分ひとりで、自分の心にかなう一番いい方法を徹底的に考え抜き、実行する。アウェーに単身、丸腰で出向き、受賞の場で、堂々とまっすぐ率直に、そして静かに的確に批判する。ちょっとやそっとで出来る事ではない。かっこよすぎる! 

 村上春樹氏には、ノーベル文学賞と平和賞をダブル受賞してもらってもいいくらい。
 一生、あなたについて行きます!とつぶやいてしまった。

『20世紀少年』とミセス山口

2009-01-30 23:56:10 | テレビ
 今日の予定は盛りだくさんだったけれど、時間をどんどん押しつつも、省略することなく珍しくすべてクリアした。それはよかったのだが、今日の晩ご飯の準備に見事に食い込んで、それはまあいいとしても、明日のご飯の用意が22時を超えてしまったため、テレビで放映していた『20世紀少年』が細切れかつ半分以上は見られなかった。漫画は1巻で挫折したけれど、映画は役者ぞろいでひきこまれる。たぶんストーリーもずいぶん整理され、わかりやすくなっているはず。

 私が見たいちばんぞっとした場面は、首魁『ともだち』をあがめる集団が、赤ん坊の「カンナ」をケンヂから奪おうとして失敗してしまうところ。
「失敗した」「失敗した」「失敗した」
「責任者はだれだ」「責任者はだれだ」「責任者はだれだ」
「こいつだ」「こいつだ」「こいつだ」
「責任をとってもらおうか」
そして責任を取らせる。

 これって、まさしく現代社会っぽくて「まんま、じゃん」と唖然とする。しかもすごい幼稚な思考回路。こんなの、もしも子どもの世界に蔓延してたらと思うと、ぞっとする。短絡で極端。
 
 しかしなあ、私は『ともだち』より、むしろ計画的にタイミングを見計らい、日本人の財布の紐を自由に操る『放映』という見え透いたコマーシャルの方が浮「かも。
 Kちゃん、「こんなん見たら、(映画の)『第2章』見に行かんわけにはいかへんし。そやけど、DVD発売やのうて、レンタル開始、っていうところが、なあ」と、あまりの銭ゲバぶりに呆然。

 そういえば『銭ゲバ』も映像化された(る?)みたいで。原作の毒気溢れる絵柄を知っているものとしては、実写にすると抜け落ちるものがあまりにも多いのでは?と心配していたりする。

 今日の計画のひとつに東大出版会のPR誌『UP』に連載されている山口晃氏の『すずしろ日記』を読みに、地元の図書館へ行く、というのもあった。最近の5冊を出していただき、館内閲覧した。その中に、国立劇場に歌舞伎をご夫婦で見に行く、というネタがあった。ミスター山口は、むろん井伊直弼を主人公とする歌舞伎鑑賞が目的だったのだが、ミセス山口の目的が、彦根藩主を主人公にした歌舞伎だから、という理由でのみ滋賀県は彦根市から出張してきた「ひこにゃん」を一目見ようという目論みだったのである。

 残念ながら大人気の「ひこにゃん」は群衆に囲まれミセスはチラ見した程度で、「またね~」とエレベーターに乗り込む「ひこにゃん」を見送るのみ。ミセス山口が「ひこにゃん」ファンだったとはね。彦根市は山口晃さんを格安でお呼びできるかも。ご夫婦で招待して、接待はもちろん、ひこにゃんのお役目、ということで。

夢の3シェフ登場!

2009-01-28 11:36:20 | テレビ
 今日もNHK総合で、朝8時半すぎからの『生活ほっとモーニング』は「月に一度の夢の3シェフ(日本料理/イタリアン/中国料理)競演」だったので、ゴミ出しを終え、洗濯物をなかば放置した状態で、テレビの前でスタンバイ。

 今回はエビがテーマ。メニュー紹介の時点で、それぞれにあまりにも美味しそうなできあがりに「今日の晩ご飯はエビ!」と冒頭より、思いっきり洗脳される。

 メニューは、本場の(ケチャップを使わない)エビチリ、有頭エビをまるごと使ったエビのトマトスパゲッティ、繊細な手順で作られたエビの黄身据aえ。ね、おいしそうでしょ?

