紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

ナゾの正体

2008-10-07 23:59:45 | ラジオ
 仕事からの帰途、乗換駅を下車して、その駅前まで車で来ていたH氏に拾ってもらう。カーラジオからはニュースが流れていた。いい加減にきいていたのでよくわからないのだが、何かの事件で捕まった容疑者のことを、「自称・イラン人の男が」とアナウンスされる。

 「自称・イラン人」!?

 かつてやはり事件の容疑者で彼の職業を「自称・犬の訓練士」というのがあったが、それに匹敵する、いや、それ以上の怪しすぎる、胡散臭すぎる説明である。あまりにも「なんじゃそりゃ!?」的な正体!?である。というか、ニュースで流すにしては、ほとんど説明になっていないというか。

 風貌は全く日本人だけど、イラン人を騙っているのか、イラン人らしい顔立ちだけど日本語ペラペラなのか、国籍不明な感じで、とりあえず本人の弁ではイラン人ということなのか、全く想像がつかない。

 しかし「自称・イラン人」というアナウンスは、一瞬の間を置き、夫婦しておうむ返しにした後、思わず爆笑してしまった。

 明日の新聞の三面記事をしっかりチェックせねば。

『私鉄沿線』熟考。

2008-09-16 23:37:17 | ラジオ
 カーラジオから、野口五郎のヒット曲『私鉄沿線』が流れて来た。郷ひろみ、西城秀樹と並ぶ「新御三家」のひとり、野口五郎が、切々と失われた恋を歌う。

 高校生の頃、出席番号が近かったため親しかったクラスメイトが「私、野口五郎、好きやねん、とくに『私鉄沿線』!」と言っていたっけ。『ちりとてちん』の糸子さんが、愛する五木ひろしを「ひろし(ハート)!」と呼ぶように、彼女は「五郎(ハート)!」と呼んでいたっけ。

 秋口に相応しい切ないハートブレイクな歌詞なのだが・・・なんだか妙な違和感が。いったいどうしてこの二人が別れたのか、その理由が全く説明されていないのだ。「彼女」はまるで蒸発したみたいに忽然と消えている。
 歌詞中にも「ぼくたちの愛は終わりでしょうか?」「きみの帰りを待ってます」とか、どのような別れがあったのか、はっきりしないフレーズが現われる。もしかすると、彼はさりげなく振られたのではないか?という疑問も残る。

 しかしである。歌の出だしは
♪改札口で君のこと いつも待ったものでした♪
 なのだ。

 つまり、待ち合わせの場所はいつも男の住む町の私鉄の改札口で、けっこう同じ喫茶店にいきつけているらしいのだ。
 デートにバリエーションを付けるサービス精神は彼には無いのか? というか、自分がデートに電車賃を使わなくてすむように、相手に自分の街まで来させるような、せこい男かも?と、つい、うがった見方をしてしまうじゃないですか!

 でも、もしかしたら松田聖子が『赤いスイトピー』でかばっているように、「ちょっぴり気が弱い(この場合はケチだ)けど、素敵な男性(ひと)」なのかもしれない。けれど、歌詞が2番になっても、やはり「彼」に対するフォローはなく、「彼女」がなぜに彼の前から姿を消したのかはナゾのままだ。

 しかし歌も終盤にさしかかる頃、センチメンタルな想いに沈みつつ、彼はついに、最大のヒントをリスナーに投げかけてくれたのだ! これが問題の箇所である。

♪ぼくの部屋をたずねてきては
いつも聡怩オてた君よ♪

彼女はある日、ふと気付いたのだ。

「私、彼と会うのは、いつも彼の街で、
彼と会う日は、いつも部屋の聡怩オてるじゃない!
これってデートなのかしら? デートにしては地味すぎないかしら?
こうして彼といたら、私は一生を聡怩ナ費やすのではないかしら?」

 そして彼に何の説明も無く、ふっと消えてしまったのだ。彼女には「説明」なんて無駄なことが、よーく判っていたのかもしれない。賢明な判断である。

 「(最近見かけないけど)彼女、どうしてるの?」とマスターに聞かれるのをさけるために、恋人といきつけの喫茶店はほとぼりが醒めるまでは回避すべきだと、私は思う。だが彼は、ひとり「思い出」の濃い喫茶店にわざわざ出向き、しかもできることならば最後にもういちど会うための場所として、お誘いしているのだ。なんというか、自分のハートブレイク・ストーリーに酔っているのだ。
 こういう男からは問答無用でさっさと逃げるに限る、と私の中の「女の勘」は赤いライトを回しながら、けたたましくサイレンを鳴らしている。

 なんにしろ、手遅れにならないうちに逃げることができた彼女に「ルネッサンス!」(乾杯!)である。

クオリティ・スケール

2008-08-20 00:25:40 | ラジオ
 最近夜のNHK-FMでは、20年以上現役で活躍しているメジャーミュージシャンをゲストに呼び、特集を組む、という贅沢な番組を毎夜放送している。(いつも10時前後の一部分しか聴けないので、詳しいことはわからないのだけれど)

 昨夜は稲垣潤一、今夜は『スターダストレビュー』のヴォーカルの人だった(名前くらい覚えろよ!)

