港町のカフェテリア 『Sentimiento-Cinema』


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60年代ポップス変遷史 1961年1月

2014-10-11 00:34:28 | 60年代ポップス変遷史

1961年1月にはこんな曲が流行していました。

はるかなるアラモ ブラザーズ・フォー
G.I.ブルース エルヴィス・プレスリー
太陽がいっぱい サウンドトラック
マイ・ホーム・タウン ポール・アンカ
グリーン・フィールズ ブラザーズ・フォー
君こそすべて ニール・セダカ
グッド・タイミング ジミー・ジョーンズ
若者のすべて サウンドトラック
夢のナポリターナ マリノ・マリーニ
初恋のブルース バック・クレイトン楽団
⑪日曜はダメよ ドン・コスタ楽団
イッツ・ナウ・オァー・ネヴァー エルヴィス・プレスリー
悲しき少年兵 ジョニー・ディアフィールド


作年末に公開された映画の効果もあって『はるかなるアラモ』がベストワンを独走します。
『G.I.ブルース』も年初に公開され主題歌が大ヒット、これを追うように公開間近の『日曜はダメよ』
もランクインして映画の主題歌の強さを見せつけられました。
『日曜はダメよ』はメリナ・メルクーリのサントラ盤の他、多くの歌手や楽団が競ってレコーディング
しましたがドン・コスタ楽団の演奏が人気を集めていたようです。

↓はドン・コスタ楽団の『日曜はダメよ』 YOUTUBEより



ポップスとしてはジョニー・ディアフィールドの『悲しき少年兵』がベストテン初登場です。
ジョニー・ディアフィールドは本場のアメリカでは無名の歌手でこの曲も日本限定での大ヒットとなり
ました。また来日して日本語の歌詞でも唄っておりましだが、その日本盤は次のような歌詞でした。
(どうしても一部の歌詞が聞き取れません)
彼の日本語盤はYOUTUBEにはUPされていないようです。

1. やさしい顔をした 可愛い○○○、あの娘にさよなら 別れの笑顔
  涙ふいて波止場の道を 歩いてゆく、いつまでも聞こえてくる “Good-by my darling Good-by”
2. 錨上げて船は 海原へ、浮かぶはあの 可愛い笑顔 
  あの娘を思えば涙がにじむ この胸に、可愛いあの言葉 “Good-by my darling Good-by”
3. 再び帰り 錨を下ろす、懐かしい波止場 人波分けて
  探したけれど迎えに 来てないあの娘、涙こらえてただ一人 帰るふるさと
  Lonely lonely lonely soldier boy、Lonely lonely lonely soldier boy

日本で爆発的な人気のジョニー・ディアフィールドでしたが、この後、これに続くヒットが出ず
残念ながら一発屋で終わることとなります。


ベストテンにはランクインしませんでしたが、アネットが唄った『パイナップル・プリンセス』も
この頃のヒット曲でした。
この曲は1960年のアメリカ映画『リロ・アンド・スティッチ』で使われたようですが日本では未公開です。
最近、アニメで映画化されたようですね。

↓はアネットの『パイナップル・プリンセス』 YOUTUBEより





映画音楽史(255) 『誘惑されて棄てられて』 1965年公開

2014-10-10 00:15:09 | 映画音楽



『誘惑されて棄てられて』 Sedotta e Abbandonata (伊) 1964年制作
監督 ピエトロ・ジェルミ
音楽 カルロ・ルスティケッリ
主演 アネーゼ … ステファニア・サンドレッリ
    ペピーノ … アルド・プリージ
    ヴィンツェンツォ・アスカローネ … サーロ・ウルツィ
    マチルデ … パオラ・ビッジョ
    アントニオ … ランド・ブッツァンカ
主題歌 『誘惑されて棄てられて』 ( Sedotta e Abbandonata ) 演奏・サウンドトラック

