1)すり替えられた規制緩和
中橋克人さんという方からコメントを頂いた(お金の流通速度)のですが、とても内容の濃いものでしたので、答えられる範囲でお答えをしたいと思います。私には荷が重いと言えるのですが。私は一介のオヤジに過ぎないのですし。私のような「お寒いブログ」には、椿事と言えましょう。これは別にいいのですが、本題に入りたいと思います。
中橋さんの主旨を私の理解として簡単に申し述べますと、次のようなことであると思います。
・現在の規制緩和路線というのは必要なものもあるが、行き過ぎた部分もあって市場競争原理主義的な面が強く出てきており、そこには社会的調整というものも必要である。
・このような路線の推進力は主に官僚への批判であり、官から民へと受け渡される権限はかつては政官業トライアングルを構成していただけの大企業群という「業」に行くに過ぎず、内輪での「官から業」ということでは何の意味もない。
これについては、以前にも記事に多少触れておりますので挙げておきたいと思います。
不正と不公平と「小さな政府」
規制緩和や改革路線というのは、必要な部分もありますが逆に規制強化するべき部分もあります。競争を重視するとしても、郵政民営化の時に盛んに言われた「イコール・フィッティング」という面においては、逆にルールやシステムを強化しなければならない面があると思います。市場競争の機能を効果的に発揮させるにも、望ましい市場形成が出来ないとすれば、不公正な結果を招いてしまう可能性があると思います。ですので、単なる「放漫」とか「まる投げ」ではないようなシステム形成を目指す必要があると思います。そういう意味においては、中橋氏の意見というものに賛同出来ないということではありません。一つ言えることは、昨年の選挙において国民は郵政民営化には賛成という信任を与えたと思いますが、その他の全てについてもそうであるということを示した訳ではありません。国民が新たな政治・統治システムを得る為の意思表示をしたということに意味があったのです。
従いまして、国民が政治の方向性や個別の政策等については意思表示を積極的に行っていくことが求められ、中橋氏の仰るような意見というものも行政は配慮するべきであろうと思います。「改革」自体は必要ですが、何を変えて何を守るのか、という視点が必要になってくると思います。
関連する記事を次に書いてみたいと思います。
2)役人「天下」の天下り
やっぱりそうでしたか、としか言いようがありませんね。
Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 国家公務員、天下りは2万2千人超…衆院調査
記事より一部抜粋。
独立行政法人や公益法人に天下りした国家公務員が昨年4月の時点で2万2093人にのぼることが15日、衆院の調査でわかった。天下り先の3987法人への補助金交付額は、総額5兆5395億円に達している。調査は昨年10月、民主党議員の要請で衆院調査局が実施した。16省庁が所管する公益法人、独立行政法人や、国から補助金を受けている法人などにおける、国家公務員の出身者数や補助金交付額を調べた。
このような状況ですので、放置する訳にはいきません。これを変えるのはやはり政治的な推進力がなければ難しく、「小さな政府」という意味はここにあります。「改革」という政治力が必要とされる、ということです。
こうした中央の「外側」にある錬金術システムを壊していく必要があると思います。
小泉さんも微妙に関連のある意見を出していたようです。
Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 改革進めないと経済良くならない…首相が経団連会長に
3)国立がんセンターの独法化
これも改革路線と関連していますが、省庁の考えることというのは如何に抵抗の少ない領域から削っていくか、ということです。そこには将来的な戦略が全くない、としか言いようがありません。これはまさに改革路線の負の部分であると思います。
Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 国立がんセンター、2010年度に独立行政法人化
21世紀は「ゲノムの世紀」とまで言われ、しかも国家的な戦略分野ということで「バイオ・ゲノム」ということを挙げておきながら、そうした先端研究分野をわざわざ国から切り離そうとする訳です。まさに愚策としか言いようがありません。官僚達にとってセンターというのは、人数が多いし身内の中で切り易い分野という理由に過ぎないのです。何たって技術系ですからね。
アメリカを見たって、これに類する拠点が国立の機関として存在しているのです。NIHも、CDCも、FDAも国立の機関として医療分野の統括をしているのです。敢えて民営にして競争力を殺ぐ必要などないのにも関わらず、日本では国立であることを止めるんだそうです。単なる数合わせの為に。研究開発という部分で見ても、国際的な競争に大きなマイナスとなってしまうでしょう。ただでさえ日本が遅れを取ってきている、という危惧があるのに、です。本気で他国と競争していこうと思うのであれば、人員も資金も重点的に投入する必要があると判っているのに、です。全く愚かとしか思えません。国立大学の独法化という愚策に続いて、またも研究分野での衰退を招く可能性が高くなると思います。
政治的に変な方向に進もうとした時に、何がダメなのかということを、多くの国民が意思表示していくことが必要であると思います。
