思春期の月経関連トラブルに対する漢方治療を提案しています。
まずは病気の基本知識と西洋医学的治療について確認すべく、
NHKのサイトを参考にまとめてみました。
前項目で、以下のように書きました;
4.月経中の痛みなどの障害はあっても軽度
・ガマンできないほど、日常生活に支障が出るほど痛みが強いとき(月経困難症) → 産婦人科に相談
・月経困難症は以下の二つに分けられます;
① 器質性月経困難症・・・病気が原因で起こる場合で、子宮内膜症が代表的
② 機能性月経困難症・・・原因となる病気がない場合で、思春期女性に多く起こるいわゆる生理痛です。
月経困難症について、もう少し詳しく説明してみます。
月経困難症の患者数は、推定800万人以上、しかし治療を受けている人はその10%にすぎません。
市販の鎮痛薬でしのいでいる人が多いと思われますが、
長いこと生理の旅に強い痛みなどの症状がある場合は産婦人科に相談しましょう。
▢ 月経困難症の症状;
・身体症状:下腹部の強い痛み、腰痛、お腹の張り、吐き気、頭痛、食欲不振、下痢
・精神症状:イライラ、抑うつ
▢ 月経困難症の2つのタイプ
① 器質性月経困難症 ・・・子宮や卵巣の病気が原因
・原因:子宮の病気(子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫)、卵巣の病気
・年齢:20代後半以降(加齢とともに増加)
・痛む時期:月経期間中ずっと
・痛みの性質:持続性
・経過:自然に治ることはなく、病気が進行するため治療が必要です。
② 機能性月経困難症 ・・・病気が原因ではありません
・原因:子宮の入り口が狭い、子宮の過収縮(プロスタグランジン過分泌)
・年齢:10〜20代前半
・痛みの時期:月経1〜2日目
・痛みの性質:けいれん性、周期性
・経過:身体の成熟とともに症状は改善・自然治癒していきます。
▢ 子宮内膜症
・妊娠準備のために暑くなった子宮内膜は、妊娠をしないと剥がれて、月経血として体外へ排出されます。
・しかし体外に排出されずに逆流してしまうことがあり、するとお腹の中や腹膜、臓器にくっついて増殖し、
子宮内膜に似た組織ができあがり、そこに炎症が起きて痛みが起こることを子宮内膜症といいます。
・子宮内膜症が発症する場所は様々で、卵巣にできた場合は将来的に卵巣癌の発症につながったり、不妊症になる可能性があります。
▢ 子宮腺筋症
・子宮内膜症と同じように、子宮内膜に似た組織が子宮の壁の中に入り込んでしまう病気です。
・お産や流産をキッカケにしてなることが多いです。
▢ 子宮筋腫
・子宮の壁の中にできる良性の腫瘍のことです。
・命に関わることはありませんが、場所や大きさにより月経の量が増える過多月経や不妊の原因になり得る病気です。
▢ 機能性月経困難症(いわゆる「生理痛」)の治療
・日常生活に支障を来していれば治療を行う必要があります。
・薬物療法;
① 鎮痛剤:非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs):ロキソプロフェン(ロキソニンなど)
② 漢方薬
③ 子宮収縮抑制薬
④ 精神安定剤
⇩ これらの治療で症状が治まらない場合
⑤ 低用量経口避妊薬(EP配合剤)・・・ホルモン療法
▢ 器質性月経困難症の治療
・対象疾患:子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症
・薬物療法
① 鎮痛薬
② 漢方薬
③ 低用量経口避妊薬(EP配合剤)、黄体ホルモン製剤
④ GnRHアゴニスト(閉経後と同じ状態にして生理を止めるくすり)
・手術:進行具合により、将来の妊娠や出産を考慮し、慎重に検討
★ 思春期のひどい生理痛にも子宮内膜症の可能性があります!
・初期の子宮内膜症は、超音波検査やMRI検査などの画像検査では発見できません。
・海外の調査で、機能性月経困難症と診断された患者さんの約70%が子宮内膜症を発症していることが報告されました。
・10代後半から20代前半の機能性月経困難症でも初期の子宮内膜症を発症している場合があることが判明しました。
・出産経験がなく、20代後半まで、生理中の痛みを鎮痛剤だけで対処していると、
気づかないうちに子宮内膜症が信仰し、将来不妊につながる可能性も指摘されています。
▢ 若い女性で子宮内膜症が疑われる場合の治療
・若い女性でも強い生理痛が年々重くなるなど、子宮内膜症が疑われる場合は、
低用量経口避妊薬(EP配合剤)を中心としたホルモン療法を行います。
・EP配合剤を使うことで、子宮内膜症の進行を抑え、将来妊娠しやすい体を保つことができます。
・連続服用することで、生理を3〜4か月に1度にコントロールすることが可能な薬も登場し、
重い副作用は報告されていません。妊娠を希望することになった場合は、薬を中止すれば妊娠可能です。
・思春期の女性が低用量経口避妊薬を使用しても、体への影響は心配ありません。
▢ 早期治療の勧め
月経困難症は将来の妊娠する力が落ちてしまう可能性がありますので、早めに適切な対応をすることが必要です。
最近では出産する年齢が高くなってきていて、30歳台になるまでに妊娠をしない方も多くなりました。
妊娠を望んだときに妊娠できる力をキープすることを考えて、
症状がある場合はすみやかに治療を開始することが大切です。
<追加>
★ NHKのこちらのサイトより;
▢ 生理痛のセルフケア
・温める:カイロ、足湯・半身浴 ・・・お腹や腰を温めて血液循環がよくなると痛みが楽になります。
・運動:骨盤内の血流のうっ滞を改善します。
▢ 鎮痛剤を飲まないのは損!
・生理痛があっても、ガマンしてやり過ごし、痛み止めを飲まない人がいますね。
・生活に支障が出るレベルの強い生理痛の場合、服用した方が生活の質が上がります。
・月経期間中だけの鎮痛剤使用は、とくに副作用の心配はいりません。
・「飲んでも効かない」という人は、薬が合っていないか、使うタイミングに問題がある可能性があります。
ガマンして痛みが強くなってからでは、鎮痛剤は効かないことがあるのです。
「ちょっと痛い」と感じたところで「効果が長く続くタイプ」の鎮痛剤を早めに飲むのが大切です。
・「飲み過ぎると効かなくなる」ことを心配する人がいますが、そのような現象はありません。
・「以前は効いていたのに最近は効きが悪い」という場合は、背景にある病気(子宮内膜症など)が進行している可能性もあるため、産婦人科受診が推奨されます。
★ NHKのこちらのサイトより引用・抜粋;
▢ 鎮痛剤を使いすぎる(用法用量を超えて飲む)と?
・市販の鎮痛薬の多くはNSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれる成分が含まれています。
・NSAIDsは頭痛や生理痛など様々な炎症や痛みの原因になる物質「プロスタグランジン」が造られるのを抑えて効き目を発揮します。
・その一方で、プロスタグランジンには胃の粘膜保護作用があり、それが造られなくなると胃腸障害が起きてしまいます。
・プロスタグランジンは腎臓にも作用しており、減ってしまうと腎臓の血流が低下し、尿が減少することで腎障害が起きる可能性もあります。
・頭痛薬として鎮痛薬を飲み過ぎると、かえって頭痛が起きてしまうことがあります(「薬の使いすぎによる頭痛」)。1か月に10日以上鎮痛薬を続けている状態が3か月を超えると、そのリスクが高まると言われています。
→ 「鎮痛薬は用法用量を守って月に10日まで!」と覚えましょう。