アンジャッシュ、不思議なコンビ関係 ピンでの比重高まるも「すれ違わない」訳とは?
■コンビでの大役に渡部は不満? コウノトリの声優で“父性”に目覚め
同作は、有名な言い伝え「コウノトリが赤ちゃんを運んでくる」という寓話(ぐうわ)をもとに物語が展開。昔のある事件をきっかけに、赤ちゃんのお届けを禁止した「コウノトリ宅配便社」に務める配達員ジュニアが、思わぬ手違いから誕生した人間の赤ちゃんを会社に内緒で人間界へと届けることを決心する。渡部建(44)が主人公のジュニア、児嶋一哉(44)は告げ口屋のハト・トーディの吹き替えを担当する。出演のオファーを受けた当時のことを聞いてみると、渡部がどこか不満げ(?)な表情を浮かべた。
渡部「もう、これだけの規模の作品なので、光栄でしかないですね。だけど、最初マネージャーから仕事の話が来て『よし、オレも俳優で活躍している児嶋に負けずに、こういう仕事が来るようになったな』と喜んでいたら、2人でという話だったので、ちょっと残念でした(笑)本音を言えば、ひとりでやりたかったです」。
児嶋「何でだよ! でも、渡部が主役で僕も役をもらっているということで、要は渡部のバーターということで、正直ラッキーだなと思っています」。
劇中では、ともに“歌唱シーン”にも挑戦。児嶋は、今年3月にAAAの宇野実彩子とのデュエットソング「なろうよ」を配信するなど、すでに歌い手としての経験を持っているが「歌いながらボソッとセリフを言ったりして、しかもキャラもつけながら歌うっていうのはなかなかやったことのない作業なので、難しかったです。自分なりには練習していていったのですが、不安でした。でも、何回かやって『いいですね』ってなったんで、大丈夫なんじゃないかと…」と控え目にアピール。一方の渡部は、ジュニアの声優を演じたことで“心境の変化”があったと明かす。
「ジュニアはキャリア志向なのですが、僕も結構仕事とか頑張って、仕事より大事なものはないと思って生きてきたんです。でも、ジュニアは赤ちゃんのかわいさに魅せられて、仕事より大切なものがあるんじゃないかと思うようになるんですが、僕も甥っ子、姪っ子とかを見た時に本当にかけがえないなと感じていて、これが自分の子どもになったらどうなるんだろうっていう風に、父性本能が養われました。そういう意味では、すごく役に共感できましたし、家族への憧れが増しましたね」。
■ピン活動がコンビ人気後押し モテ男の渡部が独身貫く理由「食べ歩きやめなきゃ…」
最近では渡部がグルメ、児嶋が俳優といったように“ピン”での活躍もめざましい。7月のイベントでは「正直、今お笑い芸人って言えるほどお笑いの仕事していない。コンビの活動も、週に1回会うか会わないか」と自虐気味に語っていた渡部だが、「これだけバラエティー界が多様化してくると、2人そろって呼ぶって意味がないっちゃないんですよね。やれることも違いますし。でも、ひとりで仕事が来るってことは、やっぱりスゴいことですよね。ありがたいことです」と前向きに捉えている。
ピンでの活動は、コンビ活動の“追い風”になっている。先月21日深夜放送のフジテレビ系『オワライターズ』では、『M-1グランプリ』と『THE MANZAI』の2冠を達成したお笑いコンビ・パンクブーブーの佐藤哲夫の書き下ろしで、芸歴24年目にして初の“漫才”を披露。代名詞の「すれ違いコント」を引き合いに「ボケとツッコミがないから…」と不安をのぞかせていた2人だったが、ボケとツッコミが互いに入れ替わるテンポの良い掛け合いで会場を沸かせた。そして今回の声優挑戦と、ここに来て2人そろっての仕事も増えてきており、コンビとピンの仕事が“相乗効果”を上げる珍しい状況となっているが、努めて冷静にコンビとしての今後を見据えている。
「こればかりは我々が決めることではなくて、ピンで来た仕事はそれぞれ頑張って、2人で来た仕事は一緒に頑張るっていうことですね。もっとアンジャッシュをコンビで見たいと思わせることができていたら、コンビでの仕事も増えていくと思いますし、なるようにしかならないですね。流れに逆らうことなく、一生懸命やるだけです」。タレントの“宿命”のように「二度売れる」ことの必要性が語られる昨今、アンジャッシュもその法則に則って「すれ違いコント」と「ピンでの魅力の開花」を経て、地位を確立。2人での仕事も全力でこなし、決して「すれ違う」ことなくコンビとしてのパワーアップを図っていった。
渡部は、今回の作品を通して“家族愛”が芽生えたそうだが、「結婚ですか? この歳まで来たら、そこまでたどり着くっていうのが奇跡。こうなったら、本当に他人様の子どもをどんどんかわいがっていくしかないですよね」と苦笑い。それでも結婚への望みがないどころか、引く手あまたの印象さえ受けるが、改めて願望を聞いてみると、笑いながら率直な胸の内を明かした。
「いやー結婚したいって言わないと変人扱いされちゃうので、そう言うようにしているんですけど、内心は全然もう何か…自分の時間が大切なので(結婚したら)食べ歩きやめなきゃいけないとか、スポーツ見に行けないとかなるのはちょっとツラいですね」。仕事も軌道に乗ってきて、多彩な趣味で私生活も充実…今しばらくは独身貴族を謳歌する日々が続きそうだ。