昨日の朝、ゴミを捨てに外に出ると、
玄関に誰かの財布が落ちていた。
男物だがカッパさんのではない。
「財布、拾たー」と私が家に持って入ると、
カッパさんが
「捨てろー」とがなってきた。
「そんなんにかかわるとロクなことになれへん。
悪いことは言わん、元の場所へ置いて来い」
えっと、元の場所ってうちの玄関のポーチだ。
変だろ?そこに置き直すのは。うちらの敷地内だし。
カッパさんの言うことはスルーして、
中身を確認する。
紙幣は誰かに抜かれたんだろうな、全く残ってない。
キャッシュカードと免許証がある。
あと地下アイドルのチェキと彼女(?)のメモのような紙片。
お守りも入っている。
なんか財布だけで人柄がわかるよね~。
きっといい人だ!
あーー連絡先が分かるものは住所だけだ。
この近くではある。
でもとりあえずは交番に届けよう。
交番は財布の持ち主の住所から200mほどの距離だから、
マッハで手元に届くのではないか?
出かけるついでがあったので交番に寄ってみた。
うん、不在。パトロール中だってさ!
電話で500番にかけてみる。
すぐに警官が出た。
財布を拾ったことを告げると、そこの交番は今日は非番とのこと。
しばらく待って頂けますか?と聞かれた。
このあと11時過ぎの電車に乗る予定。
じゃないと友人との待ち合わせに遅れる。いやランチの予約時間にも遅れる。
無理ですと伝えると、出かけ先のどこかの交番に届けてもらったらいい、
と言われた。
どんどん持ち主の住まいから離れて行く・・・。
しかしこのまま財布を持ち歩くわけにもいかないので、
駅の近くの交番に飛び込んだ。
やったーおまわりさんが居たーーーっ!!
もうすでに体がヘロヘロ。
「おまわりさんが居る交番が見つかるアプリはないんですか?」
などと、つい恨みがましいことを言ってしまった。
ほんと、善意って疲れるね。
でもこんなことカッパさんに愚痴ろうもんなら、
「ほら、よけいなことするからや」
と言うだろう。
だから言わない。口が裂けてもね。
きっと私が「あーあの財布はね、その辺に捨てた!」
って言ったら大喜びするんだろうな。
ほんま根性のねじくれたヤツだ。
でもね、財布が手元に戻ってきた時に落とし主は、
交番に届けてくれた私に感謝するんだわ。
世の中捨てたもんじゃないってね。
それか、お金を抜いた奴が届けたと思って
恨んでいるかもだ。
どっちでもいい。
自分が正しいことをしたって思うだけでも、
心は満たされたりするもんだ。
この気持ちはカッパには一生わかるまい。
友人との待ち合わせにはなんとか間に合ったことを
報告しておこう。心配かけたな。