紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

虚無僧あるいはキング・クリムゾン

2006-12-11 22:56:33 | ラジオ
 先週の土曜日に夫H氏と車に乗っている時、中村明一という方がゲストで出演されていたラジオ番組を、たまたま聞いていた。途中から聞いていたので(そして途中で車を降りたので)判然としないのだが、とにかくゲストの中村さんが尺八奏者だということはわかった。

 彼は実は子どもの頃ロックが大好きだったのだけれど、ある日ふとラジオで『ノヴェンバー・ステップス』を聞いたらしい。あの現代作曲家、武満徹の有名な曲である。オーケストラと琵琶と尺八が共演する、不思議な名曲。琵琶は鶴田錦史、尺八は横山勝也の名人達である。少年、中村明一は仰天してしまう。「こんな素晴らしい楽器があるのか!!」

 このあとがスゴイのだが、なんと中村少年は横山勝也氏の連絡先を調べまくって探し当て、ご自宅に電話したのだ。「この楽器(尺八)、どこに売っているんですか?」

 見ず知らずの横山名人に電話して楽器の買い方を聞くという少年もスゴいが、「まあ、一度うちに尺八を見に来なさい」といった横山名人もスゴい。そして中村少年は横山名人の家に尺八を見にいったのだが、いろんな尺八のうち「虚無僧尺八、すげえ!」と感嘆したらしい。その後は虚無僧尺八まっしぐらである。

 H氏も『ノヴェンバー・ステップス』は大好きである。曲も素晴らしいが、オーディオの音質がよくなるほど、より細かな音が聞き取れてスゴくなるらしい。もちろん武満徹も好き、邦楽器も好きなのだ。
 そうこうするうち、中村さんへのインタビューが一段落して、曲がかかる事になった。もちろん中村さんの演奏だ。

 最初の曲はキング・クリムゾンの『ムーン・チャイルド』。それを中村さんが虚無僧尺八のソロで吹く。実はH氏は中学生の頃はロック少年でキング・クリムゾン大好き、なかでも『ムーン・チャイルド』はレコードが擦り切れるくらい愛聴したようだ。だから、曲の全てを知り尽くしている?ので、尺八の演奏をききつつ「おおお~ここはこう来たか~♪」とのりのり。

 「ねえ、虚無僧尺八って、京都の明暗寺で虚無僧の修行中に教えてもらえるんやろか?」と疑問を口にしてしまう私。「やっぱり尺八吹けへんと、虚無僧やないもんな」

 「そや、お父さん、定年になったら、明暗寺で修行して、虚無僧になったらええやん!」
「そいで、ストリート・ミュージシャン、やるねんな」
「お布施も、もらえるしなあ」

定年後の選択肢がまたひとつ増えてしまったH氏である。

*本日のブログねたは、H氏のリクエストによるものです。

老師と少年

2006-11-19 23:24:59 | ラジオ
 恒例の日曜の新聞書評欄漁りをしていたら、二紙で南直哉/著『老師と少年』を取り上げていた。曹洞宗の現役の僧侶の方が書かれた本である。しかし南氏はなかなか一筋縄ではゆかない手強そうなお方である。もちろんこれは褒め言葉である。

 著者の南さんは「すぐに答えが出て来るのは、むしろ胡散臭い」「人生の意味より死なない工夫が大切」と発言され、かなり説得力に満ちている、と思う。ご本人は「私なりの《お経》です」とおっしゃっておられた。自分を探す少年と、彼の質問を受ける師との対話になる形式で書かれているらしい。新潮社のHPで著者と内田樹先生との対談もアップされていて、なかなか興味深い。
 こうしてするすると著者の南さんに注目してしまう。『老師と少年』というタイトルにも目を奪われてしまう。

 この話とは全く別物だが、もう15年も前のラジオで流れていたルモvい出してしまった。ある少年の話である。

 比叡山のお坊さんが彼の家に法事でお参りにみえたとき、彼はまだ(たぶん)小学生だったが、すっかりこの僧侶に参ってしまった。彼の家は(私の記憶ではかなり遠方だった)関西圏外だったにも関わらず、リスペクトの余り弟子入りを願い出て、比叡山で修行することを夢見るのだ。

 たぶんご両親も反対されただろうし、お坊さんも困惑されたかもしれない。が、結局彼の志は固く意志貫徹し、(当然仏教ミッション系の)比叡山中学校に入って仏道を歩むことになる。

 クラスメイトにレメ[ターがインタビューする。明るくざわめく教室で、男子生徒達の無邪気でお茶目な声が響く。「彼はどんな男の子ですか?」という質問に、やんちゃそうなクラスメイトが声を張り上げて「オンナにモテモテ!」「もう、モテモテやねん!」と複数の少年達が悪戯っぽく声を張り上げる。

