安部公房の未読作品を読もう月間が進行中ですが、「終りし道の標べに」は安部公房の初めての商業誌への発表になります。(詳細はWikipediaに)
これは読んでおかないと、と思ったのですが、新潮文庫版は廃刊になったようです。amazonで古本を探しても見つかりませんでした。
そんなわけで、図書館で借りてきました。
敗戦時の満州を舞台です。故郷(日本)を捨てた主人公Tの手記を通して、朝鮮人の陳、八路軍の高と織りなす人間模様と、各人の故郷の存在を対比させつつ、作者の「かく在らねばならぬのか?」の疑問を掘り下げます。
幼年時を満州で過ごした安部公房が実存を思索した結果の作品かと思います。
三島由紀夫で言うならば「仮面の告白」のような立ち位置の作品でしょうか。
ここから安部文学が始まった、という作品ですが、「壁」以降の作品とはちょっと毛色が違います。「題未定」に収録されているような短編に近いように思います。手記形式とおまえという二人称を使うところは「他人の顔」を思いだします。
初出は昭和23年10月に真善美社から刊行。新潮文庫は昭和50年。平成6年の15刷。廃刊時期は不明。
こんな広告がありました。カセットブック、これは知らなかったけど、昔から朗読本はあったんだね。
現在では、Amazon の Audible のようなオーディオブックがあります。
いまのとこあんまり興味ないけど、目が悪くなって小さい字が読めないようになったらお世話になるかも?^^;
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