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猪瀬直樹東京都知事は何故排除されたのか~3

2013年12月20日 21時13分51秒 | 政治って?
5)猪瀬知事の討たれた理由は?

これはよく分からない。
東電病院売却話のこじれ、などという軽量級の話ではないだろう。例えば入札逆転を狙って、慶応閥が何かを画策するとしても、猪瀬追い込みまで使うような話ではないから、だ。利益と工作の難しさが乖離しすぎている。


最も考え易いのは、五輪特需に関連する「五輪マネー」の分配を巡る抗争、というものだろう。競技場や選手村の建設・改修工事等々、いわゆる公共事業関連の受注先などで「おいしい蜜」に群がる者たち、というのが出てくる可能性があるわけだから。その配分先で、文部科学省とか国土交通省といった官僚勢力と、東京都知事が衝突したのかも、ということが想定されるが、まだ話が具体的でもないし、そこまでぶつかる理由というのは分からない。予算規模とか事業規模に関しては、組織委員会を設置して以降ではないかと思うし、メンバー選定で都知事権限なんてほぼないだろうから、考え難い。五輪マネー抗争、という可能性はかなり低いのではないかな、と。


他には何が考えられるか?

やはり電力関連かもしれない、ということがある。


どうしてか?
それは、東京電力が本格的に「倒れそうだから」ということだ。東電資金問題というのは拙ブログでも取り上げたが、資金繰りは詰まっている。そして、今後の事業においても、収益構造を維持することは極めて困難だ。それは原発再稼働をしないから、ということだけではないのだ。東電の経営基盤そのものの危機、ということである。


ここで、最も危険な問題が浮上した。

そう、小泉純一郎、だ。


小泉さんの「脱原発発言」は、かなり強力なものだ。そこの猪瀬さんが乗れば、手に手を取って、かなりの脅威をなるであろう、と言う計算が働くだろう。猪瀬さんは元々小泉総理時代に道路公団民営化問題で、最後まで戦い抜く闘士として存在感を示し、猪瀬さんを現在の地位に引き上げてくれたのは、言ってみれば小泉さんのお陰だったから。
その小泉さんが「原発なしでもやっていける」と宣言し、猪瀬知事が共闘することになれば、本当に東電は二進も三進も行かなくなる。これを恐れるのは当然(東電)だろう。


猪瀬知事は、小泉発言が出る前から、東電病院売却問題なんていう小さい話ではなく、「脱東電」を推進してきたわけだから。


新電力構想 13年5月17日
>http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1305/17/news013.html


環境局 13年8月16日 
>http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2013/08/20n8g200.htm



要するに、東京都は今後東電から電気を買わないよ、と。そうなれば、原発稼働云々ではなく、東電の売上そのものが消滅することになるからだ。そして、これを首都圏全体に拡大しよう、ということだったからだ。これが起こればどうなるか?

例えば東電の売上高が10分の1にまで落ちてしまえば、それは再建計画そのものの根幹が崩壊することになるのである。東京都の方針を急進的ではないものにしてくれ、とお願いしても、首を縦に振らなかったとしたら?
当面、東京都が使う電力の1割が「脱東電」化されて料金が安くなる、と。これを全東京都の施設に拡大されたら、どうなるか?大口顧客が次々と脱東電化を図っていけば、どうなるか?

これは東電倒産計画、と言っても過言ではない、ということだ。真綿で首を絞めるが如く、東電に「死ね」と宣言したも同然だ、ということである。しかも水力発電等売却先を東電以外に選定しよう、というのだから、まさにスマートシティ構想が推進される先にあるのは、東電の破綻、である。


恐らく、猪瀬知事が小泉純一郎の言葉に共感することは間違いなく、これが脱原発&脱東電の動きが加速することにでもなったら、東電擁護派たちは枕を並べて全員討ち死にとなるのは必定であったので、これを何としても阻止する必要があったはずだろう、ということだ。
猪瀬知事を泳がせておいたものの、東京五輪招致成功でこれを背景として思わぬ政治力を獲得されてしまったので、放置しておくわけにもいかず、しかし猪瀬さんは「うん」とは言わなかったが為に討たれたものと思う。



石原慎太郎との会談後に猪瀬さんの辞任決断、ということになったようだが、石原あたりなら「挨拶に行けとは言ったが、カネを借りろとまでは言った覚えはないぞ」とか言い逃れするだろうし、「事後処理をきちんとやるのが政治家の務めなんだから、その失敗の責任はお前自身がかぶれ。そうじゃないと、お世話になった徳田さんにも迷惑かかるし、紹介したオレの顔にも泥を塗ったことになるんだからな」くらいは言うだろうから、ま、ここは一度退け、と説得したんだろう。


