月経前症候群(PMS, premenstrual syndrome)は、生理中ではなく、生理が始まる前につらい症状が生じる病気です。
生理前に不調が起こるのは当たり前と思い込んでいる人が多く、
産婦人科を受診せずにガマンしている人が多いのが現状です。
西洋医学ではホルモン療法が提案されますが、ややハードルが高いため、
私は思春期女子の月経関連トラブルにまず漢方薬による治療を提案しています。
NHKのサイトを参考にPMSの基礎知識をまとめてみました。
▢ PMSの概要
・定義:生理が始まる前、長い人では10日ほど前から症状が起こり、生理が始まる前まで続く不調。
※ 「月経前3〜10日間の黄体後期に発症する多種多様な精神的あるいは身体的症状で、
月経はつらいとともに弦弱あるいは消失するもの」(産婦人科診療ガイドライン2020:日本産科婦人科学会)
・頻度:生理がある女性の(なんと)30〜40%。
▢ PMSの症状
以下の症状のうち、どれか一つでも過去の生理で3回以上連続して起こっている場合に診断されます
① 身体的症状
✓ 乳房の痛み、張り
✓ お腹の張り
✓ 関節痛・筋肉痛
✓ 頭痛
✓ 体重増加
✓ 手足のむくみ、など
② 心理的症状
✓ 抑うつ気分
✓ 怒りの爆発
✓ イライラ
✓ 不安感
✓ 混乱した気分、など
▢ 月経前不快気分障害(PMDD, premenstrual dysphoric disorder)・・・PMSの重症型
・PMSの重症型で、月経前になると感情が不安定になり、日常生活が全く送れないほど深刻な状態になる人。
・頻度:生理がある女性の1.2%。
・精神的な症状が強く出るのが特徴で、うつ病や双極性障害と間違われることがあるほどです。
▢ PMDDの症状
✓ 著しく感情が不安定
✓ 著しい怒り・人間関係の摩擦
✓ 抑うつ気分・絶望感・自己批判的思考
✓ 著しい不安
▢ PMDDの要因
① ストレス:環境の大きな変化、緊張状態が長く続いた後などは、症状が出やすくなります。
② 几帳面な性格:几帳面、まじめ、負けず嫌い、自分に厳しい人などは症状が出やすいです。
③ 食生活:栄養バランスの悪い食事をしている人、コーヒーや紅茶などカフェインを多く含む飲み物やお酒をよく飲む人は症状が重くなりがちです。
④ 体力の低下:体力が低下していたり、自律神経が乱れたりしていると、症状が出やすくなります。
▢ PMDDの治療
産婦人科だけでは難しいことがあり、その場合は精神科での診療も考慮されます。
① カウンセリング(省略)
② 生活指導(省略)
③ 薬物療法
・対症療法:イライラが強い場合は精神安定薬、むくみには利尿やkう、頭痛などの痛みには鎮痛薬
・漢方薬:当帰芍薬散(23)、桂枝茯苓丸(25)、加味逍遥散(24)、抑肝散(54)
⇩ これらの治療でも改善しない場合
・ホルモン療法:低用量経口避妊薬(EP配合剤、いわゆる“ピル”)