日本は良い国か?(PART 1)


デンマンさん。。。日本に住んでいる人にとって日本が悪い国だとは思いたくないのでござ~♪~ますわァ。

うん、うん、うん。。。 卑弥子さんの言おうとしていることは僕にも充分理解できますよう。
日本に住んでいる人は誰でも「日本は良い国」だと思いたいし、そう願っているものですわ。
そうでしょうね。 京都の女子大学で「日本文化と源氏物語」を講義している橘卑弥子・准教授の立場として、当然「日本は良い国」だと信じていない限り、講義しながら後ろめたさを感じてしまうでしょうね。
そうでござ~ますわ。 それにもかかわらず「日本は良い国か?」とネット市民の皆様に尋ねるデンマンさんの真意はどこにあるのでござ~ましょうか?
あのねぇ~、海外から日本を客観的に眺めると日本は決して良い国とは楽観できないのですよ。
どのような根拠に基づいてデンマンさんはそのようなイケ好かない事を言うのでござ~ますか?
あのねぇ、すでに書いたのだけれど最近の日本の子供たちの学力が低下しているのですよ。
地盤沈下する社会

世界最高水準だった子供たちの教育水準も急低下している。
OECDにより、15歳児を対象にした学習到達度調査(2009年)では、2000年時点の調査と比較すると、いずれの項目でも低下の一途をたどっている。
日本は、65ヵ国中、読解力8位(200年8位、2003年14位、2006年15位)、数学的リテラシー9位(200年1位、2003年6位、2006年10位)、科学的リテラシー5位(2000年2位、2003年2位、2006年6位)である。
数学的リテラシー、科学的リテラシーと、理系の教育水準の低下が顕著である。
しかも、上海、シンガポール、香港は、3分野すべてにおいて日本を上回り、かつ上海は3分野すべてにおいて世界1位である。
(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
イラストはデンマン・ライブラリーより)
80-81ページ
『震災で日本経済はどうなるか』
著者: 藤田勉
2011年5月12日 初版第2刷発行
発行所: 日本経済新聞出版社
『名物先生と斜陽日本』に掲載
(2012年9月26日)