 修行中の身に「モテモテ」はアカンやろ~(笑)

 彼が師と仰ぐ比叡山の僧侶にも、インタビューがなされた。

「あの子は明るい子で、こっちまで明るい気持になりますわ。だからあの子がおらんかったら淋しいです。こないだ、彼がブルーハーツの「トレイン トレイン」っていう曲のテープを持って来てくれて、ぜひ聴いて欲しいっていうんですな。何回も聴きました」とても誠実に少年に向き合っておられ、微笑ましい気分になった。

そのあとブルーハーツの 『トレイン トレイン』が流れて、私はそのとき初めてこの曲を聴いたけれど、歌詞を聴き、少年の生を見つめる直感の深さに恐れ入った。

 あの少年はいまはどうしているのだろうと、今でも私はときどき考える。師となったお坊さんと少年はどんなふうにその後を過ごしたのか。成人した少年は迷い無く僧侶になったのか、あるいは別の道を選びとったのだろうか。
『トレイン トレイン』を耳にするたび、ほんの数分のルモノしかすぎなかった少年のことを、いまも気にし続けてしまうのである。 

あくまで悪魔

2006-11-12 21:41:14 | ラジオ
 先週ラジオを聴いていたら、歌手「尾崎亜美」の特集をしていた。彼女はけっこう好きなので、ウキウキと聴いていたら、彼女の友達でもあるDJさんが
「僕は彼女の結婚式にも行きましたが、牧師さんが欠席しちゃったんですよね。そのときたまたま?デーモン小暮閣下が招待客の中にいらっしゃっていて、彼が亜美ちゃんの結婚式を執り行ったんだよね」

 たぶん私が知らないだけで、世間では有名な話なのかも。しかし、神の前で永遠の愛を誓う時に、悪魔に司式をしてもらうって・・・さすがは尾崎亜美である、あっぱれ。

 この話のウラをとるため「デーモン小暮」で検索してみた。そしたらこのヒト、いえ、この悪魔、エピソードあり過ぎ! すっかり読みふけってしまいましたよ。

 デーモン小暮閣下は、「日本の伝統券\・文化に造詣が深く、純邦楽・能等と共演することが年間25回を超えることは有名」
 有名? そうだったの? 寡聞にして知らぬことをひとり恥じる。ちなみに邦楽器コラボレート時の和名??は小暮伝衛門 である。

 彼が大の相撲好きなのも初めて知った。そうかー、だから相撲のゲスト解説席にいたんだ。だからウチのお兄ちゃんTくんは、デーモン小暮閣下に同類として好印象を持っているんだ。もちろんお兄ちゃんが「悪魔」なのではなく「相撲好き」という点でね。

 彼は怪獣や国際交流にも造詣が深いそうだし、悪魔一の平和主義者だそうなので、ぜひその観点から「みうらじゅんVSデーモン小暮閣下」のトークを聞いてみたいと思う。剣翌ヘ違うが、東西対決としても興味がある。

 いやーしかし、二人ともマニアック度が濃そうだし、一般人はついていけないかもしれない。というより、この企画、すでに誰かが立てていて終了しているかもなあ。

夏休みのこども電話相談

2006-08-25 13:21:44 | ラジオ
 書こう書こうと思っている内に、夏休みの終盤になってしまった。何かと言えばラジオの電話相談である。
 「電話相談」といえば、普段は健康やペットやマナーについて、はたまた子育てについての深刻な悩みが、NHKラジオでは問いかけられているが、それとはまるで趣を異にしている。

 夏休みになるとラジオ第1放送の「夏休み子ども科学電話相談」が元気よく午前中の時間を占拠してくれる。子どもが不思議に思う事、誰に聞いても調べてもよくわからないことを、ラジオで各分野の専門家に自分で電話で質問するという番組である。

 これが滅法面白いのだ。それも低学年のシンプルな質問ほど、エキスパートの先生方を悩ませたりする。

 また、先生と子どもを取り持つコーディネーター役のアナウンサーさんの力量までが、如実にわかってしまうのも興味深い。なにしろ、ライヴである。
 いまいち子どもに説明するのが得意じゃない先生もいれば、質問がとぎれたり、ャCントを得ていない子どもや、子どもが本当に自分の中で理解出来たかの確認が必要では?と聞いている人が気を揉んでいるとき、ナイスなフォローをするコーディネーターは重要だ。
 このコーディネートの役割は番組の雰囲気を大きく左右する。なんとなく子どもが中途半端な気持なのに、次の質問に移ってしまわれると、自分まで置いてきぼりにされた気になってしまう。

