かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 207(中国)

2019-04-05 19:46:22 | 短歌の鑑賞
馬場あき子の旅の歌27(2010年4月実施)
    【飛天の道】『飛天の道』(2000年刊)168頁~
    参加者:K・I、N・I、Y・I、K・T、T・S、
         藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:藤本満須子 司会とまとめ:鹿取 未放


207 敦煌の暗窟に飛天満ち満ちてその顔くらく剥落しをり
 
        (レポート)
 敦煌は党河の水を引いた典型的なオアシス都市である。別名沙州。漢の武帝の最前線の基地。南東の莫高窟は4世紀から14世紀の壁画や彫塑などが残されている。仏教美術の宝庫である。南には鳴沙山、月牙泉、北西に玉門関、南西に陽関の遺跡がある。
 旅行者は案内人の懐中電灯に照らされる窟の中の天井画や仏像等見学してまわったのだろう。飛天図にある美しい飛天だったのか、いや、がっかりしたのだろうか。時代によって天井画も飛天の姿も変化している。洞窟に入ってくる自然の採光、光線もあいまって、その色彩は剥落しているものが多いだろう。随や唐の時代の壁画等は紺やグリーンがまざりあって、私達が日本の寺院で見る天井画や壁画の色彩にかなり近いものと思う。三句めの「満ち満ちて」によってその膨大な数の窟
の中の飛天の姿を想像させる。(藤本)


        (当日発言)
★剥落は、光線の加減ではなく長い歳月によって輪郭線や彩色が剥がれ落ちているんだろうと思う。 剥落までの歳月の重さを思ってそこに感慨を抱いているので、がっかりはしていないんじゃない かな。見学させてくれる洞窟は限られているので「満ち満ちて」は一つの洞窟に飛天がびっしり 描かれたイメージかな。もちろん洞窟全ての膨大な数の飛天を想像させる効果もあると思うけど。(鹿取)



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