前項目では発達障害はスマホ依存に陥りやすいことを取り上げました。
しかし、スマホを有効利用している発達障害の方もたくさんいらっしゃいます。
医師は発達障害系の人が多い職業ですが、
不注意で予定を忘れることが多い人は、
スマホでスケジュール管理して助かっていると耳にします。
私も忘れものが多い方です。
小学生の時、ランドセルを忘れて登校したことがありました。
スマホの有効利用、という視点から書かれた記事を紹介します。
適切なアプリをうまく利用すれば、
強力なサポートツールになることがわかります。
▢ ADHDの人が直面する5つの「困った!」をスマホで解決する方法
(2021年11月17日:ハフポスト)より抜粋;
ADHD(注意欠如・多動症)は、凹んだところがある分、尖った部分もあるとよく言われます。・・・そんな人は、ADHD特有の「困りごと」に直面して悩んでいることが多いと思います。そこで、今回は
「忘れる」
「集中できない」
「優先順位がつけられない」
「先送り」
「金銭管理ができない」
という5つの困りごとにフォーカスして、それらをスマホで簡単にサポートする方法をご紹介します。
◆ 忘れがちで困った!
ADHDの特性のうち、一番困りごととして多いのはこの「忘れる」ではないでしょうか。特に、ある時間にやらなければいけないことをうっかりやらないで過ごしてしまう。そんなときのために、「リマインくん」をお勧めします。
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リマインくんは、LINEの友だちに追加して話しかけるだけで、リマインダーの機能を果たしてくれます。例えば、「今日(2021年11月15日)の17時に鈴木さんに電話したい」と思ったら…。
「鈴木さんに電話」と入力。
「『鈴木さんに電話』だね!覚えたよ!」とリマインくんから返答。
「いつ教えて欲しい?」とリマインくんから質問。
「今日の17時」と入力。
「じゃあ2021年11月15日17時00分に言うね!」とリマインくんから返答。
そして、11月15日の17時には、
「『鈴木さんに電話』の時間だよ!がんばって!」(「がんばって!」の部分はときどき変わります)とリマインくんからメッセージが届きます。
忘れてしまう傾向のある人は、どんなに気を付けても忘れてしまいがちです。そうであれば、忘れる前提でリマインくんに頼りましょう! きっと強い味方になってくれます。
◆ 集中できなくて困った!
集中できないというのも、ADHDによくある特性の一つ。ある物事に取り組もうと思っても、いつのまにか別のことをしてしまうのです。例えば、目の前の会議資料を読んでいる最中に、ふとメールが気になり受信ボックスに目をやってしまう。案の定、新着メールが表示されている。つい、メールを覗いてしまう。会議資料はどこへやら…。
そんなときには、「タイマーアプリ」をお勧めします。お持ちのスマホにプリインストールされているもので構いません。タイマーで集中したい時間を入力してみてください。あまり長く設定しないのが集中できるコツです。一番お勧めの時間設定は、「25分作業+5分休憩」のセットです。この作業と休憩の組み合わせを「ポモドーロ・テクニック」といいます。1990年代に考案された、集中力を最大化させるためのテクニックです。
◆ 優先順位がつけられなくて困った!
ADHDの人の悩みでも1、2位を争うのが、「優先順位がつけられない」です。優先順位のつけ方の基準は色々ありますが、その中でも「誰かとの予定(スケジュール)」は優先されることが多いのではないでしょうか。つまり、まずスケジュールを明確にすることが、優先順位をつける第一歩になります。
これこそ、スマホで手軽に扱えるカレンダーアプリで管理可能ですね。自分の手に馴染むアプリであれば、何でも良いと私は考えます。例えば「Googleカレンダー」などは他人との共有もできて、多くの人に使われています。私は、1カ月の表示に特化した「moca」(iPhone版のみ)というアプリを愛用しています。
日々のやるべきこと(タスク)をこなすためには、優先順位をつけることが大切です。そのためにまずやっておくべきことは、スケジュールの時間を押さえておくこと。それ以外の時間で、自分の作業などといった他のタスクを実行します。そのために、スケジュールはいつも持っているスマホですぐ確認できるようにしておくと便利です。
◆ 先送り癖で困った!
先送り癖に悩んでいるADHDの方は、かなり多いのではないでしょうか。先送り解消には、ズバリ、「タスクの分解」が効果てきめんです。大きなタスクも、小さな手順に分解すれば、手をつけるハードルが下がるからです。
例えば、「報告書の提出」というタスクがあった場合。そのままだと、どのように報告書を作成すればいいか迷います。いったん迷うと「とりあえず寝かしておこう」と先送りをしてしまいがちです。
例えば、報告書の提出
→フォーマット提供を先輩へ依頼
→フォーマットを先輩からもらう
→報告内容をフォーマットに反映
→先輩へ報告書案の確認依頼
→先輩からフィードバック
→フィードバックを報告書案に反映
→報告書を上司へ提出
このように簡単な手順レベルに分解することができれば、手をつけるハードルはずいぶん下がるのではないでしょうか。私は、自分が原作した「タスクペディア」というクラウドツールを利用しています。
タスクペディアは、タスク名を入力して、それを手順に分解し、「次にどんな手順を実行すれば良いか」がタスクごとに列挙されて表示されます。先送り癖がある私でも、簡単な「手順」を次々に完了させていくことで、先送り癖をかなり解消することができました。
◆ 金銭管理ができなくて困った!
最後に、これもまたADHD当事者の方々からよく聞く悩み「金銭管理」への対処法をお伝えします。ご紹介するのは「毎日の予算」(iPhone版のみ)というアプリです。このアプリのお陰で私はお金の入りと出を記録する癖がつきました。
金銭管理をするとき、普通なら日を追うごとにどんどん使える金額が減っていき、増えることはありません。ところがこのアプリは、お金を使わなければ、表示される額が増えるのです。その秘密は、「毎月使える額を設定し、表示されるのはその1日あたりの額」という点にあります。
例えば、1か月30日で30,000円使えるとしたら、初日には「1,000」と表示されます。そのまま何も支出がなければ翌日には「2,000」と表示されます。使わなければ表示される数字が上がるという仕組みです。
この仕組みのおかげで、私は金銭の入りと出の記録を習慣化することができました。
◆ 頑張りに頼らない
このように、スマホのアプリを使うだけで、ADHD当事者の生活の質はかなり向上できる可能性があります。「なるべく気を付ける」や「自分の頑張り」などでどうにかしようとするのではなく、モノに頼ることで確実に対処していく、というアプローチも良いのではないでしょうか。