AI翻訳はTOEIC 900点
NICT(国立研究開発法人 情報通信研究機構)フェローの隅田さんから最近上梓された本が届いた。
題名はAI翻訳革命で、”同時翻訳は2025年に実用化できる”と断言されている。
個人的に興味を抱いたのは、40年にわたり同時翻訳を成功へと追い詰めていくプロセスだ。
圧巻である。
物事を突き詰めていくという事は一筋縄ではいかず、かつ実に面白い。
おそらくあらゆる分野の開発者に共感される本だ。
読者の多くはGoogle翻訳、DeepLなどの翻訳とどう違うかに興味があると思う。
本の中ではGoogle翻訳はWebの中に存在する、あるいは意図的にテストする雑多な訳語から学ぶが、こちらは選ばれた論文からより良い翻訳を学ぶので、仕事上ではそれぞれの専門分野に特化した専門用語(technical term)まで対応が可能な良質な翻訳になるという。
NICTでは無料版をすでに公開しているので、興味がある人はDLして使ってみればわかる。
VoiceTraサポートページ - NICT
ここ数年で更なる精度向上も見込める。
では我々SOHOや身の丈事業家にとってAI翻訳はどんな意味を持つのだろうか。
もちろん海外とのコンタクトが格段に容易となることはわかる。
文献もそうだ。
実務ではECのウェブページ制作やレスポンスの内容も向上するだろう。
少なくとも英文のメールが届いてもビビらないで済む。
本では美容師や商社マン、病院や舞妓さんまで翻訳機を使って仕事を進めている例が紹介されている。
曰く”暗黙的に鎖国状態の日本”から脱しよう、という提言が含まれている。
音声AI翻訳は既に我々の味方である。
さて、ここでもう一冊別の本を引っ張りだしてこよう。
中西輝政氏の”本質を見抜く考え方”(2007年初版)だ。
この本はコンサルタントの教養書(まずは読む本)としても有名だ。
その冒頭にこうある。
『外国に留学した日本人が、疎外感を感じる場面があります。
外国のことは留学前から一生懸命勉強して、それなりの知識を身につけて行ったのに、行った先の外国人からは日本の古典や伝統芸能などのことを聞かれ、答えられなかった自分にショックを受けるのです』
かくして青年中西輝政氏は日本の古典を留学先のイギリスで独学するのだが、今日紹介した2冊の本から問われている核心は
・自分の人生という時間を何に使うべきか
という問いである。
同時に、
・道具を使ってさっさと済ますべきこと、と
・じっくり時間をかけて考え続けるべき物事
の塩梅の話である。
それへの答えは自分で考えて出すしかない。
さて、私はこの頂いた本を二晩で一気に読んでしまった。
久しぶりに面白い本に出合った感覚が残っている。
加えて、
本業×ICTツール
本業×デジタルプラットフォーム
本業×AI翻訳
上記の構図が頭の中でグルグルと動めいている今日である。