猪瀬知事が悪玉の本性の持ち主で、誰に迷惑をかけようと平気で、へっちゃらだぜと言い切れるような人間性だったなら、どれほどの仕打ちを受けようとも耐え抜けたかもしれない。が、基本的に真面目な人なんだろうな、とは思う。


選挙なんかやったことなくて、言われるがままに動いて、良く知らないけど、選挙には大金が必要だからって、用立ててもらえたので、とりあえず自分で用意できない分は貸してくれるって言うからうっかり借りてしまって(寝醒めが悪いから返済はしたけど)、その結果がこうなった、ということだろうね。
だって、選挙までの僅かな時間で、ただの個人に数千万円も貸してくれる銀行があるかな?
普通の人には、用意できるような額ではないだろう、きっと。
だから、猪瀬さんだって人間だもの、うっかり借りてしまったんじゃないんですかねえ。ある時払いでいいですよ、って言われたら、政治の世界はそういうもんなのかな、と思って、そう信じていたのかもしれません。石原親分の口利きなんだもの、信頼するに決まってますわな。


失敗の最大の理由は、猪瀬さんが事態発覚後に「何とか必死で隠そうとした」ということだろうな、たぶん。彼の性格上、隠すのは極めて苦手だったのだ。根が悪玉ではなかったから、だ。悪に染まり切っていた人間ではなかったから、だ。

これをアマチュアと呼ぶなら、一体誰が政治の世界に生きられるのだろう?
それは、心底悪玉の根性を持つ人間、ということなんだろうか。


猪瀬知事誕生は、不本意であったが、このような失脚劇は許されるべきではない、という点において、猪瀬知事辞任という幕切れは無念と言うよりない。


大手マスコミが「ここで終わりにするな、特捜部が追い詰めろ」みたいな論調になるのは、ゲスな宣伝工作の臭いを少しでも緩和してくれ、という時に使う常套句なのではないのかな。



猪瀬直樹東京都知事は何故排除されたのか~2

2013年12月20日 21時08分52秒 | 政治って?
4)「東京電力病院」売却は贈収賄にあたるか

猪瀬知事の最も不幸な部分がこれだ。報道などでも、実しやかに東電病院売却問題が最大の原因だ、といったようなことが言われている。

しかし、その線は猪瀬さんには何の関係もない話だったはずだ。

 ア)東電病院売却決定は12年10月
都知事時代でもない話だし、猪瀬さんが売却を決めたわけではない。

2012年10月1日>http://www.tepco.co.jp/cc/press/2012/1221307_1834.html


 イ)東電病院売却手続は、東電の仕事
猪瀬知事が何かの決定権限を利用しようとしていた、ということではない。そもそも売却は東電のやっていることであり、そこには東京都の役割というものは殆どない。しかも東電の競争入札手続きが不透明であること、売却先の選定がどうも怪しい、と報じられたことなどがある。猪瀬知事には関係のない話である。


11月1日フライデー>http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37407?page=2

(一部引用)
入札が行われたのは、今年8月です。合計11の会社、法人が名乗りをあげたと聞いています。最終的に3者に絞られ、競争入札が行われた。

その結果、1位は不動産デベロッパーの東京建物。2位は、医療法人の徳洲会。3位が、同じ信濃町にある慶応大学病院だった。1位の東京建物と、3位の慶応病院では入札価格に倍の開きがあったそうです。東京建物の〝圧勝〟だった」

東京建物の入札価格は、猪瀬氏が指摘した120億円にきわめて近い金額だったという。入札で2位になった徳洲会の広報担当者はこう話す。

「東電病院の入札ですか?ウチは途中で降りました。そこは別に隠さないですけど。今回ご存じのような事態(公選法違反容疑で東京地検特捜部の強制捜査)で、理事長の交代もあり、事前にこちらのほうからお詫びして入札の途中で辞退したんです。入札で、札は入れましたが、10月中旬の決定の前にこちらから降りました。応札価格はノーコメントです」

残ったのは、東京建物と、慶応病院。

「東電は、ホンネでは慶応病院に売りたいんです。東京建物に売ってマンション用地に転用された場合、現在在籍する100人以上の医師をリストラしなければならなくなりますが、慶応病院に引き取ってもらえばその問題も起こらない。東電病院は慶大医学部出身の医師が多く『慶応義塾大学関連病院会』という組織にも名を連ねているほど親密ですし、東電社員への優遇が続く可能性もある。しかし、入札額にこれだけ差があるのに慶応に売れば、東電の経営陣は会社に損をさせたとして株主代表訴訟の対象となる可能性さえあり、頭を悩ませているのです」

