いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

壮大な実験~『Svensson Plan』に踏み切ったスイス中銀

2011年09月07日 11時28分43秒 | 経済関連
スイス中銀は、スイスフランの通貨高に対処する為、1.2ユーロの下限目標を設定した。

自国通貨を売る側は、刷れば通貨は供給できるので、圧倒的に有利。これは以前に書いたとおりである。

現時点で日本は円の減価を選択すべきか

(再掲)
いずれにせよ、03年頃の介入水準というのは、高々110円程度であって、そんなのは攻撃のうちにも入らんだろうね、というのが個人的感想。弱小通貨国だと、自国通貨の売りを浴びせられるので、防衛側の弱小国中銀は対抗してドル売り自国通貨買いを継続しなけりゃならない。ドル売り自国通貨買いを継続する玉(=金)が尽きると万事休す、だ。けれど、自国通貨高ならば、防衛側中銀は圧倒的に有利。何故なら札束を印刷して、自国通貨を売りまくればいいだけだからだ。玉は無尽蔵に作り出せると言ってもいい。かつて日本が為替相場で攻撃を受けた(95年)のは、大蔵&日銀がバカだったというだけ。円高を防衛するのなんて、刷って売ればいい”だけ”なのに、それをできないという「硬直的官僚組織」と政治的な「意思決定機構の脆弱性」を持つという点を衝かれたわけだ。早い話が、「うすのろ」ということだ(笑)。こんな通貨強国に圧倒的に有利な戦いでさえ、愚鈍ゆえに「相手側にポイントを奪われる戦い」にされてしまうのである。


まあ、中には、「何も起こらない」と言う人もいるわけで、どういう現象が見られるか観察結果が楽しみではある。

もしもペッグを継続した場合、インフレ率の上昇ということが起こってくると予想されるので、金利引き上げなどの対応が必要になってくるだろう。
ただ、継続期間の問題もあるから、あまり長期に渡って実施されなければ、酷いインフレにつながることはないかもしれない。若干のインフレ率上昇で済むかもしれない、ということである。
スイス中銀がインフレ・ターゲットを表明しているかどうかは知らないが、通貨の減価による効果の方が現時点では重要と考えているということであろう。現状では、インフレ率が低く、金利水準も低いということなら、選択可能な手段であある。


実施後、とりあえず10%程度の急落が起こったようなので、この一撃で投機筋の資金の何割かは一気に逝かれた可能性があるだろう。まず殲滅戦の第一撃が奏功した、と見るべきかな。

今後欧州の経済不安が継続する場合、ユーロへのペッグで通貨安が持続することになるかもしれず、その離脱の判断はやや難しくなるかもしれない。


それと、通貨政策だけでは、厳密に言えばスヴェンソン提案の実施ということではない。通貨政策にインフレ目標などのコミットメントを同時実施することが必要である。なので、為替のレンジ設定だけだと、恐らくは「通貨発行増大」による為替と物価水準の変動がどのように動くかを受動的に観察するだけになるだろう。
そう、アクティブな政策目標と結果というよりも、あくまである通貨政策を実施した場合のパッシブな観察結果を得るだろう、ということである。



一足先に――破綻危機の米郵政公社

2011年09月07日 10時31分16秒 | 社会全般
郵政改革で米国からの厳しい要求を突きつけられた、と問題にされていたのが懐かしい。

年次改革要望書 - Wikipedia


労働規制緩和とか、法科大学院とか、医療保険制度の自己負担額増加とか、そういうのもあるが、郵政民営化も勿論入っていた。


本家本元のアメリカの郵政公社は潰れそうなのだと(爆)。

米郵政公社がデフォルト寸前 全郵便局が閉鎖の危機 | The Wall Street News

(以下に引用)

郵政公社は、売上げ、コストの両面で圧迫されている。インターネットの普及で手紙を書く習慣が無くなりつつあり、収入が激減。一方で、人件費が支出の80%にものぼる。ちなみに民間宅配会社ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)のコストに占める人経費の割合は53%、フェデックス(Fedex)は32%だ。

しかし、いわゆる破産という現実に直面している今、大胆な経費削減を断行しなければならない。ドナヒュー総裁は、土曜日の配達の中止、全米3700カ所の郵便局の閉鎖、12万人の職員の解雇を計画している事を明らかにしている。

郵政公社職員の多くは組合に所属しており、規約で解雇できない事になっている。そのため、公社では、議会にこの規約を無効にするように求める方針だ。また売上げに関しても、ワインやビールの配達、郵便トラックへの商業広告の掲載など、今まで法律で禁止されていた分野に事業を拡張したい考えだ。

一方で、公社の職員のうち20万7千人が所属する米国郵便事務労働者組合(APWU)代表、クリフ・ガフィー氏は怒りを露にする。「我々は、断固として戦う。契約破棄は違法だ。」



日本の組合は悪、米国の組合は当然、ということなのか(笑)。
で、米国の郵政公社は破綻寸前なんだと。日本の郵便事業の先行きを見るようで、先に民営化して生き残りの事業展開をよく考えた方が、長い目で見れば多くの郵便局が助かるはず、と僕は思ってきた。ユニバーサル・サービス維持も法律で確保されたしね。郵便事業の先行きはかなり暗く厳しい、というのは、予想されたことだ。



米国の体質は、前に言っておいた通りなのさ。

外資規制は米国もやっている - いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

日本には、お前のトコの農協が悪い、労働組合が悪だ、あれこれ規制が悪い、と文句を言ってくるのだが、自分の国の制度は規制をがっちり守ったままなのだな。大笑い。貸金の上限金利規制もそうさ。「無制限にして、儲けさせろ」と散々ロビーをやって、その挙句には貸金市場から撤退だそうで。ああ、いくつか潰れたんでしたか?
「あおぞら銀行」「新生銀行」とかの外資系金融機関の経営は、さぞかし日本の銀行よりも素晴らしいんでしたか。さすが、日本の非効率な銀行とは違いますな。

これがホントの「これはひどい」(笑)


そういえば、郵政利権で、「かんぽの宿」の不動産鑑定がいかに杜撰だったか、確かめたか?担当した鑑定士が行政処分を食らったのに、「かんぽの宿」をオリックス不動産に100億やそこらで売却するのを正当化していた連中は、何の反省もないな。

もっと愚かなのは、日本郵政の投資損1200億円超の方がはるかに問題だというのに、かんぽの宿の赤字を殊更取り上げるということなのだよ。


まあ、米国さまにおかれましては、普天間基地に海兵隊をはり付けておくくらいの余裕をかましているようですので、雇用・失業問題が当面重要になっているさなか、郵政公社には破綻してもらうか全郵便局閉鎖でもやってもらって、大リストラを断行してもらい、もっと失業者を増やしていただけると、資本主義って素晴らしいなあと実感してもらえてよいのではないかと存じます。

いやー、十数万人規模での首切りですかー、うらやましいなあ、解雇自由の国アメリカ(笑)。
簡単に首にできる米国の労働市場という幻想を頭から信じ込んでいるアホどもが日本にも大勢いるので、そのお手本を見せてもらえると嬉しいです。