 で、昨夜の稲垣潤一が、思わず「これは真理や!」と思わず手を打って共感するような言葉を発したので、ここにメモしておく。

 『いい作品っていうのは、いろんなひとが、いろんな解釈をしてくれる作品なんです』

 まったくそのとおり。名言である。

 世界文学史上、奇跡的な名作として知られるシェイクスピアは、その解釈の多種多様さにかけては、右に出る者はないのではないか。稲垣公式はぴったりとあてはまる。

 あの奇跡的なドラマ『ちりとてちん』があんなにヒットして、ブロガーたちが競って熱く、暑くるしいほどに、それについて語ったのは、やはりさまざまな解釈や憶測を可能としているからに他ならないのではないか。稲垣公式は「ピタゴラスの定理」のように真理を突いている。


ヒーローCMを聴く。

2007-07-06 00:07:50 | ラジオ
 一日遅れで、昨日の話である。

 車で出勤途中、珍しくFMの民放を聴いていた。当然バンバンCMが入る。

 「私の名は、ライダーキングZ。悪の組織と戦う正義の味方だ」と、芝居がかった声が流れて来た。今、流行りのヒーローもののパクリだね、と特に期待もせず聞き流す。聞き流したので、細かい所(例えばヒーローの名前など)はあまり正確でないのをご了承いただきたい。ヒーローの語りは続く。

 「しかし最近は、悪の組織より人間の方が、よっぽどアクドイっ!(怒りの声)
昨日も店でぼったくられ、店から出たらひったくられた。(怒り&悲しみの声)
もう人間を守るのが、つくづく嫌になった。(疲れ果てた声)
30年間も続けて来た仕事だが、今日を限りに辞める事にした。(きっぱり)

 (ここで突如、声のトーンが庶民的というか下手になる)

と、いうことで、いらなくなったバイクを下取りして欲しいんだけど、いくらくらいになりますかぁ?」

 この後、てきぱき女性の対応する言葉の後に、おきまりの「今すぐお電話ください!」と電話番号が告げられる。

 もう、思い切りツボに入ってしまった私は、その後、車の中で「今日のブログネタは、これやね~♪」と喜んでしまった。職場に着くまでの間、今聴いたばかりのCMを、忘れないように何度もリプレイさせて、脳みそに定着させていたのである。まったく出勤途中に何をしているんだか。

 唯一残念なのは、このCMがどこの会社のものかは、ついにわからずじまいであったことだ。 

デジャヴュな聴覚

2007-04-11 08:44:04 | ラジオ
 台所仕事は、NHK-FMを聞きながらしている。
 今朝はドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』が地味に響いていた。

 「わー、『牧神の午後』やて。なつかしー」 管楽器のソロが緩やかに流れる。

 中学生の頃好きだった北杜夫さんがエッセイで、この曲について熱く語ってらっしゃったので、この曲を耳にする機会があるときには、襟を正す思いで聴いたものだった。若い頃私には、好きな人の好きな物事はすべて、無理しても好きになってやるぞ!という妙に強引なところがあったのだ。

 人生も半ばにくると、そんな純粋さもパワーも薄れてしまう。が、多角な視点を獲得しているので、おなじみの曲を聴いても、新たな発見に驚く事もあるのだ。

 話は戻り『牧神の午後への前奏曲』は、物憂い管楽器のソロが印象的だ。問題は「物憂い管のソロ」が奏でるメロディーが、なにか、はるか昔に聞き覚えた記憶がある、ということだ。えっと、何かに似ているんだけどな、これ。この「ぴ~~~ぴろぴろぴろぴ~♪」ってとこ。このメロディー、引っかかる。

 ・・・あっ、わかった! あれや、あれ!

 自分の発見に自分で驚き、即座に夫・H氏に教えてあげにいく。

 「あんねえ、『牧神の午後への前奏曲』っていうの、知ってる?」
「ああ、ドビュッシーやね」
「あの曲ってさー、『妖怪人間ベム』のオープニングのイントロに似てへん?・・・『それはどこで生まれたのか、誰も知らない』っていうナレーションのバックで流れたやつね」
「ほんまや! 今日のブログのネタはこれできまりやな!」(爆笑)

 ということで、今日の話題はドビュッシーと『妖怪人間ベム』のオープニングの意外な関係なのでした。(←オープニングナレーションをリンクより聴く事ができます)

 追加:そういえば『妖怪人間ベム』に登場する「ベラ」の存在は、その後のアニメや「変身ヒーローもの」に、多少なりとも影響を与えているのでは? 「タイムボカン」シリーズに登場する「ドロンジョ様」や、仮面ライダーなどの「変身もの」に登場する悪の組織の女性幹部職怪人(男性の幹部職怪人以上に手強い!)とか。

 斎藤美奈子さんの「紅一点論」の中で爆笑だったのは、「変身ヒーローもの」の世界では「正義の味方側」は、女性は補助職や通信、看護と限定された職域なのに比べ、「悪役側」ではしっかり女性幹部が男性以上に活躍している、というくだり。排除される側が、男女雇用機会均等法を遵守しているというのも皮肉な話である、というのが、彼女らしいアイロニーに満ちて、二重の意味で笑っちゃいます。