東電関係者は別の内部事情も明かす。

「東電がいまだに正式な売買契約を締結しないのは、東京建物が具体的な開発計画を示さないことを理由にしている。東電の幹部のなかには、時間をおいて創価学会に高値で転売されるのではないかと疑う声があります。その確証がとれないというんです」


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しかも、報道で徳州会以外の売却先が既に報じられていた。東電もこれに関して、以下のリリースがある。


2013年11月24日>http://www.tepco.co.jp/news/2013/1232398_5311.html

平成25年11月24日付朝刊各紙における東京電力病院の東京建物への売却に関する報道について
平成25年11月25日
東京電力株式会社

平成25年11月24日付朝刊各紙において、当社の保有する東京電力病院を、東京建物へ売却する方針を固めた(売却する方向で検討している)との記事が掲載されておりますが、本件に関する当社の見解は以下のとおりです。
 東京電力病院の売却に関しては、昨年10月1日にプレス発表を行い、競争入札による売却手続きを進めているところですが、応札者や手続き内容等の詳細については、今後の売却手続きへの影響等を考慮し、回答は差し控えさせていただきます。


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にも関わらず、東電病院売却問題に関して、都議会議員がしつこく無駄に質問している。例えば以下だ。


共産党都議団質疑12月11日
>http://www.jcptogidan.gr.jp/html/menu4/2013/20131211115605_1.html


結論から言えば、都知事選前に請託を受けることもできないし、都知事に東電病院入札手続関連で何の決定権限もないし、口利きも通用してない。東電病院売却話が怪しいというのは、あくまで東電の問題であり、猪瀬さんには無関係だ。入札結果は報道にある通り「東京建物」ではないか。徳州会ではない。
「かんぽの宿」の売却話の時みたいに、結論ありきみたいな「大特価+オリックス不動産」という不透明な結論にはなっていないんじゃないですかね?


それをあたかも猪瀬知事が何らかの取り計らいを行ったのではないか、という疑惑の目を向けさせんが為の、でっち上げ工作に過ぎない。
小沢一郎の陸山会事件と水谷建設の裏金献金事件で「胆沢ダム」工事関連がどう、とか、西松建設の裏金献金とか、そういうのが全部出鱈目に終わったのと同じ。5千万の裏金、というイメージ戦略だけでマスコミを焚きつけて、追い落としたわけだよ。それと同じ手法だ。


東京電力病院の売却手続きに関して、都知事の介入できる部分はない。入札に特別の計らいをしてくれ、とか、他社の入札価格を教えてくれ、とか、そういう「出来レースを組んでくれ」ということでもできないと、贈収賄なんかあり得ない。


猪瀬直樹東京都知事は何故排除されたのか~1

2013年12月20日 21時08分37秒 | 政治って?
当初の目論見通り、遂に猪瀬知事を討つことに成功したようである。猪瀬知事は自ら辞任へと追い込まれた。これを願い、シナリオを進めてきた連中が存在したはずである。そうでなければ、猪瀬知事を失脚させるだけの、これといった理由は思い浮かばないから、だ。
一体誰なのか?
どういう目的だったのか?



余りに哀れな幕切れであった。
猪瀬知事を支持したことは過去一度もなかったけれども、彼がこういう追われ方をすることになろうとは思えなかったし、まるでメディアスクラムと呼ぶべきリンチまがいの「猪瀬の首狩り」手法に、辟易すれども賛同などできないものだった。


こうした失脚劇は、これまでにも目にしたはずだ。小沢一郎が幹事長だった時にも、同様だったであろう?
違ったのは、小沢の時には特捜が先頭に立ってマスコミと一緒にやったわけだが、猪瀬の時には「特捜は目立ち過ぎる」ということで側面支援(徳州会ルート攻め)に徹し、猪瀬を追い込ませたのはマスコミと都議団だったというだけ。

都議連中にしてみれば、これまで何らの脚光も浴びることなどなかったが、今回の件では大はしゃぎになっており、得意満面といったところだろう。最大会派の自公だけではなく野党連中にしても同じ。


猪瀬さんの当初の反応が、素人目に見ても、あまりに狼狽の極みであることが見てとれたわけで、あの震えと動揺具合を見た人は、到底猪瀬知事の話す言葉など信じることができなくなってしまった。毒に塗れた、ふてぶてしい悪人であったなら、何と言われようともポーカーフェイスを貫けたかもしれない。が、猪瀬さんは心底からの悪人なのではなく、むしろ純な偽善者であったのだ。汚れ方が、政治の世界では足りなかったのだ。そういう点において、未熟とか「アマチュア」と言えるかもしれない。もっと穢れていたなら、動ずることなく誤魔化し通せたかもしれない。


1)猪瀬さんは何故徳田家との接点を持ったのか?

