教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

ウクライナでの戦争、どこから始まって、どこで終わるのか

2022-03-05 13:51:50 | 経済/経済/社会
ウクライナでの戦争、どこから始まって、どこで終わるのか?

……というのはホントよくわからんままなので、ここで1つまとめたい。

まずどこから始まったのか?

いろいろ説がある。

フルシチョフがエイヤでクリミアをウクライナにあげてしまったことが原因説。
ウクライナが平和を唱えていれば平和になると信じたほとんど軍隊を持たない九条国家だったことが原因説。
プーチンが脳か精神かの病気にかかっていて気が狂っている説。
プーチンがロシアに都合がいい超かたよった変な歴史本を読み漁って変な歴史観に目覚めた説。

もしかしたらどれもそれなりに当たっているかもしれない。
だが私はこう考える。

もともとウクライナはロシアよりだった。
大統領がヴィクトル・ヤヌコーヴィチの時代までは。
この人がどれくらい親露だったかというと、あとにロシアに亡命するほどだ。

この時代のウクライナは今のベラルーシと同じように安全保障を完全にロシアに外注していた。
ロシアと戦争になるという事態を想定しなくてよかったので、平和を唱えていれば平和になると信じてもいいほとんど軍隊を持たない九条国家だったのだ。

ところがどっこい革命が起きる。
2014年のマイダン革命というやつだ。
直接的な原因は、EUとの協定の調印を見送ったことで親欧よりの野党が中心になって強い反発を起こしたことだと言われている。
実際のところはようわからん。




https://twitter.com/replyua/status/715461628431622149

↑この人はウクライナがロシアよりだった当時に美人すぎる首相として話題になったユーリヤ・ティモシェンコ。



そのあと何だか知らないけど暴動の扇動者っぽい変なヤツが大統領を自称する。
ロシアはこの時点で選挙で選ばれたわけではない者が国家を運営しているので国家として認めないと言っている。
そうはいっても今の大統領のウォロディミル・ゼレンスキーはちゃんと選挙で選ばれているが。

前大統領のペトロ・ポロシェンコはとにかく反露だった。
西側諸国からは「あなた人権を大切にするすばらしい人物ですね」とリップサービスを得ることには成功したが、ロシアとケンカ別れしたことで受けたダメージを補填するような支援を西側から得ることはなかった。




https://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDPD&c1=UA&s=&e=

革命後だから誰がやってもこんなもんなのかもしれないが、革命前のGDPの水準にすら達していない。
親露のヤヌコーヴィチは1人で10兆円くらい、GDPの7割くらいに相当する額の不正蓄財していたらしいが、それが消えてなくなってもだ。(ちなみに今でもロシアと同じかそれより酷いくらいの汚職国家であり続けている。)



https://index.minfin.com.ua/labour/salary/min/
ウクライナの現在の最低時給は150円。
マイダン革命後に通貨が下落しきって落ち着いた2016年頃の最低時給は35円しかない。




https://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=LP&c1=UA&c2=JP&s=&e=

ウクライナでは貧乏すぎて生きていけないので国民がどんどん流出しており、ソ連崩壊当時に比べて2割も人口が減っている。
それもそのはず、ウクライナの片田舎で時給35円で働くよりパリで乞食したほうが儲かるというやつだ。



そんななか、ロシアによるクリミアの強奪がおきる。

クリミアではほぼ全員がロシア語が母国語なのに、ウクライナの大統領は役所の窓口や学校教育にウクライナ語対応必須としたことで
「はあ!? 俺たちどうなんのよ!?」
ってなったようで、その後ロシアに編入されたあと生活レベルが向上したらしく、クリミアの住民は編入支持が支配的のようだ。

クリミア強奪は国際法違反だが、ウクライナの失政も要因で、クリミアの住民にもロシア国民にも支持された強奪で、恐ろしく手際よくスムーズに進み、これはプーチンにとって成功体験になる。




https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E3%82%AA%E3%82%BB%E3%83%81%E3%82%A2%E7%B4%9B%E4%BA%89_(2008%E5%B9%B4)

プーチンはすでにジョージアで南オセチア自治共和国とアブハジア自治共和国という自称国家の親露派実効支配地域をこさえ、




http://www.special-warfare.net/database/101_archives/euro_01/moldova_01.html

モルドバでも沿ドニエストルという自称国家の親露派実効支配地域をこさえ、
どこかで見た光景ではあったものだ。



ここでウクライナはクリミアを強奪された。
さてどうなる?