ピエトロ・ジェルミ監督の『イタリア式離婚狂想曲』に次ぐシシリーの俗習を皮肉った艶笑喜劇。
アスカローネ家のマチルデと婚約していたペピーノは、マチルデの妹アネーゼを衝動的に暴行して妊娠させてしまった。
それを知った父親のヴィンツェンツォが怒ってペピーノにマチルデとの婚約を解消してアネーゼと結婚するように迫る。
しかし、シシリーの習慣では男は純潔でない女と結婚してはならない、たとえそうしたのが自分であっても。当然のごとく
ペピーノは逃げ出してしまった。ヴィンツェンツォは名誉を傷つけられたとの理由ならペピーノを殺しても罪は軽いので
息子のアントニオにペピーノ殺害を命ずる。惨事は未然に防がれたがヴィンツェンツォは脳溢血で亡くなってしまう。

物語の説明的な役割を持つ主題歌の『誘惑されて棄てられて』はカルロ・ルスティケッリの作曲によるもので、民族色
豊かに仕上げられています。映画ではタイトルバックをはじめ全編に使われていました。なお、サウンド・トラックの歌唱
はピノ・フェルラーラによるものです。レコードとしてはサントラ盤(ピノ・フェルラーラ)のほか、カルロ・ルスティケッリ楽団、
フィルム・シンフォニック・オーケストラなどの演奏がリリースされています。

↓はピノ・フェルラーラの『誘惑されて棄てられて』 YOUTUBEより




映画音楽史(254) 『赤い砂漠』 1965年公開

2014-10-09 00:20:30 | 映画音楽



『赤い砂漠』 Il Deserto Rosso (伊) 1964年制作
監督 ミケランジェロ・アントニオーニ
音楽 ジョヴァンニ・フスコ
主演 ジュリアーナ … モニカ・ヴィッティ
    コラド … リチャード・ハリス
    ウーゴ … カルロ・キオネッティ
主題歌 『赤い砂漠』 ( Il Deserto Rosso ) 演奏・サウンドトラック

愛の不毛を描き続けたアントニオーニの終結篇で彼が挑んだ初の色彩作品。無機的な工場周辺の風景と、断絶を表現
する原色、倦怠感を醸し出す濁淡色などその色彩処理をもって人間の疎外感を見事に映像化した色彩芸術映画の傑作。
ジュリアーナはイタリアの工業都市ラヴェンナの工場技師である夫のウーゴと息子のヴァレリオと生活をしている。彼女は
以前に交通事故のショックからノイローゼが癒えていない。ジュリア―ナは工場を訪れた時に夫から同僚のコラドを紹介
される。コラドは彼女の精神不安に同情を覚えた。ジュリア―ナは夫やコラドとそれに数人の友人たちと港に出かけて
無人の小屋で休息をとっていたが停泊していた船に伝染病が発生とのことで再び精神が異常をきたしはじめたりする。
また夫が出張すると不安にかき立てられてコラドを求めるが、かえって虚しくなり深い孤独に苛まれるだけであった。

主題歌の『赤い砂漠』はアントニオーニ監督の盟友ジョヴァンニ・フスコの作曲で、サウンド・トラックも彼の楽団による
ものです。珍しく軽快なサウンドで、映画では港の小屋での乱痴気騒ぎのシーンで使われています。
また、アントニオーニとフスコとのコンビはこの作品が最後となってしまいました。このブログでは取り上げませんが、
アントニオーニは次作の『欲望』ではガラリと変わってモダンジャズを取り入れています。

↓はジョヴァンニ・フスコ楽団の『赤い砂漠』 YOUTUBEより




映画音楽史(253) 『8 1/2』 1965年公開

2014-10-08 01:54:45 | 映画音楽



『8 1/2』 Otto e Mezzo (伊) 1963年制作
監督 フェデリコ・フェリーニ
音楽 ニーノ・ロータ
主演 グイド … マルチェロ・マストロヤンニ
    クラウディア … クラウディア・カルディナーレ
    ルイザ … アヌーク・エーメ
    カルラ … サンドラ・ミーロ
主題歌 『8 1/2』 ( Otto e Mezzo ) 演奏・サウンド・トラック