これは恐らく石原慎太郎の口利きがあったものと想像する。石原慎太郎と徳田虎雄の関係は、周知の事実だったから。石原が「今度、猪瀬君の面倒を宜しく頼むよ」とか紹介すれば、面会もかなうことだろう。猪瀬さんは、初めての選挙で不慣れだったはずで、とりあえず「徳田さんの所に挨拶に行ってこい、オレも昔から色々と面倒みてもらって大変世話になった人だから」となどと石原が言えば、その通りにするに決まっているもの。猪瀬さん自身にそうした人脈が存在していたものとは思われない。その通りにしてしまったら、今回のような結果を招いてしまった、ということであろう。


2)資金借入は12年11月に把握されていた

猪瀬知事に5千万円が渡った、というのは特捜部が2日後には把握していた、ということだった。
>http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131124/trl13112412410000-n2.htm


これが問題になるということなら、もっと早くから事件化していてもおかしくはなかったろう。慎重に内偵をしていた、ということらしいが、タイミング的にどうなんだろうな、とは思う。要するに、切り札を取っておき、泳がせておいた、ということではないのか。しかも大騒ぎになる以前に返済しているわけで、マスコミに叩かれたから返した、ということでもないように思う。


3)徳田(徳州会)マネーが問題視されたのは何故か

発端は不明である。青木理氏の「トラオ」本は単行本として11年11月には発行されており、週刊ポストへの連載は同年春くらいから続いていた。これまで報道されている徳州会関連の内容というのは、本に出ていたレベルの域を殆ど出ていない。当時から選挙関連のネタは知られており、それは長年手付かずできた、ということだ。
もしもこれが特捜部ネタとして問題視されるなら、石原慎太郎あたりが真っ先にお縄となってもおかしくはないだろう。だが、エージェント石原は安全なのだよ。以前にも指摘したが。石原慎太郎は、どんなことをやったって、何を発言したって、マスコミに抹殺される心配などないのだ、ということさ。

特捜部にしたって、ASLの徳田虎雄氏を本気で起訴し有罪確定としてみたところで、警察病院で全介助の超特級の囚人をどう扱えばいいのか、どう服役させるのかという問題が発生するだけだろう。だから、収監する意味など、殆どないようなものなのだ。言葉は悪いが、徳田氏は既に「脳の牢獄」状態に置かれているようなものだ。十分に閉じ込められた状態に等しい。


だから、本気で徳田虎雄氏の身柄を取って取調べ→起訴→有罪、なんて線はハナっからあり得ないのである。残るは徳田毅氏の公選法違反容疑くらいである。話がとても小さい。


そもそもターゲットとして選ばれたのは、徳田家を直接狙ったものではなく、そこから派生している議員連中の弱味を探し出すためのものだったのではないか。
何故そう考えるかと言えば、今回の徳州会事件が表沙汰で報じられる以前に、亀井静香議員が2000万円を返還していた、ということがあるから、だ。それは12年の夏頃~解散・衆院選の前までの時点で、だったはずだろう。

当時、野田政権であり、増税の賛否とTPP問題、原発問題で日本中が「割れそう」な状況下にあったから。当時の政権はなりふり構わず、反対派粛清のネタを調べるべく、公安や検察権力をフル稼働させたに違いない。行政権力もそうだ。喩えて言えば「銀行に対する金融庁」のような、行政権の圧力を使えるものは全部、ということだ。反対派を潰せる材料はくまなく調べられていたのではないか。


そうすると、どうやら徳州会マネー関連に警察捜査の手が密かに伸びている、ということが分かれば、火の手が上がる前に返還することも考えるはずだろう、と。亀井議員が先んじて返還していたのには、相応の理由というものがあったはず、ということだ。そして徳州会の動きなどをマークしていたからこそ、特捜は僅か2日後には猪瀬知事側にカネが渡った情報が素早くキャッチできたものと思う。副知事だった猪瀬が噛んできたことは、ただの偶然の中で知ったのでは。


もう一つ、徳州会での内紛劇というのがあったらしい。どういう経緯で着服がバレたのかは不明だが、カネの動きを追っていた警察筋からの情報が入って、金庫番が使途不明金を多額に出しているかもしれない、ということが判明したのかも。そうすると、徳田家側としては「解任」という話にもなるのであり、その結果が内紛ということになってしまったのかもしれない。徳田家には、石原との繋がりというのと同じく、何らかの情報網を持っていても不思議ではないわけだから。