ウクライナでは
「ロシアやべえ!!!!!」
って当然なる。

ウクライナではNATO加盟反対の政治家は選挙で落ちるようになった。
マトモな選挙が行われている限り、もう絶対に昔の親露のウクライナには戻らない。

前に当blogのどっかで書いた気がするが、ロシアにとって最悪パターンはウクライナがNATOに加盟してロシア国境沿いにアメリカの核ミサイルが配備されることだ。
で、
「これ以上NATOに近づいたらもっとシメたるわゴルァ!」
ってやったら
「ロシアやべえからNATOに加盟しようっと」
ってなった。
「だったらNATOに加盟する前にウクライナをもう1回シメたるわ!」
ってなったのが今回。



しかしわたしは戦争になるとは思っていなかった。
1月末くらいまでは。

わたしの予想では、ウクライナ国境沿いに軍隊を配備し、ドネツクとルガンスクをはじめウクライナ領内の東側で散発的に戦闘を継続し、アメリカが出てこざるを得ない状態にすることが目的だと思っていた。

もともとロシアの前のソ連はアメリカとタメをはる超大国だという自負があったが、アメリカと金のかかるガチの軍事力で勝負したらダメだとロシアは悟った。
だからロシアは金のかかるガチの全面戦争をこれまで回避し、そのかわり自分は裏で糸ひいて反米国家を支援し、アメリカに戦費を使わせ、かつてアメリカにやられたことと同じことをアメリカにして返そうとしてきた。

あわよくばアメリカの空母2隻を太平洋から地中海まで持ってこさせたり、地上部隊10万人とかをアメリカ本土からウクライナ領内に持って来させたらしめたものだ。
そうなったら中国が金門や尖閣に武力侵攻する絶好の機会を与えることになり、中国にでっかい貸しができる。

そして
「は? 俺は最初から軍の演習だって言ってただろ。だから演習が終わったら帰るに決まってるだろ。戦争とか意味がわからん」
としらばっくれるのさ。

……ってなると思っていた。
1月末くらいまでは。



しかし状況が変わった。

アメリカはロシアと戦争しないと明言した。
アメリカはロシア軍が怖いからウクライナ領内に派遣していた米軍(300人くらいの規模だったような?)を撤収した。
アメリカとイギリスは戦争になったら強烈な制裁をすると言っているが、ロシア産天然ガスに依存しまくりのドイツは制裁に及び腰。

https://www.pravda.ru/news/politics/1687060-pod_otkljuchenie_ot_swift_popadut_sem_bankov/
実際、戦争がはじまったあとEUはロシアに制裁し、金融核兵器(笑)と呼ばれるSWIFT追い出しまでやったが、ロシア国内1位のズベルバンクと3位のガスプロムバンクが入っておらず、もう完全にザル制裁としか言いようがない。

ちなみにポーランドも

https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-eu-swift-idJPKBN2KZ1W2
> 一方、ポーランドのモラウィエツキ首相は、「EUへのエネルギー供給に関する取引」を理由にズベルバンクとガスプロムバンクを対象から除外するという決定は受け入れられないと表明。フェイスブックに「ポーランドとして、ウクライナでの戦争に資金を提供している全てのロシア企業を効果的かつ完全に制裁の対象とすることを要求する」と書き込んだ。

などとわたしと同じことを言っている。



するとどうなる?

