こないだ読んだ「許されようとは思いません」が意外に面白かったので、ばあさんに「この著者の本は他にないのか?」と聞いたところ、これを読めと持ってきたのがこの本です。
いやぁ、前提知識なしで読み進めていたのですが、最後にやられました。同じ作者の「姉のように」という短編でひっかかったのと同じパターンです。
人間心理の盲点を突いた、こんな小噺があります。
50歳になるまで独身を通してきたAという男が、ある日突然、結婚すると言い出した。まわりの人間はびっくり。「あんなに年が違うのによくやるよ」「夜の生活は大丈夫かな?」などと、呆れとも妬みともつかないひそひそ話でもちきりでした。
結婚式の当日、満足そうなAのもとに、70歳くらいの老人が近づいてきました。そして、その老人はAに向かってこう言いました。「おとうさん、おめでとう!」。
この話は、50の男が結婚するなら、相手は年下の女性である、という先入観の逆を突いた話で、実際にAが結婚したのは90歳の女性で、その女性には70歳の連れ子がいた、というオチです。
この小噺のような、心の裏へのスルーパスみたいなことを、文庫本一冊使ってやられたものだから、最後は苦笑するしかありませんでした。作者の高笑いが聞こえてきたような気がしましたよ。
こちらが内容紹介。
こちらが帯。
読み終えてからこの帯をみたのですが、なるほど、人間が素直なわたしは、作者の狙いにまんまと引っかかってます。
最後に来てから、戻って戻って、ストーリーのポイントとなる箇所を読み直しましたよ。作者の仕掛けたトリックにその都度ひっかかりまくりだったのがよーくわかりました。
もうちょっとこの作者の作品を読みたいと思います。
次は最初から100%厳重警戒態勢で読むことにします。
書誌情報はこちら。2年で16版、売れてるんだなー。
p.s. 食べ過ぎで塩分も摂り過ぎ。体は正直で、いっきに2kg増えた。明日から塩抜き。
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