かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  319

2021-09-28 18:17:02 | 短歌の鑑賞
 渡辺松男研究39(2016年6月実施)『寒気氾濫』(1997年)P133
  【明解なる樹々】『寒気氾濫』(1997年)133頁
   参加者:石井彩子、泉真帆、M・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:渡部 慧子   司会と記録:鹿取 未放


319 天上に白もくれんの花ゆれてわが目わが日々白くくもらす

     (レポート)
 白もくれんの花が咲きゆれて「わが目わが日々白くくもらす」ことになる。ここに示されていないが、くもる以前のくらしをなんらかの色としてとらえていたのかもしれない。そこにあくまで天上的な花の白もくれんがゆれるのだが暮しの色が一変するのではなく、くもるのだと地上の者の声がある。四ヶ所の「く」の音はくぐもった感があり、一首の意図に添っている。(慧子)


     (当日意見)
★「くもる以前のくらしをなんらかの色としてとらえていたのかもしれない」とありますが、
 どこから連想されたのですか?(石井)
★どこからも連想はしていないのですが、くもるからには以前に何らかの色があったのだろうと思
 って。(慧子)
★くもらす前に何らかの認識があったということでしょうか?(真帆)
★「白くくもらす」は白もくれんの白から来た心象に近いですね。だからくもる以前のくらし
の色というのはおかしいのでは。(石井)
★私も石井さんや真帆さん同様「くもる以前のくらしをなんらかの色としてとらえていたのか
 もしれない」に疑問をもちました。白もくれんが咲いたから「わが目わが日々白くくもらす」
 ことになるので、それ以前を別の色として捉えないといけない必然性は無いと思います。
 天上的な白いもくれんが咲いて自分の目も日々も清らかな白い色で満たされている、そんなこと
 を言っているのでしょう。ただ、それを「くもらす」って捉えたところが独自だと思います。
(鹿取)
★私は未来が白くくもっていて不安を感じていらっしゃるのではないかと思いました。行く末が霧
 みたいにはっきり見えない。(M・S)
★「天上」って言葉遣いからして清らかなイメージで、精神が浄化されている感じだから、ここで
 は未来の不安とかいうことではないでしょうね。(鹿取)

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