日本経済新聞21日付朝刊「長周期地震動、首都圏北西部の地下で増幅 東大教授ら解明」を興味深く読んだ。
首都圏北西部(群馬-埼玉県境?)の地下構造が長周期地震動を増幅させ、超高層ビルに被害を与える「長周期パルス」に変化するとの内容だ。
長周期地震動については、2003年の十勝沖地震による石油コンビナート被害、2004年の新潟県中越地震での都内某超高層ビルエレベーター被害で話題となったが、昨年12月に政府中央防災会議で長周期地震動の影響度を示す日本地図を公開したことでさらに超高層ビルが乱立する首都東京での不安が増大した。
<地図は東南海、南海地震等に関する専門調査会資料より>
超高層ビルは新宿副都心で代表されるように70年代から建ち始めたものが多く、耐震性には問題がないとされてきたが、これはあくまでもシミュレーションでの評価であるのが気がかりだ。すでに建築されてから30年以上が経過しているが、これまで巨大地震を一度も経験しておらず立証されていない。
今回、直下の地震だけでなく、東海地震等の海溝型巨大地震による長周期地震動被害が生じることが懸念されている。特に超高層ビル内のオフィスでは長周期地震動により大きな被害が生じるとされ、極端には窓から人・物が飛び出す危険性もある。国の実大実験場E-ディフェンスで立証されている。
今年6月から消防法が改正され、高層ビルの長周期地震動対策が義務化される。ビルの管理権限者には消防計画の作成・届け出等が義務される内容だ。
新宿区の防災計画資料によると区内には高さ150mを超える超高層ビルは11棟ある。先駆けとしてセンタービル(79年)が入居者のBCPに考慮し長周期地震動対策工事に乗り出した。
<E-ディフェンス 震動台実験>
http://www.bosai.go.jp/hyogo/movie.html
※ 6番目に南海地震を想定した長周期地震動:オフィス内、リビング内の映像
<消防庁 改正消防法パンフレット>
http://www.fdma.go.jp/html/data/tuchi2103/pdf/210313-1.pdf
<東京大学古村教授H.P.長周期地震動>
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/furumura/lp/lp.html
<内閣府 平成20年度 広報ぼうさい>