ビバ!白鳥の湖
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今日も軽井沢の“幸福の谷”のお話でござ~♪~ますか?
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そうですよ。実に素晴しい名前がついていると思いませんか?
そうですわねぇ~。。。なんだか幸せが一杯詰まっていそうな谷でござ~♪~ますわねぇ~ デンマンさんが小百合さんにお会いする時には、あたくしも一緒にお供いたしますわア。
ん。。。? 僕と一緒にですか?
そうでござ~♪~ますわ。デンマンさん。。。、あのォ~。。。急に落ち込んだような表情になりましたわねぇ~。
あのねぇ~、卑弥子さんが勝手に決めないでくださいよう。
あたくしも小百合さんにお会いしたいのでござ~♪~ますわア。こうして『小百合物語』のホステス役をしているのでござ~♪~ますもの。いいでしょう?
小百合さんと卑弥子さんでは、何から何までタイプが違うのですよう。
違うって、何がでござ~♪~ますか?
まずその十二単ですよう。小百合さんには十二単を着ようというようなオタク趣味はないのですよう。そんなモノを着て電車には乗れませんよう。
そのような法律でもあるのでござ~♪~ますか?
もちろん、どのような服装をするのか?それは、その人の自由ですよう。でもねぇ~、十二単を着て電車に乗るのは不便ですよう。
目的地まで椅子にじっと座っているのですから、問題になる事ってありませんわ。乗る時と降りる時だけを心配すればよいのですわ。おほほほほ。。。
僕は普通電車で横川まで行って、それで駅で駅弁を買うのですよう。
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おいしそうでござ~♪~ますわ。あたくしは電車の中で待っていますから、デンマンさんが2つ買ってきて下さいな。
あのねぇ、駅弁だけではないのですよう。僕は途中下車して行って見たい所があるのですよう。
どこでござ~♪~ますか?
卑弥子さんは忘れてしまったのですか?
忘れたって。。。何をでござ~♪~ますか?
やだなあああぁ~。。。僕は卑弥子さんのために軽井沢と万葉集の事で調べたのですよう。その事で、かつて記事に書いたのですよう。
■ 『夢のホテル (2008年5月8日)』
あらっ。。。いやでござ~♪~ますわぁ。。。うふふふふ。。。“夢のホテル”であたくしとデンマンさんがエッチな事をするのでござ~♪~ますか?
しませんよう!んもお~~。。。そんな事は、どこにも書いてませんよう!たくゥ~~。。。
。。。んで、あたくしが何を忘れているのでござ~♪~ますか?
防人(さきもり)の歌の歌碑ですよう。
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この上の写真を見れば思い出すでしょう?旧碓氷峠の見晴台入り口にあるのですよう。昭和42年に軽井沢町が建てたものです。思い出したでしょう?
ええ、ええ、ええ。。。思い出しましたわ。確かに、デンマンさんが書いていましたわ。
『万葉集』には軽井沢は出てこないけれど、碓氷峠が出てきます。奈良時代や平安時代の初期には碓氷峠は「宇須比」とか、「碓日嶺」などと書かれていたようです。上の歌碑には次のような歌が書かれているのですよう。
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日の暮れに
うすひの山を
越ゆる日は
背なのが袖も
さやに振らしつ
(巻第十四 東歌 三四〇二 詠み人知らず)
現代語訳:
日の暮れ時に、碓氷の山の峠を越える日に、
我が夫が、別れの時に目につくほどはっきりと袖を振っていたわ。
峠を越えて去ってゆく夫を慕う妻の心情を詠んでいる。
ひなぐもり
うすひの坂を
越えしだに
妹が恋しく
忘らえぬかも
(巻第二十 四四〇七 他田部子磐前 [おさたべの子いわさき])
現代語訳:
ひなくもり(碓氷を導く枕詞)碓氷の坂を越える時は、
国へ置いてきた妻のことが恋しくて忘れられない。
碓氷峠越えの別れの恋歌。
■ 『夢のホテル (2008年5月8日)』より
ロマンチックな歌でござ~♪~ますわね?
これはねぇ、実は悲しい歌なのですよう。
どうしてでござ~♪~ますか?
もう2度と会えないかもしれないと言う悲痛な思いを込めて詠(うた)っているのですよう。
デンマンさんは、マジでござ~♪~ますか?
もちろんですよう。
でも、それ程別れがつらいのならば、一緒に行けばいいではござ~♪~ませんか?
しかし、一緒に行けない訳があったのですよう。
どのような。。。?
この別れは、どちらも離れてゆく人が楽しい旅に旅立つ訳ではないのですよう。この別れが相手を見る最後になるかもしれないと言う、まさに悲痛な思いが込められていた。
なぜでござ~♪~ますか?
