深い政治不信を反映=クリントン氏、支持基盤伸びず―米大統領選
米大統領選で公職経験ゼロの共和党の実業家ドナルド・トランプ氏(70)が勝利した背景には、国民の根深い政治不信がある。トランプ氏の政策や政治姿勢は歴代大統領と全く異なるため、米国内外で混乱が生じ、国際社会を揺さぶる恐れもある。
米政治は近年、党派対立が激化し、2013年には予算が成立せず政府が閉鎖される事態に発展した。社会の閉塞(へいそく)感を打開できないエスタブリッシュメント(既成勢力)への反発から、大統領選では「アウトサイダー旋風」が吹き荒れ、トランプ氏を当選ラインに押し上げる大きな要因となった。
産業構造や人口構成などから「全米の縮図」と呼ばれる激戦州の中西部オハイオ州では、トランプ氏が得票率でヒラリー・クリントン前国務長官(69)に8ポイント以上の差をつけ勝利した。全米規模のエリートへの反感は、「クリントン優位」を示し続けた世論調査には明確に表れないまま、確実に裾野を広げていたもようだ。
また、CNNテレビの分析によれば、クリントン氏の敗因として、支持基盤である黒人や中南米系有権者、若者の票が十分に集まらなかった点が挙げられる。
黒人は88%程度がクリントン氏を支持したが、4年前のオバマ大統領の93%には及ばなかった。トランプ氏は中南米系移民への侮辱発言を繰り返したが、クリントン氏への中南米系有権者の支持は65%で、これも4年前のオバマ氏の71%を下回った。
トランプ氏は先月下旬まで、クリントン氏に全米支持率で大きくリードされていた。ところが投開票の11日前になって、連邦捜査局(FBI)がクリントン氏の私用メール問題の捜査再開を明らかにした。結局、訴追しないという結論は変わらなかったが、それが判明したのは投票2日前。クリントン氏は一定の打撃を被った。
トランプ氏は選挙戦で、米メキシコ国境にメキシコ政府の予算で壁を建設すると公約した。こうした政策のため、歴代の共和党政権を支えてきた元高官らの多くは「史上最も無謀」などと不支持を打ち出した。大統領になれば現実路線に転換せざるを得なくなるという見方も出ているが、政権運営がどのようになるかは未知数だ。
恐ろしい・・・・どうなるのだろう