それでも深く考え抜く
コロナショックが医学的に見て自衛への注意を促しているのと同時に、やや矛盾をはらみながら経済活動の再稼働が本格化し始めた。
コロナショックでは仕事が激減したSOHOや個人事業家がいる。
これからも増えるだろう、と容易に想像がつく。
私にも直接いくつかの相談が舞い込んでいる。
私は今まで30年間の事業者としての実践経験と、SOHO CITY みたか構想の実現に向けた約20年の活動の中で身についた実戦に役立つエッセンスを、アドバイザーの立場から、その人一人ひとりに薬を処方するように伝える努力を続けている。
経営について、大企業のそれとは基本こそ同じだが、現実の取り組みとなるとそこには違いがあるのは当然である。
だからこれらを踏まえ、なるべく当人が現実的な「一歩」を踏み出せるようにアドバイスすることを心掛けている。
しかし当然というべきか残念というべきか、事業者が新しい方向を向き、考えを改め、現実的な一歩を踏み出そうとしなければ何も進まない。
少数だが、こんな大不況の時期でも深く考え、いろいろと試すことを続けるSOHO事業者は、立ち直りへの道も遠くはない。
経済活動の総量は減ったとは言え、すべてが止まったわけではないからだ。
なくなる仕事
継続の仕事
生まれる仕事、がある。
さて、
「本を読んだり、ダベッたり。見たり、聞いたり、試したり」
この5つの行動指針は、もはや起業と経営を語るときの口癖になってしまった。
しかし、何度も繰り返すことをお許しいただきたい。
何故なら経済大不況の時代には、それらを普段から行っていたか否かで、結果は天と地ほどの差となるからだ。
今は外的環境が激変し、未来もまだ不確実な要素に満ちている。
この中で失った売上と利益を新たな分野で確保しようとするのは容易なことではない。
打開するためには、己の深く考え抜く力と行動力が試される。
しかしいくら考え、計画を練りなおしても
「やはり、だめだ」と天を仰ぐ時があるだろう。
進むべき先が見えず、暗澹とした気持ちの人がいるだろう。
心が晴れぬまま、時間だけが過ぎる人もあるだろう。
「所詮自分の夢は、単なる幻だったのか」と、諦めたくなった人も多数あるだろう。
「やればできる」
というのは何事にも応用はできない。
それを言う人は何もやったことがない人だ(気つけ薬に言うのは許される)。
単なる精神論でこの現状を良い方向へ向ける、というのには無理がある。
無理が続ければ消耗し、ヘタるだけだ。
「世の中には、やっても出来ないことがある」
そうか、と悟ったうえで私は深く考え続けることを勧めたい。
深く考え、いろいろと見聞きし、事業計画書をいじくりまわしていると、最悪の場合でもアイディアの断片は出てくる。
引き続き深く考えていると、まったく思わぬ時に、それらのアイディアの断片がいくつか結合し、腹落ちする。
自分でもびっくりして事業計画書をざっくりと書き、数字の整合性を確かめてみる。
思いもしない事ではある。
しかし7-8割なら行けそうだ、と納得できたならあとは実行するだけ、となる。
細部は修正をかければ充分だ。
このようなことは
「全ての人に可能」で、
「その時は必ず訪れる」、
などと無責任なことを言うつもりはない。
出来るのはごく少数だろう。
先ず行わない人が圧倒的に多い。
それでも諦めず、再び深い絶望感と過ごしながら考え抜けば、そのパーセンテージ自ずと上がる。
この戦う気概と執念がこの時代には必要だ。
辛い戦いを回避する人が多いので、その結果新しい扉を開く人はいつも少数である。