万葉集の「巻第二十」には、防人(さきもり)の歌がたくさん入っているのですよう。
つまり、上の歌で別れて碓氷峠を越えてゆく人は、九州まで歩いていって防人の役目に就(つ)く人でござ~♪~ますか?
そうですよう。任期は3年だったのですよ。しかも、この間に税は免除されないから、残された家族は大変だったのですよう。働き者を防人に取られて、家族はその人の分まで一生懸命に働かねばならなかった。だから、残された者にとっても重い負担になった。しかも、この3年の任期は延ばされることもよくあったというのです。更に、任期が終えても、帰ってくる途中で行き倒れになる人もあったと言うのですよう。
マジで。。。?
もちろん、マジな話ですよう。詳しい事は上のリンクをクリックして読んでくださいね。
それで、横川駅で途中下車して、デンマンさんは上の歌碑を見に行くのでござ~♪~ますか?
そうですよう。卑弥子さんだって見たいでしょう?
あたくしは横川駅で“釜めし”を食べれば、もうそれだけで幸せな気分になれますわ。苔むした歌碑など見なくても結構でござ~♪~ますわぁ。おほほほほ。。。
卑弥子さん!。。。あなたは京都の女子大学で「日本文化と源氏物語」を講義しているのでしょう?
ええ、そうでござ~♪~ますわ。
だったら、横川駅で“釜めし”を食べただけで満足して、歌碑を見なかったなんて恥ずかしくて女子大生の前で言えないでしょう?
だから、あたくし、“釜めし”を食べたお話をしませんわよう。ォほほほほ。。。
分かりましたよう。じゃあ、卑弥子さんは、そのまま軽井沢駅まで一人で行ってくださいね。
あたくしを。。。あたくしを。。。一人だけ電車の中に残してデンマンさんは旧碓氷峠に行ってしまうのでござ~♪~ますか?
そうですよう。僕はぜひ歌碑を見て、遠い昔、防人になって九州まで出かけてゆく人が、そこで愛する人と生き別れになったという、その場所を自分の足で歩いてみたいのですよう。
だったら、あたくしもデンマンさんとご一緒に行きますわよう。
別に無理してまで僕についてくる必要はないですよう。一人で行ってくださいね。
いやでござ~♪~ますう。あたくしは小百合さんと面識がないのでござ~♪~ますわア。一人で行けるわけがないではござ~♪~ませんかア!
分かりました。そう言う事なら僕は帰りに碓氷峠に寄りますよう。でもねぇ、軽井沢駅で降りてから、小百合さんのマンションまで歩いてゆくのですよう。
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なぜ。。。?
なぜって。。。タクシーで行く距離ではないのですよう。駅から歩いて15分から20分ですからね。。。
十二単ではいけませんかぁ~?
十二単をズルズルと引きずりながら歩く事になるのですよう。そればかりか、チンドン屋じゃないんだから、そんな格好で卑弥子さんが駅前を歩いたら、金魚の糞のように子供が駅からついて来ますよう。
分かりましたわ。 だったら、あたくし着替えてゆきますわア。
何に着替えるのですか?
たらァ~♪~
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ダメですよ、これじゃァ!
どうしてでござ~♪~ますか?
子供ばかりか、卑弥子さんのボインな肉体を一目見ようと大人までが後を付いて来ますよう。。。それに。。。それに。。。良~く考えてみたら、夏じゃなくて10月か11月に軽井沢に行くのですよう。そんな格好で行ったら卑弥子さんは風邪をひいてしまうでしょう?
だったら、あのォ~。。。この上に白熊の毛皮のコートを着て行きますわァ。だから、風邪をひきませんわア。大丈夫でござ~♪~ますわ。
大丈夫じゃないのですよう。
なぜでござ~♪~ますか?
その“ござ~♪~ます”言葉ですよう。小百合さんは、ざっくばらんな人なのですよう。そのような“ござ~♪~ます”言葉で僕と小百合さんの楽しい会話の中に入ってこられたら、僕と小百合さんのロマンチックでルンルン気分な会話がメチャクチャになってしまうじゃないですかア。んもお~~
つまり。。。、つまり、何が何でも、あたくしを仲間はずれにしたいのでござ~♪~ますわね?これって。。。、これって。。。、大人のイジメですわア。。。
あのねぇ~、今年の秋は、卑弥子さんは一人で京都の嵐山の紅葉を見に行ってくださいね。それで、2009年の10月に僕と一緒に軽井沢に行きましょうね。。。それでいいでしょう?
イヤ~でござ~♪~ますわア。
どうしてイヤなのですか?