あらっ。。。日本の生徒はずいぶんと学力が低下しているのですわね。

でしょう!? 学力の問題だけではありませんよ。 卑弥子さんも知ってのとおり、イジメだとか、不登校だとか、先生に暴力をふるうだとか。。。、最近の青少年は日本の未来に失望したように、なんだか狂い始めていると思いませんか?
狂い始めていると言うのはデンマンさんの言い過ぎでござ~♪~ますわ。。。で、デンマンさんは、どうすればよいと考えているのですか?
難しいですよ。 斜陽化している日本の社会も教育も急に良くはならないですからね。 でもねぇ、将来を担(にな)う子供の教育こそ日本が最初に取り組まねばならない問題だと思いますよ。
でも、現在の駄目な政治家が真面目に取り組むかしら?
だから、ネット市民が立ち上がるのですよ。 ネット市民がこれからの日本の教育はこうあるべきだと、声を大きくして他のネット市民に語りかけるのですよ。
。。。で、デンマンさんには日本の子供たちの学力を上昇させる妙案でもあるのでござ~ますか?
ありますよ。。。あのねぇ~、学力テストでトップに立っている国はどこだと思いますか?
アメリカですか?
いや、違うのですよ。 意外にも北ヨーロッパの小国・フィンランドなのですよ。
フィンランドですか? ちょっと考えられませんわね。
そうでしょう? 僕もちょっと驚きましたよ。
どうしてフィンランドの子供たちの学力がそれほど素晴らしいのでござ~ますか?
あのねぇ~、OECDが3年に1回実施する学力テストであるPISA(学習到達度調査)でフィンランドはマジで世界のトップに立っているのです。
だから、どうして小国のフィンランドの教育レベルがそれほど高いのですか?
驚くべきことに、日本では学力低下を理由に授業時間を増やそうとしている。 ところが、実はフィンランドでは現在の日本より授業時間が少ない。
マジで。。。?
このような真面目な問題を語る時に、僕は嘘や悪い冗談を言いませんよ。 授業時間を増やせば学力が向上するわけではないのですよ。
授業時間が日本より少ないのに、どうしてフィンランドの子供たちは学力が上なのですか?
先生の質が日本よりも上だからですよ。
つまり、日本の先生方に優秀な先生が少ないというのですか?
そうですよ。 日本では先生がサラリーマン化している。 食べるために教師をやっている人が圧倒的に多いと思いますよ。 中には麻薬に手を出して警察に逮捕される先生まで出てきた。 これでは、日本の将来を担う優秀な子供が育ちませんよ。
フィンランドの先生はどのような人たちなのですか?
フィンランドの先生は授業についていけない子どもを出さない。
マジで。。。?
あのねぇ~、フィンランド政府は教育の現場を信頼し、優秀な教師を育て、教育現場には口をださない。 日本の文部科学省に当たる教育省は、教育条件の整備にあたるけれど、教育内容には全く口は出さないのですよ。 カリキュラムづくりは、国家教育委員会という専門家集団に任せます。
日本の場合には、確か、教育現場に立つことのない文部科学省の役人が中心になってカリキュラムの方針を作成するのですわよね?
その通りですよ。 日本では教育の現場を知らない素人の委員たちが教育に口を出すのですよ。 フィンランドでは、教科書検定は、かつては実施していたけれど、現在は廃止しています。 教科書は出版社が独自に作成する。 その教科書を採用するかは、各学校あるいは個々の先生に任されている。
あらっ。。。ずいぶんと民主的なのですわね。
そうです。 現場への信頼は教師に対する信頼でもあるのですよ。 校長は、教師の勤務評定をしない。 すべて教師任せです。
でも、どうしてフィンランド政府も国民も、それだけ先生を信頼できるのですか?
あのねぇ~、フィンランドの教師は高い能力が求められている。 大学院で修士号を取得しなければ教師になれないのですよ。 しかも、大学では計300時間を越える教育実習を経験します。 僕も教育実習で仙台商業高校の1年生のクラスで教壇に立ったことがあるのですよ。 数学を教えました。 でもねぇ、実習の時間は、たったの1時間だけだったですよ。 レポートを書いたり指導教諭との話を含めても5時間以上は時間をかけなかった。
それだけ。。。?
そうなのです。 ところがフィンランドでは、教師になっても、実践的な研修を絶えず受けるのですよ。 教師は、各学校が独自に採用します。 校長と地域の父母代表が面接する学校もある。 もちろん、最終的には校長が責任を負います。 しかも、面接に合格しても、1年間は仮採用。 他の教師が研修で休む間に代理で授業をし、その教え方を見て、正式に採用するかどうかを決めるのです。
あらっ。。。先生を選ぶのにずいぶん厳しいのですわね。
そうですよ。 日本のようなサラリーマン先生では勤まらないのですよ。
でも、「授業についていけない子どもを出さない」というのはマジですの?
あのねぇ~、1クラスの生徒は20人前後。 少しでも授業についていけない子どもがいると、その子だけの補習授業をすぐに設けるのですよ。 しかも、先生は雑用をしなくてもいいので子供の教育に専念できるのです。
日本の場合だと、授業が終わっても先生はクラブ活動の顧問として遅くまで学校に残ったりしますよね?
フィンランドでは、そのような事は一切ないのですよ。 進路指導も選任のカウンセラーが居る。 一般の先生は生徒の進学先の相談に応じる必要もない。 先生の仕事は授業をすること。 落ちこぼれのないように生徒の面倒をとことん見るのですよ。 しかも、生徒に勉強に対する熱意を植え付けてゆく。
要するにフィンランドの先生には、生徒にやる気を起こさせる先生が多いのですわね?
その通りですよ。 日本も何とかしなければ、未来の日本を背負う人材が育ちませんよ。
日本も独創的で教育熱心な先生が増えなければならないのでござ~♪~ますわね。 デンマンさんはカナダでも学生に教えたことがあったのでしょう? どうして辞めてしまったのですか?
初めのうちは面白かったけれど、そのうち熱意を失ってしまった。 僕には教えることは適していないと感じてきた。 だから、もっと面白い仕事をしようと思って辞めてしまったのですよ。
つまり、食べるために教師をやるのはやめるべきなのですわね。 昔の先生のように“教師は聖職だ”と信じることができる人のみ学校の先生になるべきなのですわね。
僕はそう思いますよ。 昔の先生ってぇ、そういう先生が多かったように思います。
要するに、独創性も無く、教育に対する熱意も無くなったら、デンマンさんのように潔(いさぎよ)くさっさと辞めるべきなのですわね。 安易な気持ちで食べてゆくなどという、姑息(こそく)な考え方は持つべきではない。。。そういうことでござ~ますか?
そう思いますね。。。で、卑弥子さんは熱意を持って独創的に女子大生を教育しているのですか?
そのつもりでござ~ますわ。 あたくしも教師の端(はし)くれとして誠意と熱意を持って京都の女子大学で「日本文化と源氏物語」を講義しているのですわ。 これでも、良き日本の文化を背負って立つ人材を育てているつもりでござ~♪~ます。
そうですか。。。卑弥子さんの、その言葉を聞いて僕は救われたような気がしますよ。
でも、一つだけ問題がありますわ。
いったい。。。、いったい。。。、何が問題なのですか?
あのォ~。。。、このように一生懸命に熱意に燃えて女子大生の教育にあたくしは人生を捧げているのでござ~ます。 そのためか、あたくしの婚活に引っかかってくれる優秀な殿方がこれまでに一人も居ないということですわ。
う~~ん。。。こればかりは好き嫌いの問題ですからね。 でも、卑弥子さんが落胆することはありませんよ。
あたくしに素晴らしい殿方が現れる可能性はあるものでしょうか?
卑弥子さんが日本の将来を担う子供の教育に尽くす未来のお母さんを育てるために京都の女子大学で教育に人生を捧げている姿を見て、やがて素晴らしい男性が卑弥子さんに求婚するだろうと僕は確信していますよ。
デンマンさんはマジでそのように思ってくださるのでござ~ますか?
もちろんですよ。 だから絶望して自殺しないでくださいね。
デンマンさん!。。。 あたくしが自殺するような“ひ弱な”女子に見えますか?
でも、日本では自殺をする人がここ10年に毎年3万人以上居るというではありませんか!? やはり日本の現状に失望して、日本で生活しても将来は暗い!。。。つまり、日本はダメな国だ! そこで暮らしている自分もダメな人間だ。。。そのように思い込んで自殺するのではないのですか? だから、卑弥子さんも、ひょっとした拍子に落ち込んで自殺の誘惑に抗(あらが)いきれなくなって衝動的に自殺することがあるのではないかと。。。
いいえ。。。あたくしは十二単を着ていても決してひ弱な大和撫子(やまとなでしこ)ではござ~♪~ませんわ。 それに日本は良い国だと信じている人も意外に多いものですわ。
あれっ。。。日本が良い国だと信じている人が居るのですか?
居ますわよ。 あたくしは、たまたま大学の図書館で手に取った本に次のようなことを書いている人に出くわしましたわ。
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