池上優游涵泳

「料理と散歩と仕事で海外」「ベトナム生活あらかると」改め、「池上優游涵泳」として日々を綴っています。

【じんけんカフェ】学びとはなにか 第3回(前編)

2019-11-18 16:52:30 | 地域情報

さて、ようやく(苦)、先週の金曜日、おおた区民大学【じんけんカフェ】学びとはなにかの第3回の紹介です。

第1回同様、公開講座として映画こんばんわ」を鑑賞し、山田洋次監督作品「学校」のモデルとなった、長年、夜間中学校で教鞭をとっていた松崎運之助さんの体験談をお聞きしました。


まず、映画「こんばんわ」ですが、墨田区立文花中学の夜間学級のドキュメンタリーで、年齢も国籍も多様で、様々な理由で学ぶ機会を得られなかった人たちが生きるために学ぶ姿が描かれています。

ざっくりとした内容、観ながら感じた事などを紹介したいと思います。

ドキュメンタリーなので、ネタバレにはならないと思いますし、所詮、私の文字だけで、あの感動は伝えきれないので、私の感想が、この映画を観る、夜間中学校に興味をもつきっかけになればむしろ幸いと考えます。

  • タイトルの「こんばんわ 」は、夜間中学校は17:30からなので、登校した時の挨拶が「こんばんわ 」になることから。
  • 通っている方々の人生、生き様を、夜間中学校での授業の模様などから伺い知る構成です。
  • 小学校までしか行かず、プレス工場で働き、読み書きができない69歳の方は、病院では指を怪我をしたふりをして、誤魔化せたが、工場で一緒に働いた兄の葬式で、弔辞を読むことができず、”死ぬ気で”勉強しようと、夜間中学校に通うことにした。他、戦後、中国からの帰国者、旦那さんの仕事の都合で来日した女性、日本最高齢中学生(91歳)など。年配の方の多いCクラスの平均年齢は69歳。
  • 文花夜間中学校の見城先生のお話。
    • 生活に根ざし、生きる希望を与える教育をしなければならない。
    • 漢字は易しいものから覚えるのではなく、生活に必要な漢字であれば、難しい漢字でも覚える。そのような漢字(生活基本漢字)381文字を選定してテキストにした。学習は、生活に必要な精選された内容でなければならない。
    • 学校に行くことが喜びを語る生徒。学習とは、自分の境遇、辛い体験を乗り越える術である。
  • 宮沢賢治の「雨にも負けず」を題材にした国語の授業。
    • なりたい人物像を考えるところから、それぞれの人生、学習への想いが引き出され、語られている。
    • なお、全編に渡って、解説じみたところはなく、授業そのままの様子、生徒の会話などから様々な想いが伝わってくる。
  • 夜間中学校に通う切っ掛けは、漢字を”覚える”ためであったりしたが、授業の様子をみていると、機械的に必要な知識を”覚える”のではなく、それぞれの人生経験から、教え合って、学び合っていることがよくわかる。その上で、生活に直接つながる知識がついていくのでしょう。
  • 様々な国籍の方々が一緒に学ぶところは、インターナショナルスクールで異文化交流からの学びのようでもあり、支え合って、お互いに教えあうのは、島嶼部の学校の全学年一クラスで、上級生が下級生の面倒をみる雰囲気にも似ているように思えた。(夜間中学校の場合、年長者が必ずしも面倒を見る、教える側ではないが)
  • 中野重治の「菊の花」を題材にした国語の授業。
    • 文学作品なので、擬人化された表現など、外国籍の生徒には難しいと感じられたが、日本語表現の学習ではなく、生徒の人生や境遇から共感できるような、作品主旨の紐解き方でした。
    • 「花のこころ、花のいのちとは、どういう悪い環境でも、ありったけの力で生きていく」の下りでは、まさに生徒の人生に当てはまることで、菊の花を自分自身に置き換えて考させられた素晴らしい授業。
    • 2週間かけた授業だったそうで、先生、生徒それぞれの情熱にも感銘を受けました。
  • 伸ちゃんという不登校の生徒。親以外と話さないが、年配者のクラスの雰囲気は気に入って通ってくるが、誰とも会話はできないし(話しかけられてもダンマリ)、給食(夕食)を一緒にとれないので、2時間で帰ってしまう(授業は、毎日17:30-21:00)。移動教室(遠足)、運動会にも参加しない。
  • 移動教室、本当に楽しそう。年齢、国籍、経験の多様さも見られる。みんなで食事を作る時、料理店で働いた若者の料理スキルが凄かったり、余興は各国の芸能だったり。
  • 文花中学では、年2回、昼間学級との交流会がある。昼間の生徒の感想は、夜間はみんなワイワイとして楽しそう。
  • 夜間中学校の合同運動会(都内8校)の様子も、移動教室同様に本当に楽しそうで、盛り上がっている。15か国の国籍で、ミニオリンピックの様相。年配の方は学齢期にできなかったことを、全力で楽しんでいるように見える。ある生徒の話では、夜間中学校では足を引っ張る人はいない、みんな教えてくれて、その感謝の気持ちがあるし、自信にもつながっているからだと。
  • 文化祭も、食べ物のお国自慢大会のようで盛り上がっているし、本場のキムチや餃子を買いに、模擬店に大勢押し寄せる。
  • その頃、上述の伸ちゃんに変化が現れ始める。学校が、国語が好き、迷惑をかけてごめんなさいと母親に手紙を書き、ついには、教科書を声を出して読んで、今年一番嬉しかったことは、声を出せたことと書くに至り、私は涙ぐんでしまいました。。。その伸ちゃんは、給食も準備から参加するようになり、体育でバレーボール、合同運動会にも出て、放課後はキャッチボールをして、と夜間中学校で教育(周囲の支援)を受けて、学ぶことによって、生きる力を得て、自らを変えられたようです(涙)
  • 卒業式。本音はもっと居たい、らしいが、次の人生ステップがある。答辞で女の子が、弟の面倒を見るため今年、高校に行くことはやめたが、高校に行くことを諦めていない、夢だから、にまた感動して涙でした。。。
  • 最後に、見城先生からのお話。生涯学んでいきたい。学ぶことは自由に生きるパスポート、夜間中学校で得た宝物である。

 

いや〜、第1回で、監督の森さんが仰っていましたが、まさに教育は感動です(感)

なお、松崎先生のお話も長くなりそうで、後編にしたいと思います。

なお、この映画は、見城先生吉川英治文化賞を受賞し、その(賞金?)寄付から始まったとエンドロールに出ていました。

 

おまけの写真は、

昨夜の夕飯で、26cmの方の新品フライパンの使い初め。

大量にもらった根菜類から、さつまいもで大学芋(っぽいけど揚げていない甘辛煮風)です。

ではでは



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