先日、中公新書の「タイの歴史」を読んで、その中で紹介されていた、タイでもっとも有名な日本人=コボリが登場するという小説を読んでみました。
メナムの残照。メナムは「川」という意味で、かつて日本ではチャオプラヤ川のことをメナム川と呼んでいました。タイトルのメナムはメナム川のことです。
原題は、คู่กรรม(クーカム=運命の人) です。
時は第二次世界大戦中、タイに進駐した日本軍の青年将校小堀と、現地の娘アンスマリンとの悲恋の物語です。第二次大戦でタイは枢軸国側だったのですが、戦争が深まるにつて抗日的な立場になり、地下組織の自由タイが連合国側につき、タイ政府も非公式にそれを指示していたという歴史があります。ここらへんは中公新書タイの歴史に詳しく書かれていて、昭和の日本とタイの関係がこの小説からも伺えます。
作者は親日的なのか、小堀がものすごく美しい心の持主として描かれていますが、日本人には小堀のような人はまずいません(むしろミヤンばあさんがティピカルな日本人らしい)。読んでてちょっと恥ずかしくなるほど、美化されています。
この物語は、タイでは2度の映画化、4度のTVドラマ化されたそうで、現地では相当に人気のストーリーのようです。
主人公の二人を巡って様々な出来事が起こりますが、展開が目まぐるしく変わり、読者を飽きさせない構成になっていると思います。ドラマティックな展開というのはこういう小説のことを言うのでしょう。
ページ数はそれなりにありますが、文章は易しく一気に読むことができました。
主な舞台はチャオプラヤ川の西岸、バンコク・ノーイ駅の近辺です。
先日のタイ旅行ではターディヤン船付場まではいったのですが、その北側ですね。
作者プロファイル。
長編56編とはかなり多作の小説家です。
訳者プロファイル。
書誌事項。
ちなみにこの本、古本を探したのですが高価だったため、横浜市図書館から借りました。
p.s. 明日起きたら推敲しよう。
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