 各料理界のプロフェッショナルが、惜しげもなくその腕を披露し、コツを伝授してくれる。たぶんそれだけなら、これほどまでに見ていて心地いい番組にはならなかっただろう。畑違いながら、好奇心も向上心もあるプロの料理人たちが、実に熱心に実演しているシェフの手際をみているのだ。亀の子のように首を伸ばしたり、火加減を覗き込んだり、途中の味見に神経を集中させたり、ときに質問し、感心し、びっくりし、賞賛する。

 こうやって人は成長していくんだろうな、という仕事への真摯な向き合い方と人間関係のあり方のお手本を見ているようだ。

 今回私が注目したのは、イタリア料理の落合さん。日本人なのにイタリア語講座のジロラモさんにちょっと似ている。2年以上に渡り、イタリア各地で修行を積んだ成果なのか? ソフトなイケメンである。でも問題は顔ではない。というか、私は3人ともとても好きな顔なのだ。素直に内面が出ている顔なので。

 落合さんは、番組中、自分が料理をしている最中に中嶋さんから、ご意見ご感想が入ると「おっしゃるとおりです」「まさにそのとおりです」と心底うれしそうに同意されていた。その謙虚で柔らかな物腰に、ちょっとグラッと(笑)

 その後パスタの試食の後、エビのトマトソースを服の胸のところにつけてしまった日本料理の中嶋さん。自分の料理の番だというのに汚れちまったユニフォーム?で登場せざるをえず、「こどもだね」としょげていらした。とても胸のあたりを気にして擦ったりしていたのを見て、落合さんが「大丈夫!大丈夫!」と、あたたかくに声援を送られていて、その母性的な優しさに、またしてもグラッと(笑)

 落合さんは、3人の中ではひかえめなキャラではあるが、個性的な二人を繋ぐ、なくてはならないお方であったのだ。

 落合さんは、少女漫画やドラマに登場する、ヒロインが想いを寄せる個性的な男性Aより、性格的には絶対こっちの方がいいわよ!と読者/視聴者が思う、ヒロインに想いを寄せるもうひとりの典型的な男性キャラBだ。性格どころか、ときには家柄も顔立ちもなにもかも恵まれていたりする。そしてまさに、Bの想いは一瞬かないそうになり、B本人も「もしかすると!?」と希望をもったりするのだが、結果はいつも悲しい結末なのである。いい人故に、いい人らしくヒロインの幸せを祈りながら去っていったりするので、彼の悲劇性は高まり、女性読者/視聴者の支持が高まる。おかげで作者は、「Bとヒロインをくっつけてあげて!」と懇願のおたよりを山のように受け取ったりするのである。
 落合さんは、今日より私の中で勝手ながら「永遠の二番手であるBキャラ」として、定着したのであった。

 そのBキャラの落合さんが、私の心を動かした場面がもうひとつ。
 できたての「エビのトマトソーススパゲッティ」を、「うまい」「おいしい」「いくらでもいけるね」と2シェフが賞賛しつつ、おいしさのあまり、つい寡黙になってしまったりしているのを、実にうれしそうに、顔中シワにして微笑んでみてらしたところ。
 「自分が自信を持って作ったおいしいものを、おいしい、おいしい、と食べてもらう極上の喜び」がそこにあったのだ。落合さんはサービス精神の塊なのである。まさにプロの料理人の、会心の笑顔である。

追記:晩ご飯は孫先生のエビチリを作ってみました。豆板醤の効いた辛い料理だったのに、Kちゃんはへいちゃら。H氏は大満足。でも私は予想以上に苦戦しました。せっかくレトルトのたれではなく、手作りで作るんだからと、大量のエビを解凍したため、背わた取りと揚げる段階で、大幅に時間を取ったのです。でも、本当においしかった! 大量に作って正解でした。