8日午前1時46分、熊本県の阿蘇山中岳(1506メートル)の第1火口で発生した爆発的噴火では、噴煙が高さ約1万1000メートルまで上がり、熊本、大分、愛媛、香川の4県で降灰が確認された。
気象庁は噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げ、火口から約2キロは立ち入り制限区域となった。同庁は今後も同規模の噴火が起こる恐れがあるとして警戒を呼びかけている。
同庁によると、阿蘇山の爆発的噴火は1980年1月26日以来、36年ぶり。火口付近に設置されたカメラでは、広範囲に噴石が飛散した様子が確認された。熊本県警などによると、けが人は確認されていない。阿蘇市では、一部の住民が避難所に身を寄せた。
同県によると、火口から北東約4キロにある研修施設「国立阿蘇青少年交流の家」(阿蘇市)の2階の窓ガラスにひびが入った。付近には噴石のようなものが落ちていたという。福岡管区気象台によると、8日午後8時現在、約300キロ離れた香川など4県24市町村で降灰を確認。火口から北東に約6キロ離れた阿蘇市内では、灰が3センチ積もった。
九州電力によると、阿蘇市や熊本県高森町、南阿蘇村などでは午後6時頃から約2万7300戸で停電。降灰とその後に降った雨の影響で、送電線がショートするなどしたという。
同庁の斎藤誠・火山課長は8日未明の記者会見で「場合によっては同じ規模の噴火が起こる可能性がある。阿蘇山は不安定な状態で、噴石や火砕流に警戒してほしい」と述べた。今年4月に発生した熊本地震との関連は不明という。
阿蘇山では昨年9月に火砕流を伴う噴火が発生し、噴火警戒レベルが3に引き上げられた。同年11月にレベル2に戻っていたが、同庁によると、今月7日午前10時頃から、振幅の大きな火山性微動を観測。同日午後9時52分頃には、小さな噴火もあった。
安倍首相は8日、視察先の岩手県岩泉町で記者団の質問に答え、「人命第一で、緊張感を持って(対策に)万全を期していく考えだ」と述べた。