日々の出来事を写真と共に

身近に起こる出来事、感想を写真と共に綴ります・・・

ムカッとする言い回しも

2014-02-15 | 読書
【2014.02.15(sat)】
本を読んで少し気持ちがスッキリ。

・私のように古い人間ですと、今時の言葉遣いにカチンとくる場面にしばしば遭遇します。
やはり同じようなことを思う方がいて意を強くしました。

・同年代の元文化放送アナウンサー、<梶原しげる>さんが興味をそそられる題名の本を書かれています。
(ちなみに梶原氏は他にも「口のきき方」「そんな言い方ないだろう」「即答する馬鹿」など、しゃべりのプロらしい本を著しておられます。)



【ひっかかる日本語】 梶原しげる著 新潮新書489  2012.10.20発行

・私が先日訪れたスキー場でのこと。
最近のスキー場は生き残りをかけてCS活動が盛んです。トイレも暖房完備で清潔、快適なのですが、良く見掛ける「いつもきれいに使っていただきありがとうございます。」の張り紙がここにもあり。

・良く行くスーパーやコンビニでは余り違和感を感じないのですが、初めて訪れる人も多いスキー場でこの表現はどうなんだろうと思いました。

・【ひっかかる日本語】では冒頭に、著者が上記の表現に違和感を覚えるところから話しが始まります。そして“近未来を先取りし、強引に過去の出来事にして感謝までしてしまうコピー”という解釈には納得。

・この本では触れられていないのですが、私が子供の頃は間違いなく使われていなかった、 「○○円からお預かりします。」の表現については他の方が、興味深い考察をされています。
この会話表現、必ずしも間違いでは無いと言う解釈があるんですね!
多くの方の意見は其々分かりましたが、それでも私は「○○円をお預かりします。」の表現の方がスッキリします。

「ご注文の品は以上でよろしかったでしょうか?」の過去形も日頃気になっている表現ですが、これは“必死に丁寧語的表現を目指したと察せられる単なる誤用”と書かれていて溜飲が下がりました。

・前半部分では、上の例のような日常生活に於いて“ひっかかる日本語”を指摘して、何故そのような言葉が使われるようになったのかを調査考察されています。
その語り口は面白く、楽しめます。

・後半は主に話法やコミュニケーションのテクニックについて語られます。
脱帽する日本語表現の例として「池上彰さんの説明は何故分かり易いか」ということについて述べられています。
それは①直接話法の多用、②擬人化、③受講生に質問させる技、という三大特徴に集約できるとか。

・他にも梨元勝氏(故人)、田原総一朗氏の話法が例として登場します。

・新しい日本語の使い方は決して間違いばかりではなく、時代がそのような使い方を求めているから生まれるという背景があるようです。

【すべらない敬語】 梶原しげる著 新潮新書245  2008.01.20発行

・2007年2月に国の文化審議会が戦後3度目の「敬語の指針」を定めました。
これを受けて“敬語の用法を改めて考えてみた”のが本書執筆のきっかけになったようです。

・最新の指針によれば敬語は、①尊敬語、②謙譲語Ⅰ、③謙譲語Ⅱ、④丁寧語、⑤美化語で以前の3分類が5分類に増え、著者はこれを敬語革命と位置付けています。

・敬語の成立から現在のあり方についてまで、社会の中での位置づけを中心に解説されています。分かりやすい語り口で敬語に対する知識が深まります。

・正しい敬語を完璧に使えたとしても、それは必ずしも効果的ではない場合がある。
相手との関係、場面に応じて非敬語を組み合わせるテクニックも必要とか。

・普段自分が使っている敬語は適切であるのか、考え直すきっかけを与えてくれました。

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・こちらは余談になりますが、図書館にリクエストしていた本が到着したので読みました。



【穴】小山田浩子著 新潮社 2014.01.24発行

第150回芥川賞受賞作品です。
最近読んだ芥川賞作品に面白いと思える作品があまり無かったので、期待半分で読み始めました。

・これって直木賞作品??と思うような平易な書き出しです。
すんなりと入っていけます。
どこにでもあるような平凡な日常生活の中から話しは始まるのですが...

・何とも理解し難い“穴”に主人公が落ちる処、そして現実離れした義兄の登場、更には、義兄と主人公との会話場面にて、これは純文学作品だったんだと改めて思いました。
著者が想像力で描く心象世界に引きこまれたようです。

・胸の深さのほぼ等身大の“穴”に落ちるシーン以降、何の変哲もない日常風景は一変して非日常の世界へ..この移行が実に巧み。著者の才能を感じます。
私の中では久々のヒット!新鮮な感覚でした。

・小山田さんの出世作【工場】を次に読んでみようと思っています。

Reading feed the imagination.
See you.

I.O
コメント
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