中橋克人さんという方からコメントを頂いた(お金の流通速度)のですが、とても内容の濃いものでしたので、答えられる範囲でお答えをしたいと思います。私には荷が重いと言えるのですが。私は一介のオヤジに過ぎないのですし。私のような「お寒いブログ」には、椿事と言えましょう。これは別にいいのですが、本題に入りたいと思います。
中橋さんの主旨を私の理解として簡単に申し述べますと、次のようなことであると思います。
・現在の規制緩和路線というのは必要なものもあるが、行き過ぎた部分もあって市場競争原理主義的な面が強く出てきており、そこには社会的調整というものも必要である。
・このような路線の推進力は主に官僚への批判であり、官から民へと受け渡される権限はかつては政官業トライアングルを構成していただけの大企業群という「業」に行くに過ぎず、内輪での「官から業」ということでは何の意味もない。
これについては、以前にも記事に多少触れておりますので挙げておきたいと思います。
不正と不公平と「小さな政府」
規制緩和や改革路線というのは、必要な部分もありますが逆に規制強化するべき部分もあります。競争を重視するとしても、郵政民営化の時に盛んに言われた「イコール・フィッティング」という面においては、逆にルールやシステムを強化しなければならない面があると思います。市場競争の機能を効果的に発揮させるにも、望ましい市場形成が出来ないとすれば、不公正な結果を招いてしまう可能性があると思います。ですので、単なる「放漫」とか「まる投げ」ではないようなシステム形成を目指す必要があると思います。そういう意味においては、中橋氏の意見というものに賛同出来ないということではありません。一つ言えることは、昨年の選挙において国民は郵政民営化には賛成という信任を与えたと思いますが、その他の全てについてもそうであるということを示した訳ではありません。国民が新たな政治・統治システムを得る為の意思表示をしたということに意味があったのです。
従いまして、国民が政治の方向性や個別の政策等については意思表示を積極的に行っていくことが求められ、中橋氏の仰るような意見というものも行政は配慮するべきであろうと思います。「改革」自体は必要ですが、何を変えて何を守るのか、という視点が必要になってくると思います。
関連する記事を次に書いてみたいと思います。
2)役人「天下」の天下り
やっぱりそうでしたか、としか言いようがありませんね。
Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 国家公務員、天下りは2万2千人超…衆院調査
記事より一部抜粋。
独立行政法人や公益法人に天下りした国家公務員が昨年4月の時点で2万2093人にのぼることが15日、衆院の調査でわかった。天下り先の3987法人への補助金交付額は、総額5兆5395億円に達している。調査は昨年10月、民主党議員の要請で衆院調査局が実施した。16省庁が所管する公益法人、独立行政法人や、国から補助金を受けている法人などにおける、国家公務員の出身者数や補助金交付額を調べた。
このような状況ですので、放置する訳にはいきません。これを変えるのはやはり政治的な推進力がなければ難しく、「小さな政府」という意味はここにあります。「改革」という政治力が必要とされる、ということです。
こうした中央の「外側」にある錬金術システムを壊していく必要があると思います。
小泉さんも微妙に関連のある意見を出していたようです。
Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 改革進めないと経済良くならない…首相が経団連会長に
3)国立がんセンターの独法化
これも改革路線と関連していますが、省庁の考えることというのは如何に抵抗の少ない領域から削っていくか、ということです。そこには将来的な戦略が全くない、としか言いようがありません。これはまさに改革路線の負の部分であると思います。
Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 国立がんセンター、2010年度に独立行政法人化
21世紀は「ゲノムの世紀」とまで言われ、しかも国家的な戦略分野ということで「バイオ・ゲノム」ということを挙げておきながら、そうした先端研究分野をわざわざ国から切り離そうとする訳です。まさに愚策としか言いようがありません。官僚達にとってセンターというのは、人数が多いし身内の中で切り易い分野という理由に過ぎないのです。何たって技術系ですからね。
アメリカを見たって、これに類する拠点が国立の機関として存在しているのです。NIHも、CDCも、FDAも国立の機関として医療分野の統括をしているのです。敢えて民営にして競争力を殺ぐ必要などないのにも関わらず、日本では国立であることを止めるんだそうです。単なる数合わせの為に。研究開発という部分で見ても、国際的な競争に大きなマイナスとなってしまうでしょう。ただでさえ日本が遅れを取ってきている、という危惧があるのに、です。本気で他国と競争していこうと思うのであれば、人員も資金も重点的に投入する必要があると判っているのに、です。全く愚かとしか思えません。国立大学の独法化という愚策に続いて、またも研究分野での衰退を招く可能性が高くなると思います。
政治的に変な方向に進もうとした時に、何がダメなのかということを、多くの国民が意思表示していくことが必要であると思います。