西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
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アルスナル図書館 visite guidée de la bibliothèque de l'Arsenal

2013年10月14日 | 十九世紀の文学
古典主義に反逆するロマン主義が『エルナニ』の上演により完全な勝利を収めるに至るまでには、パリのあちこちで集まり輪を作っていた青年達の存在を見逃すことはできない。かれらは、芸術や文学の革新を目指す若者たちだった。
こうしたグループはセナークルとよばれたが、その筆頭に挙げられるのが、アルスナル図書館で日曜日毎に開催されていたセナークルだ。



アルスナル図書館は18世紀末に砲兵工廠を改造した建物で、王弟アルトワ伯(シャルル10世)が館長だったために、王弟殿下図書館とも呼ばれた。演劇関係の膨大な蔵書で知られる図書館でもある。現在の地下鉄シュリ・モルラン駅(バスチーユ地区)の正面にそびえたつ立派な建物がそれだ。16世紀から19世紀の文学および書物の歴史に関するコレクションを中心とする蔵書に恵まれている。



1824年に館長に任命された、幻想小説家でロマン主義の先駆者シャルル・ノディエは、この建物の二階にセナークルを開いた。そこには、ユゴー、ヴィニー、ラマルティーヌ、女流詩人マルスリーヌ・デボルド=ヴァルモール、ミュッセ、ネルヴァル、ゴーティエらの詩人や小説家バルザック、デュマ、画家のドラクロワ、ジョアノ兄弟など、様々な偉才が招待された。



客人たちは、ノディエの巧みな話術、それにユゴーが「アルスナルの聖母」と讃えた、ノディエの娘マリーの弾くピアノ曲に魅せられたという。そして、ダンスや自作の詩や小説の朗読、あるいは文学・芸術論にと、時を忘れて興じたのだった。当時、図書館の窓からは、ノートル=ダム大聖堂の塔の彼方に没する落日の美しい光景を眺めることができた。



画像はノディエです。


その後、アルスナルの常連たちは、1827年、ユゴーがノートル=ダム=デ=シャン通り11番地に引っ越すと、セナークルの場をユゴーの新居へと変えてゆくことになる。

来月の11月16日、このアルスナル図書館が公開され、見物が可能となります。
解説付きで11時からとのことですが、15人から20人と人数が制限されます。

Samedi 16 novembre à 11 h :
visite guidée de la bibliothèque de l'Arsenal – (groupe de 15 à 20 personnes.
RV devant la Bibliothèque, 1, rue de Sully 4ème- Métro : ligne 7 Sully-Morland ou 1,5,8, Bastille

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