かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞

2020-05-27 17:41:22 | 短歌の鑑賞
ブログ版清見糺鑑賞 2  ゆるふん  
        かりん鎌倉支部  鹿取未放     


10 そのこえは迦陵頻伽かカイツブリ春立てる日の川面わたれる

 カイツブリが立春の日の川を渡っていったというだけの歌であるが、6番歌(夕星のかゆきかくゆき嵯峨野ゆき竹焚く音のあたたかきかな)同様カ音が快いリズムを伝え、春の到来の喜びを表現している。迦陵頻伽はもちろん想像上の鳥で、上半身が人間、下半身が鳥の姿をしていて極楽浄土に住んでいるとされる。仏の声にたとえられるほどこの声は美しいとされている。カイツブは特に目立って美しい鳥ではないが、その声の美しさを迦陵頻伽のもののごとく聞いたところにも春の嬉しい気分が出ている。
 斎籐茂吉の次の歌がヒントになったかもしれない。
とほき世のかりょうびんがのわたくし兒田螺(たにし)はぬるきみず恋ひにけり



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