 いままでで印象的だったのは、「自然渋滞の先頭はどうなっているんですか?」という質問。

 はああ~なるほど~。事故渋滞でなく自然な渋滞の原因を知りたい! ああ、そりゃ、わたしだって知りたいよ! 興味津々だったが、「う~ん、それは・・・」と必死に考える時間を稼いでいた先生の苦悩に気を取られてしまったが、「やっぱり、信号待ちでしょう。いくつも信号待ちがあると、後ろの車はどんどん渋滞して行くんじゃないでしょうか」という答だったのでは。

 まったく思いもしなかった視点から、不意打ちのような質問が飛び出すのが子どものオソロシさ(笑)とオモシロさである。これがあるからこそ、子どもと一緒に生活するのはとてつもなく楽しい。

 今年の質問では「カマキリのおなかからゼンマイがでてきたのですが、これは何ですか?」という質問とその答が私の現時点での今年のトリビアだった。

 その「ゼンマイ」の正体は「ハリガネ虫」という寄生虫で、宿主を転々とするそうである。「ハリガネ虫」がカマキリから脱出をはかる頃(成熟期)になると、カマキリは、なぜか水辺に行きたくてしょうがなくなるらしい。水辺にいったカマキリから水中に飛び出すハリガネ虫は水中で仲間を見つけ交尾したり、水生生物に寄生したり産卵したりする。そしてカマキリのエサとなる虫に寄生し、最終的にカマキリを宿主にするそうである。不思議で面白いが、実際目にすると非常に不気味な奴らしい。

 私は見た事がなかったが、虫については一言ある夫・H氏に尋ねてみた。ハリガネムシって、知ってる?
 「知ってるー、カマキリのお尻から出るんやろ。きっもちわるい奴やなーって思ってた」

 この番組を楽しみにされている方も多いみたいで、本も出ている。
 今日聞いていたら、「いまから自由研究をする」というお子様達の助っ人としても心強い番組らしいので、該当するお子様にはぜひプッシュしたい。番組は8月31日、夏休みぎりぎり(場所によっては、今日から登校されているそうですが)まであるそうです。(放送時間は、9:05~11:28。日曜は休みです。NHKラジオ第1) 

マタニティブルーだった。

2006-05-11 00:23:43 | ラジオ
 実は第1子を産んで1年くらいは、どんどんブルーな日々だったことを、今日ふと思い出した。マタニティブルーというやつである。

 新生児育児で寝不足が続き、育児に追われて食事や家事の時間もままならず、ほとほと参ってしまった。どん底なキモチの中で、心理学や心の持ち方の本を読みあさっても拉致があかず途方に暮れた。

 1年たったとき、子どもはこんなに成長したのに、私は「じり貧」じゃないか!と突如、情けなさとパワーが噴出した。とにかく何かしよう! というわけで、家事をしながらでもできそうな「ながら勉強」をすることに。ラジオでNHK英会話とスペイン語の基礎講座を聞く。勉強の定番である。

 新婚旅行でいったスペインは、夫の希望で決定したので、特に期待はしていなかったが、行ってみて「わーい!」というくらい私にマッチする国だった。そこで「次回」を期待しつつ「スペイン語基礎編」を聞くことにしたのだ。(いまだ「次回」はおとずれないが・・・)

 たまたま聞いた講座の先生は清水憲男先生。ルックスはともかく、スペインの文学や生活、文化への愛に満ちた先生だったし、上品で明るく陽気な声に励まされたので、いきなりファンになってしまった。どれくらい入れあげたかと言えば、後に先生の著書「ドン・キホーテの世紀」という本まで買ったくらいである。(残念ながら、いまだ「まえがき」のみしか読んでいないが) 基礎講座は半年で終了するので、先生が交代してしまわれた時には、やる気半減なくらい気落ちした。

 一方英会話は大杉正明先生。こちらはルックスもそれなりで今はテレビの英会話講座に出演されているファンキーな先生。大がつくファンになった。講座の最初にある小話(むろん英語)の落ちで笑えたときには、とても嬉しかった。めったになかったけど。
 大杉先生とは何年もお付き合いできたが、ついにさよならの時がきてしまった。ちょっとは英語耳になり始めたかも?というところだったのに、ショックのあまり聞くのをやめてしまった。

 家事・育児をしながら20分程度の「ながら勉強」。時間のタイミングが合わず聞き逃したり、ラジオはついてても心ここにあらずだったり、ブレイクの音楽だけ熱心に聞いたりする落第生だったので、もちろん語学を習得するには遠く及ばなかった。
 でも明らかだったのは、とびとびにでも曲がりなりにも続けたことと、いつの間にか底なし沼のようなブルーが消えていたこと。

 もし更年期や老人性の「うつ」になったら、再度ラジオ講座にアタックをかけようと思っている。