子供にヴァイオリンを習わせている母親は多いと思うがこの本の著者である母親自身の考え方がすばらしい。
盲目的では全然なくて、音楽をこんな風に人生に生かしてもらえれば・・・と言う考え方。
音楽が生きるうえにいかに作用するのかを解いている。
しかし題材はアウシュビッツという重い問題が使われていて、描写もすさまじく確かにつらくなるのだが、最後は音楽ってすばらしいな・・・と思ってしまう。
アウシュビッツには死者を送り出す時に演奏したり、ゲシュタボたちの為のユダヤ人で作られた音楽隊があった。
その中にヴァイオリンのうまいかわいい少女ハンナが居た。
ガス室に送り込まれる運命であったハンナは、背中にヴァイオリンを背負っていたために音楽隊へ引き抜かれる。
家族は全員殺されるのであるが、ひたすら音に没頭することでハンナは救われる。そのときずーっと彼女が使っていたヴァイオリンがめぐりめぐって、著者の娘のところへくることになり今も現存する。
そのヴァイオリンのルーツ調べからアウシュビッツをたどる ことになるのであるが・・・。
暮れに多くの人が歌う「第九」が日本で最初に演奏されたころのことを知っていますか?第一次大戦時、敗戦国のドイツ兵は四国坂東捕虜収容所に収容された。同じ収容所でありながらそこには焼却炉もなくガス室もなく、ドイツ兵と地元住民とがパンやソーセージつくり、又手作り楽器で「第九」を全曲演奏し、文化的な交流が盛んに行われた。この本ではアウシュビッツと日本の対応の違いを際立たせ戦争と平和についても欠かせない部分である。
これはほぼ実話で、今ハリウッド映画化に向けて準備中なのだそうである。
著者:香川宣子 徳島県 医師
本の中にはクラシックの名曲が沢山でてきて、読んでいるとどうしてもその曲を聴きたくなって仕方がない。youtubeが大活躍。
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