「あれっ? 脅しのつもりだったんだけど、これもしかしていけるんちゃうか?」
ってなるわな、当然。

むしろこの状態でプーチンが軍を撤収したら、それこそプーチンのほうがチキンだと思われかねない。

https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2022/fis/kiuchi/0301_2

もともとロシアは、いつかアメリカとコトをかまえることになると想定し、外貨準備のうち米ドルの割合を劇的に下げて16.4%にまで落としてきた。




https://zen.yandex.ru/media/politicalborsch/gde-hranitsia-zolotoi-rezerv-rossii-i-komu-prinadlejit-5c51c981327a7c00ac19c896

そして金(gold)と人民元の割合を劇的に上げてきた。



ナメられることを嫌うロシアとしては、ここで引くことはできなかったのだろう。

わたしが実際に戦争になると確信したのは、戦争2日前のドンバスを国家承認すると言ったプーチンの演説だ。

https://twitter.com/beamtetrode350b/status/1496105142667845637

ニュースでは、ドンバスを国家承認するというところだけクローズアップされているが、大事なところはそこではない。

「ウクライナはソ連のボルシェビキが勝手に作ったもので、本来はロシアであり、ウクライナなんてものは存在しない。独立後は汚職野郎とネオナチとアメリカに支配されていて国家の体をなしていない。だからボクが介入してウクライナの人々を助けてあげなければ」
って書いてある。

つまりこの演説は、ドンバスだけではなく来るべきウクライナ全面侵攻の正当化だ。
ここでわたしは戦争になると確信したのだった。



プーチンがロシアに都合がいい超かたよった変な歴史本を読み漁って変な歴史観に目覚めた説も親和性が高いが、そうではない。たぶん。
もともとプーチンはソ連にシンパシーが強く、

https://ru.citaty.net/tsitaty/633404-vladimir-vladimirovich-putin-kto-ne-zhaleet-o-raspade-sovetskogo-soiuza-u-togo-n/
「ソ連が恋しくない者には心がない、ソ連に戻りたい者には脳がない」
„Кто не жалеет о распаде Советского Союза, у того нет сердца; кто хочет воссоздать его в прежнем виде, у того нет головы.“

などと言っている。
だから旧ソ連圏をロシア領またはベラルーシみたいなロシアの配下にして再びアメリカとタメはれる超大国に復帰するという天下布武をずっとプーチンは抱いていたのだ。



ではこれはアメリカの失策なのか?
米軍が撤退しなければ、またはアメリカと戦争しないと明言せずお茶を濁しておけば、それなら戦争を回避できたのではないのか?

というのは確かにあるが。
別の仮説を提唱したい。

アメリカはロシアが戦争するようにしむけた説だ。



アメリカとしては
「ロシアはヤバい国だ。もっと軍備がいる。もっと軍事予算がないと世界が悪の手に染まる!」
と言える。

もともと与党の民主党は共和党より親中反露なので、
「ほらみろやっぱり中国よりロシアのほうがヤバい国じゃねえか!」
と正当化しやすい。

選挙でも
「アメリカは世界に対してジャスティスを行使する!」
と高らかに宣言でき支持率を稼ぎやすい。

イラク戦争のように少数でも米軍に死者が出ることは世論が許さないが、武器を供給してウクライナ人とロシア人で殺し合ってくれる分には全く問題ない。

賞味期限のある武器の在庫の有効活用もできる。
むしろ、あらかじめロシア軍に害意があってウクライナ側にナイショで武器を供給してあったのに、これからは堂々と武器をこれから供給しますと宣言でき、裏でコソコソやっていたことを無かったことにできる。

NATOはアメリカの持ち出しばかりでヨーロッパは施しを受けて喜んでいるという世論だったが、ひところ潜水艦が1隻も動かないという惨状だったドイツでさえ国防費を2%以上にすると言いだし、アメリカの思惑どおりになった。

もしこの構図が正しいとすると、プーチンはアメリカをハメようとして、まんまとアメリカにハメられたのだということになる。



戦況はどうなる?

ウクライナが意外に善戦して持ちこたえているのは確かだ。

ロシア軍が思ったよりヘッポコだったとか、ロシア兵が戦争の意義を見いだせず士気が低いとか、ウクライナは国土防衛に燃えていて士気が高いとか、いろいろ理由が羅列されている。
だがわたしは、恐らくは開戦前からアメリカが裏でコソコソ協力していたからではなかろうか、という仮説を持っている。

だったらどうなる?