一人の映画監督を通じて、過去の郷愁、幻想、それに空虚な現実を織り交ぜて魂を失った現代人の不毛を象徴主義的
に描いたフェリーニ作品で、ベルイマン監督の『野いちご』に並ぶ芸術映画の頂点を極めた最高傑作。
映画監督のグイドは新作のクランクインが迫っているのにその構想も準備もできず精神に変調をきたし始めたため
湯冶に出かける。彼を追うように妻のルイザや愛人のカルラが押しかけてきて煩わしいばかりで治療どころではない。
グイドにとって心の拠り所であるクラウディアも儚い夢でしかない。現実を現実として掴みきれない焦燥は少年時代の
郷愁を求めたり自分勝手な妄想することで逃避しようとするが映画監督としての現実に戻らざるをえなかった。そして
混乱した自分自身をありのままに受け入れる決意をして、オープンセットに集まった人々に力強い指示を出しながら
みんなの輪の中に飛び込んでゆく。

主題歌の『8 1/2』はニーノ・ロータの作曲によるものです。ニーノ・ロータはこの曲をハチャトリアンの『剣の舞』から
アレンジしたりと様々なスコアを書いて全編で使っていますが、やはりラストシーンの少年時代のグイドに重なったメイン
テーマが心に沁み渡ります。もちろんサウンド・トラックはニーノ・ロータ自身の楽団による演奏です。
また、YOUTUBEには見当たりませんがエンリケ・フスコ楽団の名演奏も忘れられません。

↓はサウンドトラックによる『8 1/2』 YOUTUBEより


また、少年グイドの神学生時代のシンボル的存在となったサラギーナ。グイドたちが彼女にルンバを踊らせる浜辺の
シーンで使われていた挿入歌の『サラギーナのルンバ』 ( La Saraghina ) も忘れられない一曲です。

↓はサウンドトラックによる『サラギーナのルンバ』 YOUTUBEより



映画音楽史(252) 『リーザの恋人』 1965年公開

2014-10-07 00:11:39 | 映画音楽



『リーザの恋人』 Un Amore e un Addio (伊) 1964年制作
監督 ジェルマン・ロンテ
音楽 ルイス・エンリケ・バカロワ
主演 ポール … モーリス・ロネ
    リーザ … クラウディア・モーリ
    コレット … マルーハ・アスケリーノ
    マックス … アメディオ・ナザーリ
主題歌 『リーザの恋人』 ( Un Amore e un Addio ) 演奏・サウンド・トラック

風光明媚な観光地マラガを背景に、人生に敗れた男と失恋の痛手に苦しむ女のラヴロマンス作品。
アメリカの新鋭作家であったポールは小説が書けなくなり酒に溺れしまって今では年上の女コレットの世話になっている。
そんなポールはある日失恋の痛手を被ったリーザに出会い、いつしか愛し合うようになる。しかし、リーザの父親が開いた
パーティーの席で、リーザはポールがコレットに囲われているのを知って絶望して自殺を図る。一命をとりとめたリーザに
ポールは生まれ変わったつもりで小説を書いて人生をやり直すと誓うが、リーザは迷いながらもそれを拒む。コレットにも
捨てられたポールは再び酒に溺れ始めるがそこにポールへの愛に目覚めたリーザが現れる。

ロマンチックなメロディーの主題歌『リーザの恋人』はスペインの音楽家ルイス・エンリケ・バカロワの作曲によるものです。
この主題歌のサウンド・トラックが日本でリリースされたのかどうかは記憶にありませんが、日本のヒットパレードでは
モーリス・ルクレール楽団の演奏でベストテン上位に名を連ねていました。他にもスクリーンランド・シンフォニー・オーケストラ
やカルロ・パスカレーラ楽団などのレコードもリリースされているようです。

↓はモーリス・ルクレール楽団の『リーザの恋人』 YOUTUBEより