いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

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内閣不信任騒動の間抜けな顛末

2011年06月03日 21時14分14秒 | 政治って?
かなり珍しいドタバタ劇だったのではないか。率直な感想がこれだ。政治への不信感の高まりは頂点に達するが如しである。殆どの国民は、呆れてものが言えないという気持ちになったであろう。

どうして、こんな混乱が発生してしまったのか?
不可解なことが多すぎる、ということではあるけれども、私の逞しい妄想では、説明不可能というほどでもないかな(笑)。


・繰り返す「菅降ろし」

どうにかして菅政権を引き摺り降ろそうと躍起になっていた連中がいたわけだ。
最近のものだと「海水注入中断は菅総理のせい」批判だ。菅総理だけの問題というより、政権の体制とか操縦し易さとか、そういうことが問題とされたのであろう。誰にとっての、ということには、注意が必要だが。

5月27日>逆襲の一派

どうも政府の防御態勢が弱いのではないかと書いたら、本当に不信任案提出されるという窮地に。

不信任案といえば、以前に書いたのだった。

4月26日>東電を今のまま温存することなど許すべきでない

多分、菅政権だと言うことを聞いてくれないので、東電を守れる人間を据えなければ大変困る、という方々が出てくるわけだ。恐らくね。そういう連中は、引きずりおろしに必死になるわな。これまでも、そうやってきたからだ。その手を使ってきたんだもの。
だが、いくつかの手段が封じられた。
その代表的なものが、「検察を使う」というものだ(笑)。これが使えない。だから大変困っている、ということだろうね。
(中略)
政治資金というケチなスキャンダルも、今の状況では不発で終わる。実際、不発だった。
不信任案可決で造反を求めても、小沢一派との取引が必要になる。小沢を担げ、というものだ。それだけは、絶対に許せないという方々が、ここに来て「背に腹は代えられない」という、まさかの決断をできるとも思えんし(笑)。


こう書いたわけである。そうすると、非常事態と見たか、決断をしたというわけだ。禁断の果実に手を伸ばすことを(笑)。それとも、できるもんか、という挑発を受けて、やってやるぜということかもしれない。


・旧タイプの権力サークルの復活を求める勢力

余程切羽詰まった状態と判断されたのであろう。
小沢一派の力を借りるのだけはどうしても嫌だったが、この際止むを得ないと考えざるを得なくなるまで追い込まれていた、ということだろうね。

旧タイプの権力サークルが実権を取り戻しさえすれば、後々のことはどうにかなると、安易に見切り発車となった、ということだ。多分、時間的には余裕がなかったので、それも仕方がなかった。
サミットから戻った菅を降ろす為の準備工作を進めてきた、ということだろう。「菅降ろし」の伏線は整えられていて、マスコミにも下準備はできていた。

この旧タイプの権力サークルとは、皆さん既にご存じの官界・財界・マスコミ等を含めた勢力であり、共通点を挙げるとするなら、例えば東電を擁護、原子力を推進といったものがある。彼らの狙いは、やはり何度も出てくる「3条但書適用」といったことであり、政府がこの決定をして東電を救い、賠償は別枠でやってくれということだ。これを実行するのは、現政権では無理だ、ということだった。

そこで、政府の「ラベル」を変えましょう、ということになるわけである。変えるには、自公連立+造反組の勢力結集が必要になる。拙ブログ記事で示したような小沢一派の協力というものがどうしても必要になったわけである。言ってみれば呉越同舟みたいなものだ。

旧勢力が実権を握り、勢力復活を遂げさえすれば、後は「どうにかなる」と。
「どうにかなる」は、次第に「どうにかできる」→「どうにでもできる」という楽観論に変わっていったのだろう。
菅総理が解散総選挙にうって出ると、自公連立政権が勝てると見込んで、数の確保さえしてしまえば、後は小沢勢力の排除は「徐々にやればいい」と。いざとなれば、政治資金問題で封じ込めをすればいい、と。

過去の様々な手口(醜聞、金、検察権力、個人的資質、等々)は殆ど使えなくなってしまったので、今回は正面突破を図ってきた、ということでしょうな。勝てるかどうかという綿密さはなくとも、タイミングと勢いで「イケる」と踏んで仕掛けてきた、ということでしょう。


・生じた誤算

何かの突発的な要因、ということであろう。元々は、菅―鳩山会談は「決裂」ということだったわけである。それなのに、投票当日、それも直前の会談で、一転したのである。

それは、ここに来てどうしても阻止しなければならない事情というものがあったから、ということではないか。
例えば、新政権後に目論んでいた何かが達成困難になってしまったということが判明した、とか。話題の中心となるのは、やはり東電の処理問題ということになるだろう。「3条但書適用」といった大技が使えなくなってしまった、というような障害である。
旧タイプ政治家たちは動きだしてしまっていて止めようがなくなり、石は転がり続けるわけで、どこかに落ち着く所で止まるまで転がり続けてしまうということになるわな。一部マスコミだって支援の準備をやってきたわけだし、ここで退くわけにもいかない、ということになるわな。不信任案提出に踏み切ってしまったものだから、答えを出すまでは動かすしかない、と。

だが、一番の目的が達せられないことが判って、そうするとどうにか止める手立てを考えるよりなく、大技使えない上に「小沢との取引」と「小沢一派復活に手を貸す」ことだけが残ることになり、仮に新政権となっても小沢に急所を押さえられてしまう可能性は残る、と。大技が消えたのに、小沢の復活だけが残るなら、取引そのものを不成立にした方がよい、という判断が働いたのかもしれない。

ならば、ということで、鳩山側近を使って大逆転の知恵を授けた人間がいた、ということだろう。面白い策士ではある。うまい手を思いついたものだな、と。
鳩山がこれを牽引する程の力量があったとも思えず、この土壇場で鳩山を落として寝返らせ、小沢封印を実現させてしまったのだから、凄腕であろうな、と。
鳩山グループが寝返ったという情報は不信任案賛成派の数的不利の懸念を現実のものとし、小沢グループにも思いとどまらせるに至った、ということですから、まさに急所への一撃となったわけですな。
不信任案を否決に追い込み、小沢封印を維持するには、ここしかない、という一手であったということです。

感服致しました。
策とは、こうでなくちゃ、とは思いましたわ。いやいや、頭の切れる人間というのは、やっぱりどこかにいるんですね。
転がる石がデカけりゃ、止めるのも容易ではないですもんね。


で、自民党では、ぬかよろこびに湧いていたようですが、勝ったも同然という時ほど用心が必要ということでありましょう。得てして、こういうもんだ、ということなのかもしれません。勝利を確信した時ほど、落とし穴には注意すべし、ということですか。
乗せられて、勝手に踊って、元サヤに、寂しく戻る、自民の議員。