ジャスティスウクライナがロシアを追い出して戦勝ハッピーエンドが望ましいとされているが、そうはならない。

アメリカは、ロシア軍がウクライナに張り付いていて他に軍のリソースを回せる余裕がなくなり、かつウクライナで戦費を使い続け、そのまま疲弊していくのを期待している。

ロシアはあっという間にウクライナ全土を制圧して傀儡政権を立ててさっさと撤退することをもくろんでいたようだが、そうはなっていない。
だからウクライナのインフラを破壊せずにとっておくつもりだったのかもしれないが、これからはそうはならない。




https://www.youtube.com/watch?v=6gHbFZeT830

シリアではロシアは街1つがれきの山にしてテロリストを殲滅した。
それと同じくこれからはシリアと同じくインフラを破壊してウクライナをがれきの山にしていくかもしれない。



これも根拠はあんまりない憶測だが、いったんはキエフとドニエプル川東側はロシア支配地域になり、NATO加盟国のルーマニアやポーランドに接する西部は西側から武器が潤沢に供給されるからロシア軍は全く入ってこれない、という具合になるだろう。

現にザポリージャの巨大原発やアゾフ海沿岸のベルジャンシクはロシアの手に落ちたし、ドンバスの勢力はちょっとづつ影響範囲を広げているし、北東から入った軍はもうすぐ東側からキエフにつく。
現時点ではロシアは微測前進だが優勢だ。

だがたぶんキエフがロシアに制圧されたあたりがピークだろう。
そのしばらくあとくらいから金欠ロシア軍が劣勢になり、ダラダラと戦争が続く。
たぶんいつまでも。

ロシアは制裁ではひっくり返らない。
クリミアのとき制裁を食らっても「ソ連崩壊のむちゃくちゃにくらべれば何のこれしき」状態で大きな混乱もなくしのいだ。
中国と違ってロシアは原油を売るほうなので、大日本帝国のように原油の輸入がストップしただけでひっくり返るということは無い。

ロシアはデモでもひっくり返らない。
ついっただけ見ているとロシア人は「ロシア人はみんな反対しています」と言うが、そうではない。
英語や日本語など外国語でコミュニケーションできて外国に住んでいるリベラルなグループはたいがい戦争反対だと思われるが、
「制裁がナンボのもんじゃい!」
「ロシアとウクライナは一つなんだから外国人が口出しするのはやめてください」
「ウクライナとかどーでもいいし。とにかく日々の生活が心配」
ってのもいるので、必ずしもみんな反対ではない。
アメリカとタメはれる超大国だったソ連を知っていて、それを取り返そうとしているのだと思っているような、かつ外国や外国語と全く接点のない50代以上の人たちは、そこそこの割合でプーチン支持なのではないかとすら思う。



最後に投資家目線でわたしがどう考えていたのかを記す。

株価。
結果論でいえば戦争が始まって暴落した。
だが過去には、たしかイラク戦争のときとかもそうだったように記憶しているが、戦争が始まったら株高になることがある。
だから株価は読めないからスルーした。





https://www.hoxsin.co.jp/delay/chart.asp?mcode=cod

原油。
結果論でいえば戦争が始まって急騰した。
だが期先より期近のほうが遥かに高い。
これは半年前からそうなっている。
ふつうは原油の倉庫の保管代だけ期先のほうが少し高いので異常事態だ。
なぜこうなってるのかはわからんが、将来的に下がりそう、いま原油が足りないからいま手元に欲しい、と市場が考えている可能性ある。
だから原油は読めないからスルーした。



債権。
おいしい案件は個人で手をつける手段がない。



通貨。
わたしは通貨は負け越しで、勝てないので、あまり手を出さないことにしている。
FXでロシアルーブルショートも儲かったのかもしれないが、制裁によりポジションを手じまいできないでいるのではないかという話も聞く(未確認)。
結果論でいうとユーロショートがよかったってことになる。



金(gold)。
半年前だが、ボラティリティーがどんどん小さくなっているので、次の春までに上か下かのどちらかに大きく動くだろうと予想していた。
で、もし戦争になれば急騰する。
戦争にならなければ変化なし。
これはおいしいので買った。

だが原油ほど急騰していない。
とはいえ、現時点ではロシア軍が若干優勢で、キエフ攻略時くらいまでは上がり続けると思われるので、追加で買った。



最後に。
我々は歴史の重要なふしめの目撃者かもしれない
……みたいなこと言ってるヤツがいるが。
相場をはってれば傍観者ではなく参加者である。
なんせ自分の金はってるし。