長沼公園“栃本尾根”に生育している「センブリ(千振)」。リンドウ科センブリ属の二年草で全国の陽当たりの良い山野に分布している。古くから健胃薬として利用されている。草丈は10~20センチで花期は8~11月。果実は細長い蒴果になる。中には直径1ミリほどの種子が多数入っている。
東京ではもう何日もまとまった雨が無く空気も地面もカラカラ。いつもならこの時期は何回か氷点下になることがあり高尾山では「シモバシラ(霜柱)」の氷華が各所で見られる。この日も八王子市は明け方に氷点下になったのでとりあえず高尾山に向かった。山頂直下の5号路では山頂の茶店の方が水を撒いているようで小さな氷華がいくつか出来ていた。ところが5号路の北側やもみじ台北巻き道では地面がカラカラ状態でひとつも見つからなかった。写真は1号路“女坂”で見掛けたもの。長さ6~7センチで高尾山系で見られるものとしてはずいぶん小さい。
蓮生寺公園の藪に蔓を伸ばしている「ノササゲ(野大角豆)」。マメ科ノササゲ属のつる性多年草で本州~九州の山野に分布している。8~9月に長さ1.5~2センチの淡黄色の花を咲かせ果実は美しい紫色の莢になる。果実は長さ2~5センチで中には藍色の種子が数個入っている。
高尾山の登山道で見られる「ハナミョウガ(花茗荷)」。ショウガ科ハナミョウガ属の多年草で関東地方以西に分布している。花期は5~6月で穂状花序に紅白の派手な花を咲かせる。果実は液果で長さ1.5センチほどの楕円球形。熟すと緑色から赤く変化する。
奥高尾“一丁平”に生えている「ツルリンドウ(蔓竜胆)」。リンドウ科ツルリンドウ属のつる性多年草で8~9月に直径2センチほどの筒状の花を咲かせ果実は長さ1.5~2センチの楕円球形になる。リンドウの果実が蒴果になるのに対して本種は液果になる。ところでこの果実を見つめていたら何かの顔に見えてきた。
キク科キク属の「リュウノウギク(竜脳菊)」。日本特産の野菊で関東地方~九州の陽当たりの良い山野に分布している。花期は10~11月でカントウヨメナやノコンギクよりは遅く咲き始める。葉や茎には樟脳のような芳香がありその名は中国から伝わった香油の“竜脳”に由来している。
野菊の同定では果実の冠毛の長短がポイントのひとつで、冠毛の長いノコンギクやシロヨメナと冠毛がほとんど見られないカントウヨメナやユウガギクの果実を毎年のように確認していたが、リュウノウギクの果実を観察したことが無かった。写真はリュウノウギクの花後の様子で果実は痩果。冠毛は見られない。
奥高尾“一丁平”付近の登山道脇で“草もみじ”を見せている「タカトウダイ(高灯台・高燈台)」。トウダイグサ科トウダイグサ属の多年草で本州~九州の山野の陽当たりの良い場所に分布している。花期は6~8月で茎の上部に杯状花序を付ける。写真のものは紅葉しながら花を咲かせていた。
奥高尾“日影林道”で見られる「リンドウ(竜胆)」。リンドウ科リンドウ属の多年草で9~11月に茎頂や葉腋に直径2.5~3センチの釣鐘状の花を咲かせる。リンドウは雄性先熟で咲き初めは5本の雄蕊が中心に集まり雌蕊を覆っている。その後雄蕊は開いて花筒に付き雌蕊が現れる。雌蕊の柱頭は白く2裂している。
堀之内沖ノ谷戸公園の草地で見られる「クチナシグサ(梔子草)」。ハマウツボ科(←ゴマノハグサ科)クチナシグサ属の越年草もしくは二年草で草地や林内の陽当たりの良い場所に生える。4~5月に直径7~8ミリの小さな花を咲かせ、花後にクチナシに似た果実を稔らせる。クチナシグサはイネ科植物に寄生する半寄生植物。その葉は線形~線状披針形で長さ2~3センチ。晩秋には地上部が枯れるがその後小さな芽が現れ密生して冬を越す。